ぬくもり 15

「世界最大の薬物書として有名な李時珍の『本草綱目』には、「食品は上薬にして、薬品は下薬である」という素晴らしい言葉が記されています。禅の僧堂では、毎日の食事の時に「五観の偈」というものを唱えてから頂きますが、この中にも、食事は精神と肉体の病を癒す良薬であるから、そのつもりで食べなければならぬといってある。東洋では、食べ物が第一級の薬です。このことを忘れると漢方の妙味がわからなくなります。ガンを治す妙薬は、日常の食べ物の中に転がっているのです。

菱の実もジュンサイもツルナもガンに効く食材と言われますが、これらはどれも多分に粘液を含んでいます。これが私はガンに効くのではないかと思うのです。これらの科学的な研究はいっさいできていませんが、植物の粘液は人間で言うと唾液や消化液に相当します。

唐代の漢方書『名家方選』には、ウシの唾液を用いた胃ガンの特効薬である牛転草(ぎゅうてんそう)が記載されています。牛転草とはウシがいったん食べてから吐き出した草のことで、これにはウシの唾液や消化液がたくさんついているので効くのだと思います。ウシは反芻動物で、胃が4つあり、いちど食べた草を吐き出して、それをゆっくりとよく噛んで、ウシのヨダレを混ぜて第2の胃に送るのです。

同じく唐代の書『医学正伝』には、牛転草を乾かしてから粉末とし、これにモチ米とヌカを入れて、よく混ぜ、これをウシのヨダレで丸薬にして、その丸薬を水で煮て食べるとあります。実際には、ウシのヨダレをモチ米のオネバで丸薬にして用いても良く効きます。

シイタケがガンに効くのも、素材の粘液が蓄積してシイタケの形になったためだと思われます。すべてのキノコ類は、寄生植物で、素材の粘液が化生したものです。シイタケに制ガン剤としての効果があることは、ガン研の千原博士によって科学的に証明されています。シイタケにはビタミンB1が多量に含まれ、他の食品に比べて、鉄、銅、マンガンなどの特殊成分が多く含まれています。

ガンに効くと言われるキノコはシイタケだけではありません。カエデの幹にできる俗に言う「サルノコシカケ」でも、カラ松の幹に寄生するエブリコ(馬蹄茸)、赤松の根に寄生するブクリョウでも、食品ではありませんが、みなよくガンの治療薬に用いられます。

漢方では動物の唾液や粘液の多い多汁質の草木は、すべて薬として活用し、重用します」参照「荒木正胤『漢方問答 東洋医学の世界』柏樹社」


ここのところ私はこれまで本ブログでは公開してこなかった、自分の養生法論の論拠となる資料を公開しております。

鍼灸師になって臨床の場に入りすでに23年余が経過しましたが、その間、ダテに無駄に時間を費やしてきてはおりません。

この荒木正胤氏が問答形式で解説する東洋医学の至宝の精髄を、いかにして我が血肉に出来るか、の作業もこの23年余の時間に含まれます。

医学が進歩しているのかどうかは私にはサッパリわかりませんが、例えばこの参照文の中で荒木氏が植物や動物の分泌する粘液に着目し、

「これが私はガンに効くのではないかと思うのです。これらの科学的な研究はいっさいできていませんが・・」

と語る、この言葉を自分の宿題として、これまで粘液つまり多糖体の探求に勤しんできたとも言えます。

バクテリアや植物、また動物も含めて、生き物たちは皆その表面を粘液質の液体でコーティングする事で、太陽光線に含まれる紫外線をはじめ、ウイルスや病害性バクテリアに侵蝕されることを防ぎ、

また宇宙線という放射線や、暑さ、寒さなどの環境の変動や酸素濃度の変化や、気圧の高低など、あらゆる環境ストレスに粘液バリアをもって適応し、ここまで進化してきました。

象形薬理でフラクタルな捉え方をすれば、「植物や動物の粘液を取りこめば、ヒトの粘液部分に作用する」、と見立てが立てられます。

ガン細胞の細胞膜はその表面がほころんでボロボロになっていると言います。

ヒトの細胞膜の表面は糖鎖と呼ばれる多糖分子によってくまなく覆われていますが、つまりガン細胞の糖鎖は劣化しているのです。

ガン細胞のネバネバの表面が壊れてしまっているのなら、ネバネバな食材を多く摂取することで、ガン細胞の表面のほころびも修復されて、糖鎖領域における細胞膜レセプターによる情報伝達が正常化することで、

ガン抗原がヒートショックプロテインのユビキチンによって細胞膜に立てられて、ガン細胞がみずから

「わたし、ガン細胞、やってます!」

とMHC標識をキラーT細胞へと提示することで、ガン細胞はキラーT細胞にパーフォリンやグランザイムやフラグメンチンの3種の分解酵素を噴射されて、

ついにガン細胞はアポトーシス誘導されて、最後にはマクロファージに断片化したガン細胞の小片はキレイに消化分解されてしまうというわけです。

ネバネバ多糖体のβグルカンには、ヒートショックプロテイン分泌の効能があります。

ネバネバ多糖分子は特に腹腔マクロファージに受容されることで、ガン免疫を活性化するのです。

植物はみなその細胞壁を多糖分子でコーティングしています。

ネバネバしていなくとも、ほとんどの植物はネバネバ多糖をその細胞壁に蓄積させています。

中国の医学や哲学の中には「人間と植物は運命共同体であり、お互いに影響し合い、切っても切れない関係にある」とする思想があります。

人間は植物が生み出す酸素を吸って二酸化炭素を吐き出し、植物は人間が吐き出した二酸化炭素を吸って酸素を吐き出す。

この植物とヒトの二重ラセンのガス交換の関係性も、また天人合一(てんじんごういつ)でインタラクティブな関係性と言えるのです。

ヒトの免疫系は5万年前からホモサピエンスが地球全土へと拡散する際に、海岸ルートと森林ルートを選択した中で、海岸ルートは海藻により、森林ルートはキノコ類により、

それらを食べたホモサピエンスの腹腔マクロファージが海藻やキノコのネバネバ多糖分子を受容することで、免疫系が活性化し、またこれらのネバネバ多糖分子により、

ヒトの細胞膜をはじめ、消化液や粘液質のすべてが滋養されていったといえます。

海藻とキノコがなぜガンなどに効く場合があるかと言えば、それはこのような長き5万年のホモサピエンスの食養史と密接につながっていると解読できるのです。

ホモサピエンスが定住農耕をはじめる前には、ヒトは狩猟採集に明け暮れ、主に大型動物を捕獲してその肉を生で食べていたという仮説が根強くありますが、

わたしは古代ホモサピエンスが肉食系のマンモスハンターであったかどうかは疑わしいと思っています。

そんな体力を消耗し、命を落とす危険がある動物の狩猟よりも、森の中に入れば豊富なキノコが生えていて、海岸にいけば海藻が簡単に手に入るのだから、

海藻キノコ食の草食系、いや「ネバネバヒート系ホモサピエンス」というのが定住前のホモサピエンスの真の姿であったと推定しています。

海藻やキノコを食べる時、ヒトは5万年前から続く真の人類の食性に合致した本能が目覚め、腹腔マクロファージが活性化し、ガン細胞の細胞膜のほころびが修正されて、

ヒトの60兆個の細胞はスムースにアポトーシスとリモデリングが進行することで、「命(めい)が革(あらた)まる」と言えよう。

私が考案した『ネバネバヒート養生法』とは、粘液に着目した荒木師匠が私に与えた「粘液がなぜ効くのかまだ科学的にははっきりしない」という言葉への回答でもありました。

養生カテゴリーにおけるネクスト・トレンドは

「ネバネバヒート・レボリューション」

で、たぶん、決まりっすね!

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2015.03.23 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

コメント

4つじゃなかったっけ

>牛の胃

2015/03/23 (月) 14:41:47 | URL | ジェミニ #jpeGMFrg [ 編集 ]

4つだね

いちおう原典の記述のまま引用したけど、

4つに書き直しておきますわ。

ジェミニさん、いつもありがとうございます。

2015/03/23 (月) 15:25:27 | URL | 養生法の探求 #- [ 編集 ]

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