癒しの原点 15

「人身はいたりて貴く重くして、天下四海にもかえがたき物」

物理的に触れることが出来る3Dでフィジカルなボディであるところの我が「身」、押せばへこみ、焼けば熱く、刺せば痛く、傷つけば温かい血液が噴出するこの我が「肉体」があったればこそ、

天下四海つまりは天地父母である時間と空間のすべてである62桁の無限大宇宙の円空と、138億年の全宇宙生命史にアクセスしインプットすることができるのだ。

人身というフォースでエレクトロでダイナミックなフィールドであるところのこの「肉体場」は、真にかけがえのない程に大事だ。

益軒先生のラディカルな身体倫理学の真骨頂が、『養生訓』総論の白眉なミドルノートのシャウトから垣間見える。

さて、古典を現代的に読み解く事がこれほど面白いとは今回こうして手を付けるまで気がつきませんでしたが、古典も古典、哲学カテゴリーにおいては知らぬ者はおらぬ老荘哲学から有名な老子の第6章のあの一節をここに唐突に引用してみます。

「谷神(こくしん)は死せず、これを玄牝(げんぴん)という。玄牝の門、これを天地の根(こん)という。緜緜(めんめん)として存するがごとく、これを用いて勤(つ)きず」

この深遠なくだりはそのまま読み下しても素人にはいったい何を言っているのか、サッパリ意味不明ですが、この言葉は実は3通りに読めるとされ、ひとつ目が常識的に哲学的な解釈が出来て、二つ目には養生法として読み解けて、みっつ目には性的・即物的な解釈が可能であるとされます。

まず試みに基礎となる哲学的な解読をほんの少し私流に翻訳すれば

「恐ろしいほどに深い谷底のような何も無い窮極の場を玄牝と言い、この神とも太極とも同等のあるポイントから万物が生じるのでこれを天地の根っこと呼ぼう。あると思えば無いし、無いと思えばそこから万物が湧いてくる。どんなものも生成化育するチカラがあり、どれだけアポトーシスとリモデリングの「変わらなくあるために、変わりつづける」ダイナミズムが繰り返されても終わることはなく、その動きが尽きることはない」

となり、第2の解釈である養生バージョンは

「谷神(こくしん)は、神(しん)を谷(やしな)うと解き、この神とはこれ五臓に宿る神のことを指し、玄牝(げんぴん)の門とは五臓と外界をつなぐ出入り口である鼻と口に当てる。天地とはつまりはこの肉体であるが、天地である肉体が宇宙の万物の気と交信する出入り口が鼻呼吸と口からの栄養摂取である。呼吸も飲食も身体生理においては当たり前の機能として、極めて自然に行われ、滞りなく呼吸と飲食が為されれば身体生理もまたスムースに流れ、元気に満ちて勤(つか)れることはない」

となり、そして第3の即物的な解釈は

「神(しん)の死(し)せざるを谷(ほっ)さば、精を漏らさずに守ることだと解き、貝原益軒がその著『養生訓』で発した有名な言葉「接して漏らさず」を思い出せばいい。何事も慎んでやり過ぎないことが養生においては最も大事な要諦なのだ。畏(おそ)れと慎(つつし)み、このふたつこそが養生の秘訣である。玄牝の門とはこれは女性の陰孔(ほと)のことであり、現生人類72億人はみな20万年前にアフリカにいたミトコンドリア・イブの子宮から生み出された兄弟姉妹である。みだりに性慾や食欲を欲しいままにして、この貴い天下四海に代えがたき命を失うなかれ」

とでもなろうか。さらに第4の新解釈としては

「谷神(こくしん)とはこれウイルスのことなり。地球生命が「玄牝の門」である原始の海溝の熱水噴出孔の300℃の熱水が噴出する周囲で、DNAやRNAをタンパク分子の殻であるカプシドにくるんで自己複製と代謝のボディを手にした始まりが「天地の根」つまりは地球生命種の根源、始まりであったのだ。常にはヒトの目には肉眼では確認できないが、この地球上の海や山や川や空には無数のおびただしいウイルスが自由に繁殖し飛び交っており、ウイルスはDNAベクターの本質を全うするために、種から種へ、個体から個体へと地球生命種の共有ゲノムをここ40億年もの長きに渡り運び続けているが、その働きに終わりはなく、これからも未来へ向けてウイルスは生命を進化させ、永続させていく強力な推進力となるだろう。そうなのだ!ウイルスこそが進化の原動力であり、ゲノムの守護神であったのだ。もしかしたらウイルスこそが神なのかもしれない」

なんてのも面白い。

遺伝学者の大野乾(おおのすすむ)は1970年代に『遺伝子重複による進化』という著書の中で「自然選択と突然変異だけでは、生物の進化は説明できない」と大胆に宣言し、

突然変異や自然選択だけでは遺伝子の数が増えることも無ければ、遺伝子のバラエティーも複雑化しないことを理由に、地球生命種が大規模に進化する際に遺伝子重複が起こり、ゲノムが多倍体化したとする『2R仮説』を提示した。

近年のゲノム解析により最初に4倍体化のゲノム重複が起こった時期は今から5億1000万年前のカンブリア爆発の時期であり、二度目のゲノム重複は約4億2000万年前の魚類が両生類に陸生化する際に発現したことが確認された。

大野の優れた先見性は遺伝子解析の分子レベルな科学技術の進展をもって証明されたのだ。この大規模な地球生命の進化史におけるゲノム重複イベントに、重要で重大な役割を果たしたのが恐らくはウイルスたちであろうと言うことになる。

ウイルスが生命体のゲノムに侵入するからこそ、ゲノムが多様化するのだ。これからはもう突然変異などという少し突拍子も無い言葉など使う必要などないのではないか?

そうウイルスによりゲノムが変異するのなら「ウイルス性ゲノム変異」あるいは「ウイルス性進化」という呼び方の方が、より事実に即している。

天下四海にも匹敵する、いたりて貴く重きこの身体は、実はウイルスのお陰で授かったのだ。

ヒトの胚が子宮に着床できるのはヒト内在性レトロウイルスが起動するからだ。

ヒトの「玄牝の門」では、今もゲノムの谷間に安住の地を見つけた神であるHERVウイルスのチカラで、ミトコンドリア・イブとY染色体アダムから受け継がれたDNAコピーの営為が尽きることなく進行している。

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2015.01.17 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

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