兼愛 26

「よろずの事、一時、心にこころよき事は、必ず後に、ワザワイとなる。酒食を欲しいままにすれば、こころよけれど、やがて病となるの類なり。はじめにこらえれば、必ずのちの喜びとなる。灸治をして熱きをこらえれば、後に病なきが如し」『養生訓』巻第一、総論・上35

お灸に対しては大いなる誤解がありまして、「灸は熱いからイヤッ!」という偏見、固定概念があまりに広く普及しております。

実際はというと「灸は熱いから、気持ちイイッ!」「温灸はまるで「そこだけ温泉郷」の桃源郷気分で極楽極楽、アレッ、あたしってば、ヨダレを垂らして眠っちゃったわ、イヤだわ〜、オホホ」がエクスタシーな灸ワンダーワールドなのです。

灸の気持ちよさを一生知らずに、人生を終える者がいったいどれだけ今の世にいるのだろう?

あ〜、もったいね! 灸くらい優れたヒートショックプロテイン医療は広い地球文明を見渡しても、ここ日本だけに存在する希有な奇跡の治療術だぜい!

中医学の本場の中国はもっぱら温灸がメインのようだが、ここ日本にはいまだに輝かしき江戸日本の時代に洗練された直接灸も継承されていて、

灸点紙という灸熱緩和シールを貼って、しっかりとヤケドを予防しながら、昔風の由緒あるモグサを灸師の指で米粒サイズにひねって、ツボに貼った灸熱緩和シールの上に置き、

線香の火を点火すれば、「ほら、そこには自由の女神が優しく微笑んでるっ!」

しかし、あの「自由の女神」が掲げてる燈火はどう見てもオレには温灸器にしか見えない(笑)

お灸も指圧も、ここ日本ではすでに絶滅危惧種のレッドデータのトップ オブ トップの医療に成り下がっています。

どうにか復活させないとね。

現代医学を批判するのがトレンドで、現代医学を糾弾する現代医学界の内部告発者であるカリスマ医師であっても不思議と東洋医学には言及が皆無と来てる。

このようないわゆる二重スパイのようなカリスマ医師を信奉する一般人もまた、だから東洋医学にはほとんど関心がない。

そういったわけで、陰謀や洗脳をすべて乗り越えて、東洋医学にサッとたどり着く本ブログフリークの皆様は本当に素晴らしいと思う、今日この頃です。

今後とも、どうぞ賢者の読者の皆様、当ブログをご贔屓の程、よろしくお願い申し上げます。

さて、ここのところ細胞が自分で自分の成分を食べて分解消化してリサイクルするシステムであるオートファジー(自食作用)について、久しぶりにネタにしております。

このオートファジー・ネタはブログ開設当初から継続して論考しているのですが、昨年はほとんど話題にしなかったようで、ちょっと発酵が進みすぎて、オートファジー系とユビキチン・プロテアソーム系をゴッチャにしておりました。

オートファジー系でヒートショックプロテインのユビキチンHSPを使うのは正確にはシャペロン介在性オートファジーであり、

このオートファジー系とは別の分解系としてユビキチンHSPを使ってリソソームではなく、細胞質に存在するプロテアソームというタンパク分子で出来た分解酵素により変性タンパク質をアミノ酸に変換する分解系がユビキチン・プロテアソーム系でした。

前2稿の記事においては、すでに関係箇所を修正してありますので、その旨、よろしくお願いします。

さてそれでもう一度、確認しておきますが、オートファジーには無差別に何でも分解してかかる飢餓応答タイプのマクロオートファジーと、細胞膜を少しづつ囓(かじ)るように分解するミクロオートファジーと、

分子シャペロンのヒートショックプロテインのユビキチンHSPで特異的にある変性タンパク質だけを選択するシャペロン介在性オートファジーと、

活性酸素を漏出してしまうほどに劣化したミトコンドリアのみを専門に分解するミトファジーの4種類のオートファジーがあります。

そしてこのオートファジー系の分解システムとは別にヒートショックプロテインのユビキチンHSPで変性タンパク質にタグを打って、この標識を付けた変性タンパク質をプロテアソームという酵素でアミノ酸に分解するユビキチン・プロテアソーム系があります。

つまり都合5種類もの細胞内浄化機構が毎時、毎瞬間、ヒト細胞60兆個の細胞内でゴミ処理を滞りなく行っているからこそ、わたしたちは日々、3000個から100万個ものガン細胞を発生させながらも、

それらをすべて分解し、アポトーシスし、リモデリングして、元気にガンにもならず、いやガンになりながらも、生きていられるのです。

このオートファジーとアポトーシスという二大分解系がなければ、細胞内はアッ!という間に変性タンパク質で満たされてしまい、セントラルドグマに供せられるアミノ酸が枯渇し、

また劣化して不要となった細胞がアポトーシスされずに残存してしまい、生きながらに死んでいるような肉体に変貌してしまうでしょう。

オートファジーとアポトーシスに注目して養生法を組み立てている者が、果たしてどれだけいるか?

恐らくは世界を見渡しても、私ひとりかもしれません。

このオートファジーに関して、何が一番のポイントかと申すと、このオートファジー・システムは実は「タンパク質の管理」の一環だという視点です。

まだハッキリとした事は言えないとしながら、オートファジー研究の第一人者が指摘している重要な事柄があります。

それはオートファジーが機能しないオートファジー欠損細胞内にはユビキチン化された変性タンパク質が大量に発見されるという事実です。

これはどんな意味かというと、ユビキチン化されたタンパク質とは本来はユビキチン・プロテアソーム系で分解されるべき変性タンパク質であり、

ユビキチン・プロテアソーム系は欠損していないのに、ユビキチン化された凝集体である変性タンパク質がオートファジー欠損細胞に溜まるのはオカシイのです。

それで仮説としてはオートファジーとユビキチン・プロテアソーム系は連動しているとする説が浮上しており、

つまりは無差別に飢餓応答で細胞質をクリーニングしているとされるマクロオートファジーもまたユビキチン化された変性タンパク質を見つけたうえで、

分解していると見なせるかもしれないということなのです。

えっと、かなりヤヤコシクなってきて、読むのがツライという天の声が聞こえて来ましたので、このへんで引き取りますが、

ようはヒトの身体にとってその機能や構造を支えるもっとも大事な分子であるタンパク質が正常な立体構造を維持し続けることは、

健康でいる上でもっとも大事な要素であり、それゆえにヒトの細胞内には5種類もの変性タンパク質の分解システムが設けられていて、

恐らくはヒートショックプロテインのユビキチンHSPが細胞内のメディアとなって、変性タンパク質が分解されているのであろう、

ということをまずザックリとご理解いただければ良いです。

ヒト細胞には何が何でも変性タンパク質を蓄積させないためのあらゆる仕掛けがある。

そしてその仕掛けのハンドルを握っているのが恐らくはヒートショックプロテインのユビキチンHSPであろう、というのが本稿のキモです。

ヒートショックプロテインのユビキチンHSPが常に細胞内に分泌されて、細胞内に浮游する80億個のタンパク分子の中に各種ストレスによって発生する凝集体である変性タンパク質が、

このユビキチンHSPによって即座に標識化されて、オートファジー系とユビキチン・プロテアソーム系によって、速やかに変性タンパク質がリソソームとプロテアソームで分解されてアミノ酸に変換されて、

細胞質に放出された新たなアミノ酸が細胞核ゲノムの「セントラルドグマ(中心教条)」に供せられて、

「DNA→mRNA→タンパク質」の「流水は腐らず」に「変わらなくあるために、変わりつづけ」る妙なる命の「ひとりする」ありようこそが「健康」である。

ヒトはやはりヒートショックプロテインに導かれて命を運用しています。

『はじめにヒートショックプロテインを味方につければ、必ずのちの喜びとなる』

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2015.02.28 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

コメント

鍼灸を体験したい

貴殿のブログ、いつも敬服しながら読ませて頂いております。日々の鍼灸師としてのお仕事をされながら、ブログにて素晴らしい情報を共有してくだり、読ませて頂く度に、感謝と尊敬の気持ちが込み上がって参ります。ありがとうございます。

鍼灸に対する興味を持つようになりました。実際に鍼灸を受けてみたいと思っています。鍼灸によって病気を治すというイメージがまずあるのですが、今のところお陰さまで健康上、特に問題は無いように思われ、わりと健康な状態でいるように思っていますが、そんな状態においても、鍼灸を受けることはできるのでしょうか。
今回の記事でお書きになっている「灸の気持ちよさを一生知らずに、人生を・・・」の文章に背中を押されました。

2015/03/01 (日) 04:54:43 | URL | きで #- [ 編集 ]

未病治の鍼灸指圧こそが上医への道

きでさん、はじめまして。

ご訪問頂きまして、ありがとうございます。

また過分なるお褒めのお言葉に恐縮しております。

かの松尾芭蕉も奥の細道の旅路に先立ち、まず足の三里に灸を据えて、ヒートショックプロテインを体内に分泌することで、

旅先で病原菌や病原ウイルスに罹患しないための適応的細胞保護な体制を築きました。

この芭蕉の三里の灸から読み取れることは、江戸期にはこのような病気にならないための灸治がすでに広く習慣化し、一般化していたという事実です。

江戸期に描かれた絵の中の長屋の看板にも灸の文字が見られます。

このような江戸期に洗練の度を増した世界一優れた未病治の鍼灸指圧による医療体制が、

明治維新や近代化の名のもとに、アッサリと明治以来は衰亡の途へと陥落してしまいました。

それゆえの現在の日本の保健医療費40兆円だろうというのが、私の5年前からの訴えです。

健康な時にこそ鍼灸指圧の真価がより発揮されます。

そうして健康な時に鍼灸指圧で身体を作り、自己の身心と対話することは、スーフィーダンスの哲学と同じく、自己の本質とつながる最良の方法となります。

ぜひに、適当な鍼灸院に足を運び、その術者に「健康であるが、鍼灸体験をしたくて来院した」と伝えて、鍼灸指圧を体感してください。

そのような日本人がひとりでも増えることで、鍼灸指圧の絶滅を救うチャンスがでてきます。

どうぞこれからも本ブログならびに、日本鍼灸、日本指圧、日本の医道に熱い視線の程をよろしくお願い申し上げます。

2015/03/01 (日) 05:28:12 | URL | 養生法の探求 #- [ 編集 ]

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