癒しの原点 3

「華陀が言に、人の身は労働すべし。労働すれば穀気消えて、血脈流通すといへり」

お正月はお節に、お寿司に、お雑煮と、次から次に食べてはまた食べての酒池肉林が少しのあいだ続くのですが、わたしの場合は日に3回の筋トレを課して、ここ数日を過ごしております。

華陀(かだ)という人物は三国志にも登場する名医とされますが、彼の出自は実は中国よりも西域にあり、中医学というよりもむしろアラブ医学に精通していたイランの外科医とされ、

脳外科における開頭手術も、腹部を開くような大がかりな開腹手術も難なくこなしたとされる。

江戸期の浮世絵師の歌川国芳が描く3枚続きの錦絵「華陀骨刮関羽箭療治図」には囲碁をしている関羽の毒矢で腫れ上がった腕を治療している華陀の勇姿が描かれていて興味深い。

この中国は漢の時代に実在した神の手をもつカリスマ・スーパードクターであった華陀が、紀元前230年頃にはじめての外科手術の際に用いたのが「麻沸散」と呼ばれる生薬成分を酒に漬けて溶かし込んだ麻酔薬であり、

この酒に麻酔性の薬物成分を溶かしこむ手法は同じく華陀のレシピとされる日本の正月に飲む屠蘇酒(とそしゅ)にも応用されていることは意外に知られていないが事実だ。

世界の三大伝統医学と言えばギリシャ医学とインド医学と中国医学とされるが、ギリシャ医学を受け継ぐアラブ医学を

手の内の医療として自在に扱った伝説の名医・華陀が開発した「酒は百薬の長」の言葉のもとと私が推定している屠蘇酒が、

すでにここユーラシア東端の小島である日本の正月に必須の一品になっていることもまたなかなかに興味深い事実である。

アラブ医学はギリシャ医学を母体として発展した西域医学の精華とされ、このアラブ医学をもとに欧州・ヨーロッパの近代医学、のちの現代は西洋医学が勃興していったのであり、

アラブ医学とインド医学と中国医学はユーラシア大陸の中央に敷かれたシルクロードという交易ルートを通じて、それぞれが影響し合って発展していったのだから、

世界に根付いた固有の土着医療も、日本の伝統医学である日本鍼灸も日本指圧も、もとをたどれば多かれ少なかれ世界の三大伝統医学にその源があることが俯瞰されてくる。

さて、ここ日本において江戸後期に世界初の乳がん摘出手術を成功させたのは誰もが知る華岡青州その人であるが、彼が開発した「通仙散」が

華陀が開発した「麻沸散」にヒントを得て創薬されたものであることを知っている人口膾炙率もまたマリアナ海溝までは深くなくとも、

10800メートルの深海はトンガ海溝くらい低いことは確実だろうと思われる。レアな麻酔薬である「通仙散」はともかくも

ヤケドや切り傷によく効く軟膏である「紫雲膏」が華岡青州が創薬したものであることくらいは知っていてもいいだろう。

わたしも実はそのへんのドラッグストアで786円くらいで売られているこの「紫雲膏」をもしもの絆創膏代わりにいつも携帯している。

少しお灸の熱が強かった時などに、灸痕に塗っておくと治りが早いし、切り傷などを作った際にも即座に塗れば、やはり治癒スピードは格段に速い。

昭和初期に絶滅を真逃れた最後の漢方医であった故・大塚敬節氏の診療日記によれば、往診先の患家の台所から悲鳴が聞こえて駆けつけてみると天麩羅をあげていてうっかりその油を顔に受けてしまった女中さんに、

応急処置で手持ちの「紫雲膏」を塗ってあげたら、予後がたいへんに良くほとんどヤケドが跡に残らなかったような実例が幾つか掲載されいて、こんな貴重な記述を読んで以来、「紫雲膏」はわたしのお守りのひとつになっております。

華陀が創始した「五禽の戯(ごきんのぎ)」と呼ばれる5種の動物(トラ、シカ、クマ、サル、トリ)の所作を真似るストレッチ法が後に、

太極拳へと発展していき、1972年に歴史的な発見とあいなった「馬王堆古導引図」に見られる気血を整えるための「導引(どういん)」と呼ばれるエクササイズのムーブメントが中国を拠点に成立したことは養生法の発展のうえでも素晴らしい業績だったと言えよう。

体を動かすことで、気血の流れが促進されて、60兆個の細胞とその細胞内の1京8000兆個のミトコンドリアの活動に必須の酸素や水分や糖質と脂質とアミノ酸とビタミンとミネラルなどがうまく配給されることで、健康増進が達成できることを、

恐らくは身を以て実験し立証したからこそ、イランのカリスマ外科医であった華陀は「五禽の戯」として提言したのだろう。

まず実践ありきで、何らかの提言をするが名医の務め。

さて、トレーニングバーで背筋や大胸筋や三角筋を鍛えて、握力強化グリップをニギニギして、明日からの「労働」に備えるとしましょう。

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2015.01.03 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

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