ぬくもり 6

前稿ではいきなりブログ内容の変更をしたので、読者の皆様は面食らっているのではないかと少し心配しております。

ですから、ちょっとこれまでを総括する意味で『養生訓』シリーズを振り返ってみますが、

300年前の江戸期の儒医であった貝原益軒が著した不朽の養生指南のキモとは

「畏と慎」の二文字に収斂できることがわかりました。

大和言葉で言えばこの「オソレとツツシミ」は「かしこみ、かしこみ」とでもなりましょうか。

万事万物を畏れて慎むことで、我が身、我が命を養うことを説いた世界に稀に見る養生書が『養生訓』と言えそうです。

今回のシリーズの参考テキストに使用した講談社学術文庫刊の伊藤友信氏が訳した『養生訓』の後書きに、

「益軒は出来上がりの理論から事物を判断してはいない。現象に即してよりよく事物を観察し、そのプロセスの中から新しい原理をつかみ出している。人間の真を把握するには既成の理論だけでは汲み尽くせないことを知っていた。どろどろした人間の大切な部分は、その理論の網目から漏れてしまうからである」

とあります。まことに含蓄のある伊藤友信氏の益軒評であり、わたしのような仮説を論ずるいち鍼医にとっての箴言(しんげん)と言えましょう。

また伊東氏はこんな風に益軒像を語ります。

「彼は主体性とか自由とかいう生硬な言葉を用いることはなかったものの、益軒は最も主体的に生きた自由人であった。彼の発言は観念的な遊戯といわれるようなものはなく、つねに具体的で実証的であった。益軒の学問の方法が経験科学的といわれるのは当然であろう」とし、

『養生訓』という書を評しては「書物の底からほのぼのとした暖かさが立ちのぼってくる」としております。

あったかいんだから〜♪、な魅力こそが『養生訓』の真骨頂といえそうです。

ヒトの身体生理のありようを言葉にして、文字化する作業は言わば生身の現実を抽象化する作業と言えます。

こうした文字に頼る抽象化の作業には必ず「どろどろした人間の大切な部分」がこぼれ落ちて、その替わりに文字列としての美しさ、論理的整合性を求める過程で

ある種の詐欺(さぎ)というか偽(いつわ)り、ツクリゴト、作為(さくい)が必ず入りこみます。

実はあまたある健康指南のアドバイスには、いつもこの作為がつきまとう事を私たちは常に肝に銘じなければならないのです。

「癌の原因はこれである」と言った場合には、「これ」以外の膨大なこぼれ落ちた「あれ」が存在する事を常に想起せねばなりません。

単一の原理でヒト生理は営まれておりません。ある原理があれば、それが機能停止した際のバックアップの原理が必ず付随し、

さらにその第1バックアップが不全になった場合の第2バックアップ機構も必ずや存在し、

この第2バックアップ機構をバックアップすべく無数のバックアップ機構が存在するというのが、ヒト生理の真の姿なのです。

ガンの原因がミトコンドリアの機能不全にあるとすれば、その第1バックアップが解糖系の亢進であり、

この解糖系の亢進に対する第2バックアップがオートファジーの亢進であり、

さらにオートファジーの亢進に対する第3バックアップが細胞アポトーシスであり、

細胞アポトーシスは遺伝子主導の基本モデルに加えて、ミトコンドリア型、免疫細胞型、

オートファジー型、ヒートショックプロテイン・ユビキチン型、ウイルス型など様々なオプション・アポトーシスが予想され、

これらのアポトーシス機序を駆使して、常に細胞は劣化を防いで細胞を新生しリモデリングしているのです。

では、そもそもミトコンドリアの機能不全を招いたと囁かれる解糖系の副産物である乳酸の蓄積による細胞の酸性化がガンの真の原因なのか?

いやいや乳酸なる物質は解糖系の単なる中間分子であり、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体をスムースに合成することで、

ピルビン酸がアセチルCoAに変換される事で乳酸の蓄積が予防できるのだから、

つまりはセントラルドグマを正常に起動できれば、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体という酵素タンパク質が

うまく合成されて立体化できるというわけで、ということはすべてのタンパク分子の介添えをするシャペロン分子のヒートショックプロテインさえうまく合成できてうまく作動できていれば、

ヒトは癌にもならず、ミトコンドリアが機能不全にもならないと言えるのです。

変形し異形化して機能が不全となったガン細胞内のミトコンドリアは、ヒートショックプロテインが分泌されてくることで、

その機能を回復し、機能が改善したガン細胞内のミトコンドリアはチトクロームCという酵素を細胞質に漏出することで、ミトコンドリア主導のガン細胞のアポトーシスを起動して、

ガン細胞を自分たちミトコンドリアを含めてまるごと消去してしまうのです。

このようにガン細胞内の機能停滞しているミトコンドリアの機能を回復するカギも、

もちろんヒートショックプロテインが握っています。

「ヒトの命はタンパク分子によって営まれている」、という生理現象の歯車のキモ中のキモとなる

シャペロン分子のヒートショックプロテインをしっかりと、押し、揉み、さすってきたのが本ブログのキャラだったと言えます。

益軒の身体で感じて思考する実証精神を胸に刻み、ヒト生理における膨大なファクター(因子)やパラメーター(構成要素)を

畏れ、慎み、かしこみ、かしこみ、しながら

今後とも自由人として主体性をもち、

鍼灸指圧の臨床を通した生身の肌と肌が触れあう「ぬくもり」体験のリアルな実践から

仮説を掘り起こし、養生の真髄を説き、「命の何たるか」を書き起こす

ウソ、偽りの、作為のないまっさらな「ひとりする」養生法論を進めて参る所存です。

常に「情報食動物」としてのヒトにふさわしい新しいネタを投入し続ける

エキセントリックでアヴァンギャルドな『養生法の探求』に

どうぞこれからも、お付き合いの程、よろしくお願い申し上げます。

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2015.03.08 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

コメント

まさに人体はミニ宇宙であり宇宙と同じ原理、法則が働いているわけですね。ちっぽけな自我意識では意識のしようもない限りなく奥深い智慧のメカニズムに帰依した生き方をすれば万事調和のとれた形になるのに、いつ頃から生じたものか知らない自分とか自分の傾向性とかに拘りふりまわされているのが人間で、実際はトホホな存在で時々自分でも気づいてアッシは実はアシだとか浮き草だとかボヤいてますね。

それもこれも自分の実態がわからなくなっているからで、まあそういう仕組みになってるからであってイイ加減人間ならそういうことに関心持たないと仮に今次元的にセレブとか勝利者とか煽てられても殆ど無意味どころか業を増やすだけの結果に終わりがちでホント、大変ですね。

カラダの問題は糖質や温熱、運動などで心身一如により
心理的ストレスの耐性もつくから大抵の今次元的悩みは解決できる見通しもついたと言えるかも知れません。

で、やっぱり問題は次元超えた部分であり、ヨッシャ悩み解決ダとか思った途端、諸行無常だ色即是空だフィジカル体返却日だぞトットト脱げこの野郎と大体なりますから慌てますよね。

 すべて承知の今村さんは敢えて入り込んでくれなくて結構ですから所感とかタマに述べてくれればと思いますw

 取りあえず夢日記の再開から始めてますよ自分は。
単なる記憶の混戦みたいなのだけでなく無意識からのメッセージや多次元宇宙で今現在の自分の顕在意識で体験できない自分の領域もあるだろうし、ひょっとしてアッチの方選択してたら今頃自分は‥みたいなソレコソ夢みたいな世界が実在するやも知れず‥まあ、今日のところはこの辺にしときます℃

2015/03/10 (火) 20:46:18 | URL | koganei #- [ 編集 ]

フフフ

アハハ、ここんとこ、懸案のネット内にはびこる疑似科学の総括をコメ欄でやってましたんで、

本編記事が後回しになってましたです、はい。

いや、色々、詳しくは言えない出来事が過去にありまして、

ある事件をキッカケに私の内部にストレスが持ち込まれて、これまで私の中で尾を引いていた問題があったのですが、

今回は回答するカタチでキッチリとケリを付けさせて頂きました。

さ〜て、脳内オートファジーも終わって、いよいよ本編再開っす。

細胞内宇宙では、只今、新たなキャラに遭遇しちゃったりしてまして、

そのへんもオイオイ登場させますわ。

まっ、癌封じのコンプリート対策もすでに提示できたし、

koganei節の展開には、今後も期待してまっせ!

2015/03/11 (水) 03:18:35 | URL | 養生法の探求 #- [ 編集 ]

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