癒しの原点 4

「人、毎日昼夜の間、元気を養うことと元気を損なう事との、二つの多少を比べ見るべし」

中医学でいうところの元気(げんき)という言葉は、現在、普通に慣用的に使用される「元気がある、ない」的な意味合いよりも、むしろ元(もと)からヒトに備わっているパワーという意味合いの方が強く、

ある意味では現代生理学や生物学のいうところのヒトゲノムに関わる遺伝子発現やDNAセントラルドグマの潜在的な細胞核内の能力や、

細胞核の周囲にクモの巣のように張り巡らされて糸状のネットワーク構造を形成している細胞内オルガネラのミトコンドリアの活動まで含んでいると言えそうである。

ミトコンドリアは良く知られているように、血液中の糖質や脂質やタンパク質からブドウ糖が作られて、これらブドウ糖が細胞質における10の酵素反応で分解される解糖系を経てブドウ糖が中間分子の乳酸やピルビン酸に変換されていきアセチルCoAとなると、

このアセチルCoAという分子が次ぎにミトコンドリア内のハンス・アドルフ・クレブス博士が発見したクレブス回路に入っていきアセチルCoAのアセチル基がクエン酸に変換されるとクレブス回路が回転し出して、

酸化作用により発生する9種類の分子( cisアコニット酸、イソクエン酸、オキザロコハク酸、αケトグルタール酸、スクシニルCoA、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、オキザロ酢酸)の変換の過程で電子伝達系の材料であるNADHやFADH2が作られて、

これらの材料を利用しながら最終的にミトコンドリアの内膜マトリックス内の電子伝達系において細胞核DNAとミトコンドリアDNAの二つの遺伝子に

コードされた呼吸酵素複合体(Ⅰ〜Ⅴ)の5つの呼吸酵素反応を経由して酸化反応によって水素イオンがマトリックス膜外に回収されると、

この水素イオンが今度は濃度勾配による浸透圧な流れに従ってATP合成酵素(Ⅴ)のタービンを回転させるとアデノシン三リン酸という生命力の源であるエネルギー通貨のATPが毎秒120個から合成されて、

平均で一日に50〜100キログラムの体重の1.4倍量もの膨大な量のATPが身体全体の1京8000兆個のミトコンドリアで合成されている。

このミトコンドリア・コンテンツに関する人口膾炙率は恐らくは私を含むミトコンドリア・フリーク達の情報公開の努力もあってか、

マリアナ海溝10920メートルやトンガ海溝10800メートルよりも少し浅瀬に浮上して日本海溝8058メートルまでは上昇してきているはずだ。

冗談はさておきヒトが脳内で物事を思考するのも、筋肉を使って運動をするのもすべてその場で合成されてくるATPのお陰なのだ。

だから元気という中医学用語は現代生理学で言えばこのATPに極めて近い意味合いとも受け取れるが、西洋的なニュアンスではスタミナなる用語も元気の語義に近いと言える。

このスタミナ( stamina )という言葉はもとはラテン語であり、スターメン( stamen)の複数形で、本来の意味は「雄蕊(オシベ)」とか「本質」という意味合いであったのが、

のちに転じて「精力」や「生命力」を言い表すようになり、更に持久力や性的強度までも拡大的に意味するようになったとされる。

要するにスタミナという言葉は分かりやすく言えば「生命エネルギー」という意味であり、別な言い方をすれば東洋医学の中核概念である

「気(き)」と呼ばれる「バイタル・フォース(生命力)」と同義となろう。

ヒトの根源的なバイタル・フォースを中医学用語では単純に気や元気と呼んだり、真気(しんき)や正気(せいき)と言い換えたり、先天の気(せんてんのき)などと称するが、だいたいすべて同じモノを指している。

この元来ヒトに備わっているパワーを一日のうちの昼間と夜間で上手にやりくり塩梅して、均等に配分して、元気を使って消耗するだけでなく、

元気を補給して命を滋養することが養生の秘訣だ、と冒頭の言で貝原益軒翁は仰っております。

そして「養生訓」中で文章を次いで元気を補給する方法として益軒先生は「飲食」と「ねぶり臥(ふ)す」の二つがその方策だと説き、

しかし「食べ過ぎ」と「眠りすぎ」は逆に元気を損なうから注意せよ、と事細かに指示を出しております。

食べることでは、食べたものが消化されて小腸微絨毛から体内に吸収されて全身の細胞にまで血行性に運ばれた糖質をもとに、

必須栄養素のブドウ糖が細胞質の解糖系とミトコンドリアのクレブス回路と電子伝達系を経てバイタル・フォースの基本であるATPに酸化的リン酸化により合成されて、

また食べ物に含まれる多糖体が腸扁桃パイエル板に控える腹腔マクロファージの細胞膜レセプター・トールライクレセプター・TLR4にヒットし受容されることに

始まるマクロファージによるサイトカイン分泌を起点にした、NK細胞やキラーT細胞が活性化しての免疫賦活カスケード反応の進行により免疫力が高まります。

眠ることでは、身体を横たえて関節や骨が地球1Gの重力負荷から開放される中で盛んにマクロファージの細胞膜による他の細胞状態の細胞認証が行われて、

古い細胞と認識された細胞がマクロファージに次々に貪食されてアポトーシスされると新生細胞にリモデリングされることでエイジングが克服されていきます。

( ※ 糖質を制限したり、睡眠不足だったりすると、貴重な命を滋養する機会を逸しますよ )

人間の2大本能であり2大欲求とされる「寝食」の二つはこのように、まことに元気を養うにふさわしい方策であることが現代生理学でも読み解けるわけです。

この「食と眠り」の二つのバイタル・フォース補給法を見抜いたマスター・エッケンのセンスは、今の時代から見ても実にクールです。

「ハリー流・養生訓解読」ちょいと乗ってきました!

スポンサーサイト

2015.01.05 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

kouhakudou

Author:kouhakudou
FC2ブログへようこそ!

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR