癒しの原点 23

「畏(おそ)るるとは身を守る心法(こころのほう)なり。事ごとに心を小にして気にまかせず、アヤマチなからんことを求め、常に天道をおそれて、慎み従い、人慾を畏れて慎み忍ぶにあり。これ畏るるは、慎みにおもむくハジメなり。畏るれば、慎み生ず。畏れざれば、慎みなし」

益軒学『養生訓』による「畏れと慎み」論もヒートショックプロテインに絶好調です。

さて、まずもって私たち養生法の探求族が何を畏れるかと言えば、それは本ブログフリークなら誰もが想起するイノチそのものであると断言します。

ではイノチとは何か?この生命を定義づけることは、あの偉大なる生理学者であったアレキシス・カレルでさえ至難のワザであったことはカレルが「生命、この未知なるもの」というタイトルの書を出版していることからもよくわかるだろう。

そもそも生命の不可思議さは、決して工学や物理学や化学と同じ要素還元論の線形的なロジックでは読み解けない異質な領域なのです。ところがこと医学という学問になると、イノチをまるで金属や機械と同じようなロジックで取り扱うアカデミズムの悪いクセが顔を出します。

鉄が酸素と化合して錆びたり、炭素が酸素によって燃焼されるこれら物理的な酸化還元現象の理屈をもって、人体におけるエネルギー産生や酵素反応の酸化還元現象を同列に論ずる者が多々見受けられます。

しかし何度も申しますが、イノチという62桁フラクタル&ホログラム空間層と宇宙138億年生命史が交わる二重螺旋のダンスの場における現象と、金属の劣化が同じであるわけがないのです。

ヒト細胞は今現在は完全にミトコンドリアというかつてはバクテリアだった生き物が共生融合しており、このミトコンドリアのDNAに有った300からの遺伝子もすでに細胞核DNAにレトロウイルスが行う方法と同じく逆転写酵素によって組み込まれてしまっており、

ミトコンドリアは細胞内オルガネラとしてホストである細胞と共に連動したATP産生やステロイドホルモンの産生や体熱産生の仕事をしていることは常識ですが、ミトコンドリアが行うATP産生は別名を酸化的リン酸化とも言います。

つまりミトコンドリアは栄養素として細胞内に取りこまれた糖質と脂質とアミノ酸の三大栄養素を酸素を使って燃焼して、これが酸化現象なのですが、この酵素を巧みに操り酸化していくプロセスで水素イオンを回収して、

この水素イオンによってプロトンモーターであるATP合成酵素というミクロの水素イオン発電所を回転させることでATPを毎秒120個も生みだしているのです。この電子伝達系の過程においては活性酸素が発生しますから、

このフリーラジカルの処理をして酸化した分子を還元するスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)と言う酵素があらかじめ用意され、またカタラーゼやグルタチオンという酵素も肝臓やミトコンドリア内には豊富に存在し、

酸化分子の還元をして常に細胞内の細胞質やミトコンドリア内は酵素反応に適した一定のpH濃度に保たれるホメオスタシスの働きによって正常化されているのです。

この柔らかな切り返しこそがイノチのありようなのです。

鉄が錆びて茶色くなるように、人体や細胞も錆びるのだから、この錆びた状態を元通りにするためには水素を補給したり、電子を供給して酸化された細胞や体質を還元改善すれば良いとして、

盛んにヘンテコな医療器具を推奨するステルスマーケティングな営業マンがチマタの迷える病者から虎の子の金銭をかすめ取っています。

しかし、果たして人体はこのような機械から提供された電子や水素をありがたく受け入れるのでしょうか?ヒトの命は錆びた鉄などでは断じてありません。

命とは、動的平衡のホメオダイナミズムに従い常に流動し、ありのままに、ひとりする、摩訶不思議な可塑性を帯びた得体の知れない畏れ多き存在です。

そんな畏れ多い命に向かって、酸化してるんだから還元すれば簡単にカタが付くだって?

別にプラシーボという偽薬効果は医療には必須のマインドコントロールだから、それ自体は否定しませんが、効くと思うから効いたような気がする世界の話しをまともに受けてはね。何とも言い難いです。

酸化されきった身体とか、酸性体質という特異的な体質などあるわけがない。命という場は決して、行き止まりのどん詰まりの壁に向かって激突するような非可逆的な系ではありません。

例え壁に激突して酸化した分子も必ずや還元酵素が舞い降りて、この分子にイオンを与えて還元する仕組みがもとからちゃんと備わっているのです。

進化とはこうした壁にぶち当たった際にそれを乗り越えるバックアップシステムを作る営為だったのですから。

人類ホモサピエンスは地球生命種の中では最も後発隊である最終バッターですが、それゆえにヒト細胞の潜在的な生命力は計り知れない程に柔軟です。

この柔軟で可逆的で可塑性を帯びたイノチの場を、まるで壊れた機械や錆びた鉄柱と同列に論じることは、まさにエセ医学論として放擲するにふさわしいと感じます。

昭和10年頃に大阪大学・医学部の片瀬淡教授が「血液酸塩基平衡説」を唱えて「白砂糖亡国論」を展開しました。この片瀬教授は実は日本食養道の創始者である石塚左玄の弟子なのですが、

この石塚左玄に始まった日本の食養運動は二木謙三・医学博士と桜沢如一の二人をもって一大発展を遂げました。

断食と青汁で有名な故・甲田光雄博士は、マクロビオティックの創始者である桜沢如一の高弟の私も生前にお会いした事がある故・丸山博・医学博士の弟子に当たります。

甲田博士もまた白砂糖亡国論に習い糖質の選択を心がけるよう指導しておりましたが、この甲田博士の指導によって難治性の小脳変性失調症を克服された森ミチヨさんという女性鍼灸師が

昨今はメディアに重用されて、いわゆる少食健康法の生き証人として少食の有効性を立証するアイコンのように扱われ始めております。

しかしこれまでも何度も申しましたが、どんな健康法もダイエットもそれは72億人のすべてに適応できるものは絶対に無いという原則があるのですから、森さんひとりの体験知をそのまま一般化など出来ないことは論を待ちません。

酸塩基平衡説をもとにした白砂糖亡国論、酸化体質こそが万病のもと論、少食青汁で万病改善論など、これらの系譜は私に言わせればイノチの柔軟性を無視した極論であろうと判断します。

そもそも石塚左玄の化学的食養論は、ナトリウムとカリウムという2元素をキャラとして、この拮抗する二つの元素のチカラを利用すれば体内環境をいかようにも調整できるとするイノチの柔軟性を尊重した主張だったのです。

これをもう一度、中国哲学の易経のオハコである陰と陽にレトロに変換し直して、この宇宙における時空間に発生するすべてを陰陽で分析し、

食の調整はそのほんの一手段であり、ではあるが食の調整をもってまず健康を獲得したら、好きなことを好きなようにやってやってやり抜いて自由人として天寿を全うせよ、

と説いたのが桜沢如一のマクロビオティック思想であったのです。

マクロビオティック=玄米食?

こんな誤解を生み出したマクロビオティック思想の変節を、草場の蔭で泣いているのはもちろんマクロビの創始者ジョージ・オーサワそのヒトでありましょう。

どんな健康法も一長一短があり、プラシーボが介在します。プラシーボの効き目がその健康法の正否を目くらまししている事もよくあります。これをやれば効く、という言葉には決して騙されないで下さい。

高いお金を払った機械の効能がなければ、あるいは一生その高価なサプリメントを飲み続けなければ、我が身を養えないとしたら、それは自由人から1000キロメートル離れた機械とサプリメントの奴隷です。

「自分以外の人間が言ったことを絶対に信じてはいかん!」「奴隷になるな!」が口癖だった桜沢如一の弟子であれば、世の健康法の虚など一瞬で見抜けるのです。

酸性体質などありませんよ。もしも本当に酸性になってしまえば酵素反応がすべてストップして、即死してしまいます。また酸性体質の反対のアルカロージスもまた即死します。

酸塩基平衡説とは、身体が本来持っている動的平衡を説明しているだけです。ホメオダイナミクスな身心を説明しているだけです。医学の素養がある者はキョウビ、酸性アルカリ性の問題にはほとんど頓着しないのは、

酸性食品を食べようが、アルカリ性食品を食べようが、人体は口中のアルカリ性と胃内の酸性と小腸のアルカリ性と大腸の酸性の酸とアルカリの餅つきによって、すべてをうまく消化分解処理してしまうのですから、

イノチは命に任せておけば宜しいという結論に達するのです。畏れ多き命をありのままに尊崇すれば、宗教など要りませんね。

そうこのイノチにはウイルスが入植したおびただしい痕跡があります。ヒト・ゲノムの46%はウイルス由来の配列です。ヒトをヒトたらしめているのは1.5%のヒト・タンパク分子を合成する機能遺伝子のエクソン領域だけではなく、

ヒト内在性レトロウイルスやDNAトランスポゾンなどと呼ばれるウイルス由来のデータによっても、ヒトはイノチを養われています。

可動遺伝子領域、ジャンピング遺伝子とも呼ばれるウイルスに由来するDNAトランスポゾンはヒト・ゲノムにおいて40ファミリーが見つかっており、これに関してヒトの生命史において過去に9万8000種ものウイルスがヒト・ゲノムに入植した事が判明しております。

ほかのイントロン領域にあるものと合わせればいったいどれだけ膨大なウイルスが過去にヒト・ゲノムに侵入したのか、まさに想像を絶します。

まずもってヒトは我がゲノムを畏るべし。

スポンサーサイト

2015.01.24 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

kouhakudou

Author:kouhakudou
FC2ブログへようこそ!

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR