The dawn of Harii 13

私たちヒトを含む地球生命体の中で多細胞生物として生きるユーカリアの一族はみな細胞核ゲノムの染色体末端にテロメアをもち、細胞分裂の回数が規定されているので寿命が存在し、寿命が尽きれば個体は死滅することは真逃れない。

仏教では生老病死(しょうろうびょうし)を四つの苦しみ、四苦(しく)であると説くのであるが、病気が苦しみであることには異論はないが、生まれ生きることや、老いることや、死ぬこと、が苦しみであるかどうかは各個人のありように任せられているような気がする。

多細胞生物は多細胞のツケとして寿命を規定されたが、種を存続するサバイバル戦略として細胞レベルでは古くなったり、使用不能になったガン細胞やウイルス罹患細胞を

プログラム細胞死させるアポトーシスの機序を発動することで消滅させて、新しい細胞に生まれ変わらせるリモデリング戦術を駆使し、

細胞は常にリニューアルされて新品でいる仕組みを生みだした。また個体レベルでは生殖を介して男女のそれぞれのDNAを1本ずつ組みかえることで、丸ごと1個体を新たに造り替えるという親が子を作るシステムを編み出した。

つまり地球に生きる多細胞生物は細胞レベルでは細胞リモデリングによって、個体レベルでは配偶子を作ることで、種のレベルでは進化することで、それぞれの階層で地球環境にしがみつき生き残るスベを獲得したと言える。

癌という疾病に関してもこの3つの生命階層から俯瞰して解読するとその意味がよりクリアになる。

まず細胞レベルからガン細胞を見ると、これは細胞核DNAにはガン原遺伝子というガン化を促進する遺伝子が最初から組み込まれていることが分かっており、

またガン抑制遺伝子としてはP53遺伝子がプログラムされていることが有名であるが、つまり細胞核DNAにはガン化を促す遺伝子と、ガン化を抑制する遺伝子が最初からセットアップされていることをまず確認したい。

これはどういうことかというと、ガン原遺伝子は通常は正常細胞が細胞分裂を適切に起動するためになくてはならない遺伝子ということであり、

それは古くなった細胞を新しく細胞分裂によってリモデリングしていく多細胞生物には、絶対に必須なリモデリング・ゲノムツールだということなのだ。

ガン化は通常生理において必然のプログラムである。まずこのことをしっかりと認識しなければならない。

さてミトコンドリア研究から判明したガンとの関連事項では、ミトコンドリアDNAの変異によっては細胞はガン化しないという事実は注目に値する。

たしかにミトコンドリア内の呼吸欠損によってATPが作られないと、そのバックアップとして解糖系が亢進して細胞がガン化することはあるのだが、

そうではあってもミトコンドリアDNAの変異と細胞のガン化は関係ないということである。つまり細胞のガン化を主導するのはあくまでも細胞核DNAの変異なのだ。

ミトコンドリアが12億年前に原始真核生物に共生したパラサイト、寄生体であることを思い出せばこのことの意味がよりはっきりするだろう。

ミトコンドリアは宿主、ホストである原始真核生物の体内に寄生する際に自身の m t DNA のほとんどの遺伝子をホストの細胞核DNAに水平遺伝によって移送することで、

酸素濃度が急上昇して有毒物質である活性酸素にさらされる危険性が増していく地球環境の中で生き残る道を選択した。

このミトコンドリアが酸素をエネルギー源として除去しながら、酸素を猛毒として排除したい原始真核生物と共生したことで、真の意味での真核生物、ユーカリア・ドメインが誕生できたのだ。

ミトコンドリアはホストの細胞核DNAに m t DNA のほとんどを疎開避難させてもらったその見返りに、細胞内でミトコンドリアは酸素呼吸をして大量のATPを生み出すことに特化した細胞内オルガネラとなり、

細胞核DNAに移譲した m t DNA の遺伝子と細胞核DNAの遺伝子と、ミトコンドリアに残存した m t DNA の遺伝子による

細胞核遺伝子とミトコンドリア遺伝子の2系統の遺伝子ルートに指令され支配される、いささかややこしい器官になったのだ。

だからこそ細胞のガン化には パラサイトの m t DNA の変異だけが関係するのではなく、あくまでも細胞のガン化はホストの細胞核DNAの変異におけるガン原遺伝子の起動とガン抑制遺伝子の停止が主導すると言えるのだ。

そしてなぜ細胞がガン化するのかは細胞レベルにおいては、ガン化によってミトコンドリアが産生していたATPを解糖系を亢進してまかなうというATP産生バックアップ細胞として生まれ変わるという

非常に貴い使命があることがわかるのであり、もともとガン原遺伝子が細胞核DNAにはプログラミングされていることからもわかるとおり、

細胞が危機的な状況になった時の細胞のガン化は必然なのだ。結論としては細胞レベルにおいては細胞のガン化は善といえよう。

では個体レベルにおいてはどうかと言えば、これは多細胞生物は多細胞が協調して動的生理を営んでいるのが正常なのだから、その中である組織の細胞が特異的に増殖を始めることは

決して好ましい状況とは言えず、無論、これはまるでガン細胞というテロリストのような細胞の異常な反乱と見なせる。

よって個体レベルから見ればガン細胞はやはり悪と言えよう。

さて種のレベルでガン細胞を捉えるとどうなるのだろうか?種が進化を使命として存続を計るものとすると、ガン化した個体は種の存続には適さない変異かもしれない。よってガン化個体がやがて消えていくことは正常な種の維持にとっては善である。

しかし種を維持するためには一定数の個体を常に維持する必要がある。もしも個体数が減っていくと例えばネアンデルタール人が2万4000年前にスペインはジブラルタル海峡を望むゴーラム洞窟で最後の1個体が生を終えたように、

種は数が減っていけば絶滅は真逃れない。よってガン化個体の死は種の維持に必須な個体数がマイナスになることを意味するから悪なる事象と見なせる。

総括すると種にとってガン化個体が発生することは善であり悪であるとなる。

ちまたにはガンの解読を謳った言説が溢れ、ガンを治すインチキ説が横行し、ガンを治さない医者がクローズアップされて、今やガン論争は時の一大トピックになった感がある。

しかし、その中にまともな論争がどれだけあるのか?いや、真面目なガン解読がいかほど存在するのか?わたしにはとてもあぶなっかしく思えるのだ。

ガン細胞は細胞レベルにおいては決して悪ではなく「敵ではなく味方であり仲間である」し、個体レベルにおいては多細胞性の協働を妨げるテロリストのような悪の存在であるし、種レベルにおいては変性個体の消滅は善であると同時に個体数の減少としては悪なる事象と言える。

この生命3階層におけるガンの正しい認識がなくば、ガンの解読などできようがないのだ。

わたしがこれまでに「ガンは敵ではなく味方であり仲間である」と言い切ったのはあくまで細胞レベルでの話しということが、やっと今回の解説で理解できたかと思う。

この革命的な発言は多くの賛同を得るとともに、また多くの反発を招き、少なからぬ予期せぬストレスをリアルな生活に持ち込まれたことすらある。

例え自分と異なる意見があろうとも、その考えを尊重するのならまだしも、ヒトサマに直接会って食って掛かるヤカラまで出現したのだから、自分の突飛な発言が招いたとはいえ、それはそれはまったく恐ろしくも驚いた事件だった。

さて、人間の化石などから判明していることとしては、どうもガンという疾患はここ2000年ほどで出現してきた随分と新しい疾患らしい。つまり人類はここ700万年のあいだ、特にガンなど気にしないで生きてきたようなのだ。

それはやはり過酷な自然界を相手に生き抜いてきたからだろう。地球環境の激変をもろに浴びる生活では細胞核DNAとミトコンドリアDNAをフルに起動してATPを産生しなければならない。

そうある場合にはエヴェンキ族のように m t DNA を少し修正して熱産生に傾けたミトコンドリアを生みだしてまで、氷河期のような極寒な環境に適応しなければならない。

だからガンになどなってるヒマは人類史700万年のあいだにはなかったようなのだ。

そういう意味では現代のガン化もまた現世ホモサピエンスの現代文明への適応の結果なのかもしれない。不死なる細胞であるガンを増やす選択をすることで個体レベルのホストを存続せんとする神なる細胞がガン細胞だろう。

ミトコンドリアはATP産生器官であると共に細胞内の解毒器官だ。有毒物質にまみれた現代の生活において細胞内に毒物が侵入した際に真っ先に被曝するのがミトコンドリアだ。その結果ミトコンドリア内での細胞内呼吸がおかしくなって、

呼吸酵素反応に欠損が生じると、やおらワールブルグ効果が発動して細胞核DNAはガン原遺伝子を起動するのである。

現代において細胞レベルにおいても、個体レベルにおいても、種のレベルにおいてもガンが激増しているのは、有毒文明の必然の結果と言えようか。

明日は選挙だそうだ。ガン文明と共に人類もガン化して共倒れする道を選択するのか?

はたまた環境共生文明に舵を切り、脱病院化社会を目指すのか?

期待はまったくできないが、それなりに重大な選択を私たちは明日しなければならない。

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2014.12.13 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

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