夜明け余話

「『手当て』という行為は、人類の医の根源を象徴するものであろう。原初の同胞たちは今日の『皮膚ー筋肉』の解剖学的関係を知るでもない。また体節構造のメタモルフォーゼというゲーテ形態学の理論を知るでもない。かれらは病める仲間の、もっとも厳正なツボに、思わず知らず手を当てたのだろう。というのはかれらは生まれながらにして、すでにそのツボを心得ていたのではないかと思われる。東西医学の源流とは、じつはこうした『古代の知』に求められるべきではなかろうか。」

この言葉は1975年3月20日に開催された第102回「東西医学を結ぶ会」での解剖学者、三木成夫博士の「ツボの比較解剖学的考察」と題した講演の結びの言葉である。

三木博士の言説は生前よりもむしろ没後により輝きを放ち、今もって色あせない不朽の医学哲論とされ、近年ますます注目度が高まっていることは知る人ぞ知る事実だ。

チマタには売れっ子の生物学者や脳科学者や解剖学者がそれなりにいるが、三木博士の視野の広さやその言葉の流麗さは、かれら売れっ子をかなたの地底に埋没した存在にしかねない程に素晴らしいことも、また知る人ぞ知る事実だ。

わたしがガンメカニズムの解読のキッカケを得たのはミトコンドリア博士として名が知れている歯科口腔科医の西原克成博士の著書の一節であったが、西原博士の師匠こそが三木成夫博士であった。

民間の皮膚科学者の「皮膚は0番の脳」発言で有名なこれまた幅広い視野をもつ傳田光洋博士もまた、三木成夫博士に言及している。

ホンモノは実際には実に少数です。そしてホンモノはホンモノにしか萌えません。アンテナを鋭くし、嗅覚をヴィクトル並みに研ぎ澄ませればニセモノには決して騙されません。

ホンモノは西洋医学と東洋医学を意味不明に線引きしたりしませんし、上から目線で医者を罵倒したり、鍼灸を胡散臭いと言ったりもしません。

三木博士も西原博士も傳田博士も東洋医学に対してしっかりとした意見をお持ちであり、その意見がまたまことに優れていることには鍼医として尊敬を抱きます。

さて、このたびは「鍼医の夜明け」と題して、鍼の起源を遡りながら、人類史と医療の関わりを俯瞰しつつ、ガンのメカニズムを完璧に解読し、ミトコンドリアの機能との関連をさらに深く追及し、最後には自分なりのツボ仮説を提示しました。

とうてい三木博士の蘊蓄(うんちく)には及びませんが、少なくとも間中善雄博士の「体の中の原始信号」には僭越ながら幾ばくか接近できたと自負しております。

人体に遺体制として残存するツボや経絡のような原始的な信号系を「X信号系」と名づけて、その源泉を探った外科医・故・間中善雄博士もまた偉大なる我が師匠であります。

今回の旅では旅程を急ぎすぎて、すべての渡航地を余すことなく味わうに到りませんでした。つまりもっと深く関わらねばならない問題が多数浮上する旅となり、20回で終えるには惜しい収穫がまたたくさんございました。

よって、少しリラックスした心境で、今回の旅路を振り返りつつ、書き足りなかったポイントを反芻し考察したく思います。

題して「夜明け余話」

どうぞ、くつろいでお聞き下さい。



※ 冒頭引用は、三木成夫著「人間生命の誕生」築地書館

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2014.12.21 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

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