癒しの原点 29

「ヒトの身は100年をもって期(ご)とす。上寿(じょうじゅ)は100歳、中寿(ちゅうじゅ)は80、下寿(かじゅ)は60なり。60以上は長生なり。世上のヒトを見るに、下寿を保つヒト少なく、50以下短命なるヒト多し。人生70古来まれなり、と言えるは、虚語(きょご)にあらず。ヒトの命なんぞ此の如く短きや。これ、みな、養生の術なければなり。短命なるは生まれつきて短きにはあらず。10人に9人は皆みずから損(そこな)えるなり。ここをもってヒトみな養生の術なくんばあるべからず」『養生訓』総論・上 18

益軒先生の分類における100歳オーバーの上寿を、長寿文化学などでは「センテナリアン」などと称します。この100歳を越えても健康な者が多い地域を世界中から見つける作業が開始されて、

最初に地図にマッピングする際に青いペンで長寿者の住むポイントを印字していったので、センテナリアンが大勢住む地区はブルーに染められていきました。従って後にこの長寿村はブルーゾーンと呼ばれることになったと言います。

イタリアはサルディーニャ島、コスタリカはニコジャ半島、アメリカはカリフォルニア州ロマリンダ、日本の沖縄、の4つのブルーゾーンが有名であり、また旧ブルーゾーンとしてはパキスタンはフンザ王国、旧ソ連コーカサス地方、南米はビルカバンバ村、山梨県旧棡原村なども忘れてはいけない地区です。

こうした長寿村はこれまで随分と様々な医学関係者により注目され継続して研究されてきましたが、そこに住む者たちの養生の叡智が一般化することはこれまでついぞありませんでした。

私はこれまでこれらブルーゾーンの養生の秘密をすでに公開しておりますので、再掲となりますが、端的にその要旨をここに述べると、もっとも重大で単純な彼らセンテナリアンの長生きの秘訣とは彼ら長寿者たちは実にヒトの歯の構成比に正しく従った食生活を心がけてきたというただ1点だけが共通する「長生きコード」だと断定できます。

古代インド医学のアユルベーダの聖典「チャラカ・サンヒター」の総論の言葉に「正しい食物を取ることが人間を健康に発育させる唯一の方法です。また正しくない食物を取ることが病気の原因です」とはっきりと記載されています。

では正しい食物とは何なのか?

実は共通祖先であるラミダス猿人のようなナリをした800万年前の共通祖先から分化した類人猿は3種類が存在し、チンパンジーとボノボとそしてヒトであることは考古人類学や生物学や進化医学の常識ですが、

この3種のサルに共通する悪しき食性に肉食が存在するのです。チンパンジーは通常生理として肉食を欲することが1960年代からのジャングルでのフィールドワークから判明しており、ついでボノボもまた肉食をすることがわかっております。

少し小さい体型のサルを生け捕りにして生のまま内臓を口にするチンパンジーやボノボの習性を知った時は余りの衝撃に脳端末の思考経路がフリーズしました。それはさておき、こうしたこの3種のサルに共通する一種異様なカニバリズム(同族嗜食)の習性が果たして現在のヒトにも受け継がれているかというと、

わたしは実はこのヒトにおけるカニバリズムの習性は今現在はかなり薄まっているのではと推定しております。というのはヒト属ホモサピエンスはその進化史において絶滅に追い込まれており、

この絶滅の危機に瀕した際に遺伝的な多様性を大きく失う「ボトルネック現象」が起こって、肉食性が減じたとわたしは予想したのです。東アフリカを5万年前に旅だった初期ホモサピエンスの150人集団は海岸ルートを選んで五大陸へと拡散していった。

それは海岸からは豊富な海洋資源を食料にすることが可能であり、魚貝類や海藻を主な食料源とする新しいホモサピエンスの誕生を意味した。仮に5万年前に海岸線を渡航ルートに選んだホモサピエンスを水生資源を食料とするヒトという意味で「ホモ・アクア」と呼ぶが、

長き4万年のホモ・アクアの旅路は1万年前からの定住農耕によりさらに洗練され、よりヒトの歯の構成比に近い食事が可能となる。この1万年前にスタートした農耕を母体とし、植物性の栽培植物から栄養を得ることを可能にしたホモサピエンスをまた仮に農耕をするヒトという意味で「ホモ・カルチュア」と名づけるが、

このホモ・カルチュアの末裔こそが現在の私たちなのだ。つまり人類はかつては現在のチンパンジーやボノボと同じく森に棲み仲間のサルやウシの仲間であるフォレスト・アンテロープの一種を習慣的に襲撃し組織的な狩りをしては狩猟して、

生肉や内臓をむさぼっていたホモ・カニバリズムであったのだが、7万年前の現在のインドネシアのトバ火山の大噴火がもたらした「火山の冬」による気候変動によって乾燥と寒冷化が急激にアフリカ大陸で進行し、

森が消失し、新種のウイルスが追い打ちをかけて一気にホモサピエンスの個体数が激減し、絶滅の一歩手前までホモサピエンスは窮地に陥った。そして唯一生き残っていた東アフリカの海岸線ですでに海藻や貝やサカナの海洋資源に順応していた150人集団が勇猛果敢にも紅海はバブ・エル・マンデブ海峡を横断して、

インドからサフルとスンダを経由しつつ東アジアから中央ユーラシアへ、そして北米や南米へ、またインドルートではない西側ルートとしては中東から欧州へとホモ・アクアが拡散し、

ついに1万年前に最終氷期極盛期が終えると温暖で安定した間氷期が訪れて、定住と農耕と牧畜を主にしたヒトらしい文明をスタートすることが出来たのだ。

そう私たちはまぎれもない自然を飼い慣らし栽培する名人である「ホモ・カルチュア」なのだ。これほど上手に自然を意のままにみずからの養生に取りこんだ種族は地球生命種130万種の中ではヒトしかいない。

むろん昆虫のアリには細菌を養殖するものがいるらしいが、ヒトの比ではないだろう。

キョウビのダイエット戦線のトレンドに糖質制限なるものがあり、そのなかには炭水化物が人類を滅ぼすなる暴論まで噴出しているが、こうしたここ5万年の人類史をつぶさに俯瞰すれば、栽培穀類や栽培野菜のありがたさがイヤと言うほど身に染みて、

決してそのような暴言は吐けないと思うのだが、何を血迷ったのか糖質を制限しさえすれば健康になれると錯覚したマインドコントロールがここのところブームであることは、健康を維持するうえでも

まことに危機感を募らせる案件である。

強毒性の新型ウイルスの発生源は野生の動物と触れる場であることはウイルス研究者などの地道な研究からハッキリした事実なのだ。

エイズウイルス(HIV-1)はサルが持つサル免疫不全ウイルス(SIV)のキャリアである中央アフリカはシロエリマンガベイとオオハナジログエノンという2種のサルを食べたチンパンジーの体内で

この2つの固有のSIVが遺伝子組み換えと遺伝子再集合をして誕生したハイブリッドSIVが大元であり、この元祖HIVキャリア・チンパンジーをヒトが狩って食べる為に解体した際に飛び散ったチンパンジーの血液からヒトに感染したのがそもそものエイズのアウトブレイク(感染爆発)の始まりだったのだ。

どうも陰謀論の世界ではウイルス性のパンデミックはすべて人工だとか、そんな噂が絶えないが、ウイルス学の常識から言えば笑止千万なチューボーレベルの話しと一掃されるだろう。

つまりヒトが森に入りこまず、チンパンジーをはじめとした野生動物などを狩って食べるブッシュミート(野生の肉)嗜好な習慣を捨てれば、その他のウイルスも含めてエイズウイルスやエボラ出血熱ウイルスや狂犬病ウイルスなどの発生は格段に防げるのだ。

実は本当のところはこれらウイルスパンデミックも、今はやりのインチキテロも防ぐ一番の解決策とは、このような地区への農業支援に尽きるのだ。

中東やアフリカで自給自足農業が実現すれば紛争も戦争もISISもなくなる。むろん米国やNATOの関与を排除することは言うまでもない。

これらモロモロの事象から帰納すれば、つまりはヒトは森林を抜け出して荒野を開拓して農耕を始めることで、森林を源泉とするウイルスと縁を切ったとも考えられる。さらに植物の多糖体を豊富に摂取する食性の変化が、

ヒトの腹腔マクロファージのトールライクレセプターをよく賦活して、ウイルスや細菌に対抗する免疫力を人類に授けたとも見なせる。

私の見立てでは、ヒトをチンパンジーやボノボと別(わか)った最後の鍵は農耕の発明だったと、推定できるのだ。

センテナリアンが多く住むブルーゾーンはまさにそうした伝統的な農耕生活を未(いま)だに送る地区を指す。

養生の前に農耕あり。

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2015.01.30 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

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