The dawn of Harii 19

ヒトの細胞にはそれぞれ細胞膜と呼ばれる生体膜があり、この細胞表面を覆う膜はリン脂質とタンパク質で構造化されている。そしてこの細胞膜には糖鎖と呼ばれる多糖体がうぶ毛のようにビッシリと生えており、この糖鎖という分子が標識となり、免疫や受精や情報伝達が行われている。

免疫細胞における論考でしばしば取りざたされるHLA(ヒト白血球抗原)やMHC(主要組織適合性遺伝子複合体)や抗原ペプチドなどと呼ばれる細胞の標識も、この糖鎖領域における免疫系の認識機構である。

さて免疫の語源が「疫病を免れる」にあることは本ブログではこれまで再三にわたり指摘済みであり、これまで本ブログでの免疫論においては免疫の意味もしつこく論考している。免疫とは感染症に一度罹患することによって、リンパ球のB細胞がメモリーB細胞となり、

抗原を記憶することで次ぎに同じ抗原が侵入した際に速やかにメモリーB細胞が形質細胞(プラズマB細胞)に変化して、抗体を産生することで抗原に抗体がくっつき抗原を無毒化してしまう「二度なし現象」を一般には意味し、

この原理を応用したワクチンによって20世紀初頭になりヒトの天然痘が撲滅され、各種の感染症を予防できるワクチンという医療技術が確立されたことは言うまでもない。ワクチンの効用の是非を論ずることは今やトレンドであるが、一応は天然痘が撲滅したことはジェンナーらの功績に負うところが大であるというのが世界の常識である。

実際に天然痘における人痘接種はすでに中国は宋朝(960〜1279)の時代にすでに実施されていたわけだが、本当の意味でワクチンの技術が確立されたのは20世紀に入ってからと言えよう。

免疫はこういったワクチンを含む免疫記憶による獲得免疫の分野がこれまでは主に研究されてきたが、マクロファージをはじめとする自然免疫の分野はものの本によると「自然免疫は免疫にあらず」とまで記述されるまで差別されてきたようである。

この自然免疫だけで免疫を担っている無脊椎動物が地球には大量に棲息し、生命界の覇者と呼ばれる昆虫類もそれに次ぐ規模で繁栄を誇る軟体動物も、みな自然免疫のみで地球上のあらゆる領域を生き抜いていることは特筆に値する。

昆虫はカブトムシの成虫が代表するようにその外殻をクチクラと呼ばれるカッチリとした分泌物でシールドして身を守り、ヤワなイモムシの幼虫時代に、もしもその皮膚が傷つくとそこには限定的にメラニン色素を発現して遺伝子を守ろうとし、またメラニンの中間産物として強力な活性酸素を発生させて侵入してくる大腸菌などの抗原に対処します。

またトールと呼ばれる遺伝子を使って異種抗原に対抗する抗菌ペプチドを数種類も合成できて、またレクチンと呼ばれる糖鎖認識機構を使って体内に侵入した分子を特定し、それに見合った抗菌ペプチドを分泌しています。そして昆虫の体重の30〜50%は共生菌の重さであり、これら常在菌の分泌する抗生物質によっても昆虫の身体は守られているのです。

昆虫が最強なワケはこのようなクチクラシールド、メラニン色素、活性酸素、抗菌ペプチド、抗生物質などの複合的な自然免疫により成り立っています。

イカやタコや貝やウミウシなどの軟体動物はリゾチームなどの加水分解酵素を使い細菌の細胞壁を壊して防御し、凝集素や補体と呼ばれる免疫補助物質を使って異物を取り囲み、マクロファージなどが食べやすいようにオプソニン化して、食細胞を誘導しています。

リゾチームと呼ばれる抗菌物質はヒトの涙や鼻水や母乳にも含まれる液性免疫物質ですが、このリゾチームの発見者はアオカビから抗生物質のペニシリンを発見して、抗生剤の一大発展を引き起こしたイギリスの細菌学者アレクサンダー・フレミングによります。

軟体動物の棲む場所は主に湿気が多かったり、水場であり、その体表も多糖体でヌラヌラと濡れているのでこのような軟体動物に特有の免疫機構が備わったと分析されています。

こうした地球生命史のなかでは古参の脊椎を持たないゆえに獲得免疫を持たない生命種もまたそれぞれが特有の免疫機構を持ち、その遺伝子にはガン抑制遺伝子のP53を保持して、ガンや感染症をその免疫力で未病治しているのです。

そして、これら自然免疫のみで生き抜く種の力強い味方となる免疫細胞こそがロシアの微生物学者メチニコフがヒトデにバラの刺を刺して集まる細胞があることを発見して、食細胞と命名したマクロファージであったのです。

ヒトのマクロファージの細胞膜にはトール・ライク・レセプターと呼ばれるタンパク質で出来た異物認識受容体が10種ほど存在し、そのうちのTLR4と呼ばれるレセプターは抗原として

菌類の多糖体と、細菌の細胞膜成分のリポ多糖と、ウイルスの外殻タンパク質のカプシドと、出血時に血液を凝固する前駆物質のフィブリノーゲンと、ヒートショックプロテインのHSP60とHSP70の、5種類の抗原を認識します。

つまり発酵食品を積極的に摂取し、ネバネバ多糖をレシピに豊富に加え、ヒートショックプロテインを分泌できる鍼灸指圧を励行するようなライフスタイルは、マクロファージのTLR4をよく賦活して、ヒトの免疫力を高めるのです。

体温を上げるとなぜ身体にイイのか?発酵食品を食べるとなぜ免疫力が上がるのか?ヒートショックプロテインがなぜガン治癒とつながるのか?

これらの疑問への解答こそがマクロファージの細胞膜レセプターTLR4の威力であったのです。

マクロファージの真価を知ることでヒト免疫論はさらに進化します。

末期ホモサピエンス存続のために、最後まであきらめずに鍼医は夜明けを目指します。


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2014.12.19 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

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