夜明け余話 4

なんとなく久しぶりの記事更新ですが、ここのところハリー今村は本ブログのコメント欄に常駐して、何やらブツブツと物申しておりましたので、出来ましたらそちらも参照頂きますれば幸いに存じます。

コメント欄が面白いところは、やはり異分野の方と交流できる点でして、どうしても同業者や扱うネタが重なるサイトオーナーだと反発や嫉妬が介在してうまく話しが進まないケースが多いのですが、

まったく自分の職種や得意分野と関係ない領域におられる方々からのコメントはいつも新鮮で楽しく、大いにインスピレーションが刺激されます。ここにおいて、本年の皆様のコメントに改めて多大なる感謝を申し上げる次第です。ありがとうございました。

それでコメント欄で物申していた旬なネタはと言えば、これは旬というか今や人類を脅かす最大の疾病とも言える「癌」という病気に関する事柄であるのですが、癌に関しても本ブログではこれまでずっと最重要問題として何度も論題として挙げております。

そうした思惟の積み重ねの中で偶然のひらめき「セレンディピティ」が度々、私の脳裏に舞い降りて、これまでのところ医学界の定説を覆すガンメカニズムが少しづつ、公開されてきました。

私がガン細胞はもしかしたら単なるワルモノではなく、その細胞が生き残るためのひとつのプロセスである、と気づくキッカケになったのは、西原克成博士の「究極の免疫力」という著書の中の「ガン細胞の細胞内ではミトコンドリアの機能が廃絶してATPが産生されないかわりに、解糖系を亢進してATPを生みだしている」という論旨に触れたことであり、

これがワールブルグという化学者が発見した80年前の理論であることもその際に知りました。「ガン細胞が細胞内のミトコンドリアの機能失調をバックアップするための必然で生じた細胞である」、というアイデアは確かにこの最初のキッカケの際に思いついたセレンディピティな発見ではありましたが、

それからもずっと、ガンとは何か?の問答を繰り返すことで、ガンメカニズムの解読はさらに深みを増してきています。オットー・ワールブルグ博士がガン細胞内の解糖系の亢進を発見した当時には、

まだオートファジー研究は進んでいませんでしたから、ガン細胞内において解糖系の亢進とワンセットで、オートファジーの亢進が起こっていることはワールブルグ博士にしても、知ることは不可能でした。

しかし近年のオートファジー研究の進展により、ガン細胞内の分子の動態に新たな局面が存在することが判明したのです。

ガン細胞内の細胞質にもしも、解糖系の亢進の副産物である乳酸が蓄積していけば、やがて細胞質に漂う80億個のタンパク分子と乳酸はすべて結合して、まるで「煮こごり」のようなドロドロでカチカチの流動性を失った細胞質となり、ガン細胞は細胞質での酵素反応である解糖系すら動かすことが出来なくなり、

ガン細胞は自然に細胞死の転帰を迎えるはずです。ところがガン細胞は決してそんな風に自然に細胞死することなどなく、むしろ正常細胞よりもはるかに優れた増殖能力を獲得して、肥大した腫瘍へと成長していくのです。

いったいガン細胞の細胞質に蓄積していくはずの乳酸はどうなっているのか?その疑問にオートファジーの亢進が解答を与えてくれました。

オートファジーという言葉もまだ一般化しておらず、聞き慣れない生理学用語かと存じますが、ギリシャ語でオートは「自分」を、ファジーは「食べる」を意味するので、直訳すれば「自食作用」と訳される細胞質の機能がオートファジーです。

自分を食べるとは一体どういうことかと言えば、細胞は細胞生理を営む中で様々な副産物や中間分子が生じます。例えばタンパク質を合成する際にフォールディングに失敗した変性タンパク質とか、余分な脂肪分子とか多糖体とか、不良品化したミトコンドリアなど。

こういった言わば細胞内に漂うゴミがもしもそのまま放置されていくと、細胞質における酵素反応やミトコンドリアにおけるATP産生や熱産生や、小胞体やリボソームにおけるタンパク質合成や細胞核DNAにおける遺伝子機能に支障が生じてしまいます。

ですから、これら細胞質のゴミ管理はとても重大な問題となるわけで、その解決策として獲得されたのがオートファゴソームという小胞体に起源があるらしい袋で細胞質のゴミをくるんでしまい、

くるんだゴミはリソソームと呼ばれる液胞の分解酵素で最終的には、変性タンパク質はアミノ酸に、脂肪は脂肪酸に、多糖は単糖に、恐らくは乳酸はブドウ糖に変換されて、再利用される仕組みが出来上がっているのです。

このオートファジーという細胞質リニューアル機構があるおかげで、心筋や脳神経細胞などの細胞分裂が不可能な部位の細胞においても、見た目はそっくりとぜんぶリモデリングできなくても、

実際には常にオートファジーによって中身が新品にリニューアルされるというミラクルな生理現象が展開されているというわけなのです。

オートファジーは命というものが「変わらなくあるために、変わりつづける」ためには、なくてはならない必須ツールだったのです。

このオートファジーを亢進する、つまり活性化して通常よりもフル稼働することで、ガン細胞はガン細胞内の細胞質を常にリフレッシュし、

解糖系の亢進の副産物であるチマタではガンの原因物質だの、万病の元だのと呼び声が高いが、本当は単なる中間分子でエネルギー源である乳酸を分解して、もう一度、解糖系で使える糖に変換していたということなのです。

つまりガン細胞はちゃんと自分で自分の細胞質のゴミ管理が出来る極めて綺麗好きで礼儀正しく優秀な細胞であることが、80年前には分からなかったオートファジーの解明によって立証されたのです。

ガン細胞は化け物か?ガン細胞はテロリストか?ガン細胞は遺伝子が狂った暴走細胞か?ガン細胞は無限に増殖する悪魔か?

生命現象には善も悪もありません。すべては適応のなせるワザです。

無数のファクター(因子)やパラメーター(媒介変数)が混在する生命宇宙において、その動態のいちプロセスや一点を抽出しては、世紀の発見であるとか、病気の原因がわかったと、いい気になっているのが現代の思潮ではないでしょうか?

真核生物の命とは細胞核DNAとミトコンドリアDNAのおびただしい二重ラセンのヒモで結ばれ、連環したつながりの存在です。

だから、どこそこをひとつだけつまんでも、取りだしても、それは間違いなのです。

すべてをつながった全体として見る視点を失った医学など危なっかしくてしょうがありません。

炎症には起炎物質を介して免疫を賦活するという立派な役目があるのです。もしもガンなどで炎症が誘起されているのであれば、それはガン化した身体がみずからの意志で免疫力を高めるための自浄作用と見なせます。

炎症も発熱も崇高な生命が織りなす生理現象のいちプロセスです。

そこには正も邪もありません。

生理現象を円滑にスムースに流動させ、正常化するコツこそが、ネバネバヒートのタクトです。

ガン免疫はマクロファージの細胞膜レセプターをスタートとし、マクロファージによるガン細胞の貪食をゴールとする。

人類はすでにガン免疫をクリアしたのか?

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2014.12.27 | | コメント(4) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

コメント

ひとつを知って

ひとつの結論を得る。それだけが正しくて、他はまちがいなのか。
五感、第六感を無視してデータベースの情報だけで決めつけて
いいのかな。今朝ラジオで「子供の時は大嫌いだったネギ、
ニンジン、ピーマン。大人になって大好きになりました。」との事。
野菜作りが本業になりつつある私は、それはね、大人になって
味覚が鈍感になっているんだよ、とツッコンでしまいました。(笑)
漬物の表面に張る膜、バッタの体内に入り込んでその死骸を使って
遠くへ飛ぼうとする菌、納豆のネバネバなどなど。意志とか
まとまりを感じてしまいます。観察する事しかできていませんが
何かを教えてくれているのかも。
ナウシカに出てきた粘菌もそんな風でしたね。

2014/12/27 (土) 07:49:17 | URL | 桑畑五十郎 #- [ 編集 ]

ナウシカはまさにジャッジメントデーのその後の世界を描いているから、

今の時代とリアルにリンクしているんだけど、最初に自分がネットデビューしたサイトで、

ガンとは実はミトコンドリアのバックアップ細胞だ、との説を初公開した際に

ある内科医がそのコメントに反応して、ようやくガンの存在がナニモノなのか腑に落ちたと納得したと言って、

例えるなら腐海の森のような存在がガンではないか?とのレスを頂戴した経験がございます。

人々が忌み嫌い恐れおののくミアズムのカタマリである森が、実は汚染物質を浄化する聖なる森だったと気づいたナウシカ。

自然はいつも「ひとりする」命の営みの中にあるのです。

ただ人智のみがいつも間違う。

ガンメカニズムの解明においては、私の視点はユニークかつ独創的かもしれませんが、

これもそれも実際にガン患者さんの身体を触ってきた経験が導き出したもの。

五感も六感もすべて駆使してたどり着いた論説だからこそ、たまにヒトの心を揺さぶると感じております。

試験管内と生体内ではまたまったく生命現象は異なる様相を呈します。

基礎医学の研究結果と臨床医学のリアルなエッジエフェクトが相同するとは限りません。

バーチャルな脳内仮説とリアルな治療状況も整合性が合うかどうか不明です。

所詮は文字上のうわっつらの整合性を求めて、論述は展開されますが、現実の生体上においては、

文字上の世界など関係なく、ただ命のありのままの脈動に翻弄されるのです。

その奔放なる命の荒波に堪え忍んだ者だけが、真の意味での命の理を悟ります。

鍼灸師たちは白い巨塔の影に隠れて、今の時代は余りモノを言いませんが、熟達した術者たちは、それぞれが命の何たるか?を悟得しているはずです。

鍼医のままの、姿見せるのよ♪

こんな歌詞が今年はよく聴かれました、アレ、ちと違うか?(笑)

ハリーのままに飛び出してみるシリーズが「鍼医の夜明け」となったようです。

ウイルスもバクテリアも粘菌も宇宙意思と同期して「ひとりする」宇宙の仲間でしょうし、

ミトコンドリアも細胞も、もちろんガン細胞もまた宇宙と共に「ひとりする」命のありようです。

その身になって思考することを「内在的思考」というとは、飯山一郎氏の教えですが、

ガン細胞の身になって思考すれば、ガンの真相に誰でもアクセスできるはずです。

オートファジーは飢餓時により活性化することが知られています。つまりガン細胞はオートファジーを亢進していますから、例え糖質を制限しても屁でもないのです。

細胞質に合成されてくる乳酸や変性タンパク質からオートファジーを起動して糖新生をするのがガン細胞です。

ガン細胞には乳酸が滞積しているのか、どうかは実際にはわかりませんね。

ガン患者の身体、筋肉が極端に硬いことは事実です。これは体全体が甲殻類や節足動物のように防御態勢に入っている証拠と見なせますが、

5億4100万年前のカンブリア爆発の際に殻のようなキチン質の甲殻ボディを獲得した昆虫の祖先たちは、

このクチクラボディゆえに、強力な免疫力を獲得し、紫外線や宇宙放射線やウイルスやバクテリアに強い身体を得たのかもしれません。

ガンボディの筋肉の固さは、乳酸と変性タンパク質の蓄積というマイナスイメージとは裏腹に、乳酸と変性タンパク質という糖新生のためのエネルギーの埋蔵というプラスの視点も発見できます。

生理現象にはすべて善なる側面とそうでない側面があります。

いや、生理現象はすべて「ひとりする」命のありようです。

点をつかまえては、点で縛るの、点形的は論説が多いですよね。少し良くなっても線形的なところがいいとこ。

面まで行って、球まで拡大して、場まで到達して、ミクロからマクロの62桁の「ひとりする」無限宇宙全体から俯瞰できる視座を獲得する者はまずいません。

江戸期の革命的な鍼灸家、漢方家であった安藤昌益は自然という文字に「ひとりする」と読み仮名を振った。

「ひとりする内在的思考」からガンを読み解かねば、ガンの真相は到底わかりません。

そしてわかったからと言って、それがなんになるのか?も本当のところわかりません。

ナウシカの世界のような静かなる浄化ではなく、7万年前のトバ火山の噴火のようなスーパープルームの大爆発が起こって、火山の冬の訪れと共に、地球生命史はリセットされてしまうのかもしれませんね。

2014/12/28 (日) 06:23:12 | URL | 養生法の探求 #- [ 編集 ]

無限宇宙

今年売れた本に「ビッグバンの前には何があったのか」(おそらく)
というのがあるそうで。(ラジオ談)どうして宇宙の初めが必要
だったのかな。膨張し続けているとされるからなんでしょうか。
それこそ無限、始まりも終わりもないサークルでええんちゃうん、
とラジオにツッコミを入れる今日この頃です。(笑)

2014/12/28 (日) 07:22:37 | URL | 桑畑五十郎 #- [ 編集 ]

ひとりする永遠の平衡

桑さん、それが人智の限界なんでしょうね。

何事にも始まりがあり、終わりがある、という固定概念。

しかし、これもあくまで論理的な整合性を求めるバーチャルな脳科学がもたらす妄想だったら?

と疑念を持つことさえなく、ヒトは永遠の二項対立の思考パターンから抜け出せない。

善と悪、正と邪、病気と健康、始まりと終わり、勝ち組と負け組、1%と99%、・・・

ガンも含めてだけど、病気には絶対に病因があり、病因物質が介在するという病態メカニズムの存在を絶対視して、ここを解明できれば病気は克服できると盲信する。

それでミクロの細胞生理の分子レベルの世界を血眼になって、探索して、ついに病気の原因は遺伝子の異常にあることに先端医学は到達したが、

さて、あらかじめ未来に罹患する可能性がある疾患が分かったら、今度はこれをいったいどうして未然に防げばいいかが皆目わからない。

乳がんに罹患する家系の遺伝子があるからと、あるアメリカの女優さんはあらかじめ乳がんにならないように、お乳を取ってしまったというニュースが少し前に世間を賑わせたけど、

このロジックで行けば、そんじゃあいっそのことキレイサッパリ丸ごと、この肉体をあらかじめ消去しちゃえば遺伝子に関わる病気に将来はならなくていい、なる暴論まで飛び出しそう。

だから遺伝子も環境次第でいくらでもオン、オフを調整できるんだって。

それがエピゲノムというシステムであり、エピゲノムな養生法を駆使して例え遺伝子に幾ばくかの罹患予定データが記載されていたとしても、

それを跳ね返すだけの努力をすれば、ヒトは健康でいられるはずなんだよね。

平衡ってのは動くことを意味するんだけど、振り子を振り続けて、砂時計をひっくり返し続けることが、生きるって意味だと思う。

はじめなきはじめにはじまり、おわりなきおわりに向かって、永遠に膨張と収縮を繰り返すのが宇宙原理じゃね?

2014/12/29 (月) 05:23:22 | URL | 養生法の探求 #- [ 編集 ]

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