癒しの原点 12

「天地父母の恵みを受けて生まれ、また養われたる我が身なれば、我がわたしの物にあらず。天地のみたまもの」

いよいよ、益軒節のクールでラディカルでアヴァンギャルドなテイストが全面に描出される先の記事で取り上げた「養生訓」の、巻第一の総論・上の言挙げに次ぐ第二句がこの

「てんち ちちはは の めぐみをうけて うまれ、また やしなわれたる わがみ なれば、わが わたしの ものにあらず。てんちの みたまもの」である。

大意は「この身心は父母と天地の恵みにより授かり、養われているが、もとよりこの身心は私のものではない」とでもなろうか。

中医学などでよく使用される概念に「天人合一」や「天人相関」があるが、これも益軒の生命観と通底した概念であり、

畢竟すればヒトという存在は天である外界と同一であり、切っても切れない関係性を帯びる、とする易経を母体とした思想といえる。

またこれに似たものにアニミズム思想というものがあり、これは自然崇拝などと訳されるが、偶物崇拝である既存の宗教ではなく、

原初的で本来的なホモサピエンスが宿していた自然を賛美するようなもともとの健康的で開放的で原始的な信仰がアニミズムであると思われ、

その萌芽は今から3万2000年前の欧州で初期ホモサピエンスのクロマニヨン人が興したオーリニャック文化にその痕跡が見て取れる。

南仏はショーベ洞窟壁画に描かれたライオンやサイやホラアナグマなど200種の動物の炭絵や、スペインはアルタミラのバイソンなどに見られる動物を見つめた優しいまなざしからは、

彼ら初期ホモサピエンスにすでにアニミズムなスピリットが宿っていたと思わせるに充分な崇高な芸術性を洞察できる。

太極拳や気功の原点には中国は今から2200年前の漢の時代に活躍した名医でありイラン出身の外科医の華陀(かだ)が創始した「五禽の戯(ごきんのぎ)」があるとされ、

トラ、シカ、クマ、サル、トリの5種の動物の動きを真似るストレッチや運動を通して気血の流通をはかり、『呂師春秋』中の有名なあの言葉

「流水は腐らず、戸枢は朽ちず」の身体生理を導くエクササイズの流れが今に至る中華風運動法の根源と思われる。

オーリニャック文化に芽生えた洞窟壁画の動物画がもしも華陀の「五禽の戯」の5種の動物と同じく身体操法のためのイメージ・モチーフとして採用されていたとしたら、実に面白いと想像する。

ライオンやバイソンやクマやウマの俊敏で勇壮で流麗な動きを真似て、クロマニヨン人は洞窟内で舞い、歌い、ダンスをして養生に励んだとしたら、養生法の原点は3万年前までさかのぼることになる。

トラやシカになり四肢で大地をつかみ疾駆し、クマになって仁王立ちして木に前足をついて、サルになって枝から枝へとぶら下がり樹上へと招かれ、トリになって両手を羽ばたいて天空を飛翔する。

生命進化の流れをリバースするような5種のアニマルになりきるイメジュリー(イメージ療法)の中で、歌い踊りヒトは天人合一の境地に陶酔し、

全経絡が開放されて量子真空に満たされた62桁の無限大宇宙フォース・フィールドへとアクセスし、真の癒しと安らぎを得て瞑想し、束の間の「坐忘(ざぼう)」に浸るのだろうか。

ウイルスがDNAのベクター(運び屋)となり個体から個体へ、種から種へと遺伝子を水平遺伝するという「ウイルス水平遺伝」説という視点から地球生命種を俯瞰すると、

実はすべての動植物やバクテリアやウイルスは、地球に誕生してからの生命史を記録するために用意された情報媒体であり、

DNAとそこに記録された遺伝子という全ゲノム・データをプールするための「仮の器(かりのうつわ)」、ホテルが地球生命たちの多用な様々なナリ・カタチ、容貌、構造体、カプセル、ボディと言えそうだ。

こうしたゲノム・フラットな視点からすべての生き物を水平に捉え直してみるとこの現代生物学の最先端の考えが益軒節の「人の身は・・私の物にあらず、天地の・・もの」と共鳴し出すから不思議だ。

中国哲学がいう「天人合一」と、人類ホモサピエンスに共通する宗教的基盤であるアニミズム思想と、現代の最先端の生物学が唱える「ウイルス水平遺伝」説と、

生物間の共生の仕組み全般を指す概念「ホロビオント」セオリーを付加した新しい進化説「ホロゲノム進化論」が、

ここ日本においては天台本覚思想の「山川草木悉有仏性」に収斂され、「養生訓」のエッケン・スピリットにまで「水平遺伝」したと考えるのもそれほどおかしくないだろう。

ヒト・ゲノムにおいてヒト生理に必須のタンパク質を合成する遺伝子領域「エクソン」はたったの1.5%しか存在せず、残りの98%近くはその機能が解明されていない謎のDNA領域「イントロン」とされる。

そしてこのヒト・ゲノム領域に存在するまだ未知であるが何らかの重大な情報を保持していると推定される暗在系(インプリシット・オーダー)な「イントロン」領域には、

ジャンピング遺伝子と呼ばれるトランスポゾンが3%を占めていることがすでに判明しているのだが、

それ以外ではヒト内在性レトロウイルス・HERV( Human Endogenous Retro Virus)領域が9%もの大領域を占有していることが確認されている。

ウイルスに由来したゲノムを大量に含み、ウイルス的なゲノムと共生しながらヒトの命は養われているのだ。

生命が誕生したのは今から38億年前頃とされるが、私はまずウイルスが発生して、このウイルスが地球生命種に共通する自己複製の装置であるDNA遺伝子というゲノムデータをプールし、

シャッフルし、様々な種へと転写し水平遺伝させたことで地球生命種がここまで多様化したとする進化説を昨年来すでに展開済みであるが、

この「ウイルス・ベクターによるゲノム・プール」を生命の「天地」「命の揺りかご」と見ると、また益軒先生の生命観とフラクタルに共振して面白い。

「山川草木が仏性を有するのなら、ウイルスもバクテリアもガン細胞も仏性を有する」が、当然の理だ。

「 S A T O R I 」 な養生観は、水平でフラットに「天地父母」とリンクする。

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2015.01.14 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

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