躰を創る

「ユタとは、ふるくから沖縄を中心に南西諸島にいた民間巫女のことで、人びとの依頼によりさまざまな占い・祈願そして信仰治療を行っていた。

沖縄をはじめとする南島は、きびしい風土だけに、古い民俗が生きつづけ、それを背景に独自のコスモロジーが形成され、それにささえられたシャーマニズムが息づいてきた。

なかでもユタといわれる巫医(メディシンマン)による信仰治療は今日なお土着医療としてしぶとく生き続けている。・・・

南島は、空間的にも時間的にも日本と中国、東洋と西洋、近代と前近代の『はざま』に位置しているだけに、そこには『第三の道』ともいえる独自のパラダイムがある。

たとえば、ユタになる入巫過程としてのカミダーリという状態は、現代精神医学では幻覚・妄想をともなう精神状態と烙印されるが、沖縄の習俗ではこの状態を肯定的に受容する。

またユタになれる特異な能力をもつ人をセーダカウマリ(精の高い生まれ)と呼んで、これも肯定的に評価する。

さらに、南島には病気についての独特の表現語彙(ターミノロジー)があり、それらがすべて日常語で構成されており、人びとはそれらを的確に使い分けていた。

たとえば、チムヤンメー(肝・きもの病い)という言葉があり、それにまつわってチムアンマサン(心が落ち着かない)、チムチャーガナサン(悲哀)など、肝(チム)にまつわる表現だけでも十六もあり、表現がある以上人びとはこれを現実に体感していた。

とりわけ南島には独自の狂気観があり、ひろく精神病はフリムンといい、精神薄弱はフラー、痴呆はカニハンダー、性格異常はヤムシムチ、心因反応はマブイトウシなどといい、いずれも日常語で表現されている。

それだけに南島ではフリムンたちも村(シマ)のなかで疎外されることなく、村のなかに共に生きていた。戦前まで沖縄には精神病院はなかったといわれる。おそらくユタ治療がそれにかわっていたからであろう。

近代西洋医学はひとの病いを日常語と異なる専門用語で区別し、病者を日常世界と異なる専用施設に収容する。この現代医療の進行につれ、当然のことながら土着医療は衰退していく。

時代の流れの必然であるとはいえ、かつての『肝を病む』という生理感覚は失われ、かつての家族や共同体で病いを防ぎ癒すという意識や能力は衰微の途をたどっていった・・・

ユタには資格はない。ユタをユタとして認めるのは病めるクライアントであり、それを支えているのは民衆の心性(メンタリティー)である。

ユタとクライアントとの日常の交流をみると、両者が信頼関係のなかでいかに相互治癒し相互変容しているかがわかる。

治療者にはある意味でシャーマン的な能力と性格がなければならない。

病いや悩みの『なぜ』にまで応えようとするユタ治療には、癒しの原点をみることができる・・・」
引用 立川昭二「明治医事往来」新潮社











ここ最近になって我が治療院「 鍼灸指圧 光伯堂 」を訪れてくださる新規のクライアントの皆様が口にするのが

「先生、わたしの凝りは『活きた凝り』ですか?、それとも『死んだ凝り』ですか?」

という質問です。

前シリーズにおいて初出のこの『活きた凝り』『死んだ凝り』というキーワードは、

わたしがここ26年間の鍼灸指圧師としての臨床を通してこの指が獲得した私の独自の身体観により発明された

表現語彙(ターミノロジー)のひとつと言えます。





冒頭の引用文にありますように、沖縄にもまた沖縄独自の身体にまつわる言葉が多数見られます。

こうしたその国、その地方に特有の、固有のターミノロジーや土着の医療技術がのきなみグローバルスタンダードな

西欧式医療に変えられていったのが、明治維新以後の近代化であったと総括できましょう。






「ユタ狩り」と称する大がかりなユタ医療への弾圧が明治以降に沖縄全土で官憲により徹底的に繰り広げられたように、

日本鍼灸、日本漢方もまた明治に時代が変わる最中に医学制度改革のもとに、

主流医学の地位から民間医療へと転落してしまいました。

ここ130年間の日本医療における東洋医学の社会的地位は最底辺のままで今日に至っております。






さて日本の年間医療費は今や40兆円に迫る勢いで、医療経済学における焦眉の問題はいかにしてこの国家財政における医療費を圧縮するか、であると聞きます。

日本は医療費の高騰により国家経済が破綻する一歩手前である、との論調もよく耳にします。

では、いったいどうしたらこの暴騰しつづける国家財政に占める医療費を削減できるのか?





端的に申せば、解決策は実に簡単である、とわたしは考えます。

ようは、国民ひとりひとりに『自分の身体は自分で守る』という身体自治精神を醸成することで、

養生文化を再興すればいいのです。

「未病治文化」が底上げされて、国民がみな独自の身体観のもとに、独自の未病治なライフスタイルを確立していけば、国家財政に占める医療費の比率などわけもなく削減できるはずです。





3.11後という時代の「はざま」にあって、わたくし鍼灸指圧師、今村光臣は

138億年の宇宙史という時間と、素粒子から極大の大宇宙までの62ケタの空間をくまなく探索し、

医療界における独自の「第三の道」とも言える内部被曝対策の未病治養生法という新しいパラダイムを確立してきました。

ここまでの情報発信の努力が今、バタフライ効果となって世界中に飛翔し拡散し始めております。





「パワースポットである『活きた凝り』があるうちに、身体を手入れすることが『死んだ凝り』を生み出さないコツなんだよね。これはつまりそういう風に『からだをつくる』ということなの。このつねに身体を手入れして『からだをつくる』という発想がまだなかなかできないから、今後はこれをキーワードに情報を発信していかなければイケナイね」


これがニュークライアントたちの『凝りの生死診断』に対するわたしの答えです。




『からだをつくる』をキーワードに新しい思索の旅に出ます。

お付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。

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2015.06.01 | | コメント(3) | トラックバック(0) | 鍼灸指圧

コメント

ウマシカ

お久です。
試験勉強合間の質問ですwww

本シリーズと関係無いですが、
ストレッチをどう見てますか?

3ヶ月くらい前だったか何処かのサイトで、今現在言われているストレッチの意味は表面的な意味合いしか無く、ストレッチ本来の意味は別に有る旨の記事を読みました。

ブクマするの忘れ、何処で読んだか思い出せず、ストレッチをする本当の意味合いって何だろうと、気になって仕方ない最近ですwww

先生、何か知ってますか?
ではでは。

2015/06/01 (月) 17:37:17 | URL | クチブラ #2JEUmp5Q [ 編集 ]

ショーン・コネリー主演の

「Medicine Man」が、引用文でヒットしました。
ショーン・コネリー氏って、桑畑三十郎の役をやらせると
カッコイイかもね。(笑)

2015/06/01 (月) 19:18:35 | URL | 桑畑五十郎 #- [ 編集 ]

経筋を意識したストレッチ

ブラちゃん、西欧式医学の解剖学をベースにした筋骨格系のストレッチだけだと、

やっぱり、ちっと浅いということかも。

そこに東洋医学とかインド医学のフォース的な場の理論とか持ちこんだり、

体表内臓反射、内臓体壁反射なんかの体表と内臓のインタラクティブなシステムまで

考慮していけば、もっとストレッチも深くなるんでは。

しかし、これはあくまでアタシの勝手な考えであって、ストレッチの専門家が何と言ってるかは知りません。

イチローなんか、ストレッチに一家言ありそうだよね。





桑さん、昨日、娘と一緒にヤマイモのツルを誘引する支柱を立てました。

マダガスカルの治療師オンビアシーは植物とプライマリーパーセプションを使って普通に交信交流して、ハナシができますので、

少しはメディシンマン・ハリーもオンビアシーに近づいたかもしれません、いな、それはありえませんな。

なにせ天才的に野菜作りがヘタですから(笑)

替わりに姉が里山に引っ越して、農民声楽家にリモデリング中です。

リンクに追加した「白椿の里」は姉の新生活を綴ったブログです。

よろしかったら、ときどき、アクセスして、見てやってください。

ここと違って写真も豊富です。

ここは写真貼るとその写真が消えるし(笑)だから、写真貼りはやめた。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

2015/06/02 (火) 05:44:41 | URL | 今村光臣 #- [ 編集 ]

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