ぬくもり 23

初診時
「お母さんから聞いてるけど、頭痛がずっと1ヵ月以上も続いていて、頭痛薬ももう効かなくなってきたとか?」

「ええ、とにかく残業がきつくて、夜中の10時に帰るならまだ早い方で、深夜12時を回ることもザラで、上司なんか次の日の朝3時までとか・」

「ちょっと、待ってよ!それじゃあ、身体が持ちっこないよ。それに睡眠不足ってのは一番、身体に悪いし、その上司だって、そんな働き方してたらいまに過労死しちゃうよ!」

「ええ、だから体調不良で鬱になって休職したり、身体を壊して退職してしまう社員もいて、それで余計にその負担がこっちにしわ寄せされてきて、一日中、同じような姿勢でパソコンを見てるから、もう目も痛むし」

「う〜ん、どうにかして、普通の定時の夕方5時に帰宅できないと、なかなか頭痛が取れてこないかもね」

「ええ、寝不足もあって、休日は何もする気が起きなくて、ひたすらグダグダしてて、朝いちから頭が痛いと、もう趣味も何もなにもヤル気が起きない・」

「とにかく、肩も首も背中も腰もどこもかしこもパンパンに張ってるから、まずこの凝りをほぐさないとね」

「イテテッ!」

「この痛いのが取れてきて、痛いけど気持ちイイの、イタキモチイイ、になってくると、身体が楽になってくるから」



初診術後
「あっ、頭痛が取れてる! でも、アレですよね、また何回か来院して定期的に通った方がイイですよね」

「そうだねぇ、でも、まだ若いから、これで持ち直せばね。でも、時々は身体をケアしていた方がイイことは確か」



再診時
「アレから、頭痛は出ないです!でも、今日は仕事が休みで、またもしもあの頭痛が来るとイヤだから、もう1回来ました」

「いい心がけだね。あっ、ほんと、あの初診時と違って、だいぶ凝りが取れてるね」




指圧という手技は見た目には、非常に単純に見えて、ただ指を使って押してるだけの、どうにもたいしたことのない治療とこれまで思われていたのではないかと推測します。

しかし、この冒頭のM君のしつこい頭痛などが、たった1回の指圧治療で取れてしまうのですから、「畳のうえの土方」と揶揄される指圧がいかに素晴らしいか、がこれでお分かり頂けるかと存じます。

クスリも道具も一切使わずに、ただ指圧師がその指と身体をもって指圧することで、患者の持っている自然治癒力が引き出されて、ある場合には即効的に、ほとんどその場で症状が雲散霧消してしまう。

まったくもって、指圧の偉大なる力、いな、ヒトの身体が本来的に持っている自然治癒力の素晴らしさには、いつも驚きを禁じ得ません。

指で押しながら、気の動向を伺っていると、ある瞬間から気が動き始めます。

その気の動きとは、まるで皮膚の下にトグロをまいていた竜が動き出したような、そんな動きなのです。

そして、この竜は動き出すと、スルスルと身体中をくまなく旋回して、あちこちに飛び回って、やがて手足の指先から皮膚の外へと飛び出してきて、

最後には体外の空間へと融合していくように、見えます。

恐らくは、中医学を生み出した古代中国の鍼医たちも、こんな摩訶不思議な命の実相をその手で実感し、感得していたからこそ「気」というフォースなる生命力の概念を構築したのだと、推測します。

私にとっては東洋医学の根幹概念である「気」は、単なる形而上の概念ではなく、あくまでこの手で、指で、目で、実際に捉えることができるリアルで生きた形而下の実体なのです。

「気」とは何か?

とは、鍼灸指圧師にとっては、永遠の命題ですが、私にとっては、「気」とはヒトをしてヒトたらしめるエネルギーであり、「気」が動くからヒトの身体は養われるのであり、「気」を動かすことが出来るから治療と言えるのです。

気功療法とは手品のような「手かざし」でも、大道芸のようにヒトを吹っ飛ばす「遠当て」でもなく、

あくまで手技治療を通してヒトがヒトに触れるその「場」に起こる現象である、と私は声を大にして言いたいです。

鍼灸指圧こそが気功療法なのです。

そして、指圧こそがハリやモグサという道具すら使用せずに、「気」をあやつることができる最も原始的で最も高貴な日本が世界に誇る最上の「おもてなし医療」である、と私は日々の診療を通して感じております。

指圧が本当の意味で、ここ日本において復権すれば、治病医学と予防医学の両面で、国家における保健医療費の増大を抑制する効果は絶大なものがあるでしょう。

脚下照顧

本当に大切なモノは、いつも足元に転がっているのです。

拾うか、見過ごすか、はアナタ次第です。

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2015.03.31 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸指圧

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