The dawn of Harii 10

冬の気温が摂氏マイナス70℃以下にまで下がる北シベリアに住むエヴェンキ族はトナカイを飼い慣らし、トナカイを食料にし、皮革製品にし、ソリを引く動力源にすることで生計を立てる現生ホモサピエンスの一族である。

彼らは通常は増えすぎた野生のトナカイを狩ることで、このトナカイを食するのだが、もしも野生のトナカイ肉が手に入らないと自分達が飼っているトナカイを屠り食用に供する。

トナカイは優しく押し倒されて心臓をひと突きにされて殺されると、即座に解体が始まる。コップをもっていき内臓から溢れる温かい血を注ぎこれを飲み干し、脳味噌は刺身で頂き、目も肝臓も美味しいと舌鼓を打つ。肉は茹でて食卓に上るが、その他には刻んだ脂や凍らせた乳もレシピにあがるという。

ホモサピエンスが経験した氷河期の生活の一端が垣間見られるようなエヴェンキ族の生活は実に興味深い。恐らくは欧州はオーリニャック文化を華開かせた初期ホモサピエンスもまたエヴェンキ族と同じく狩りで仕留めた

ケブカサイやマンモスやレイヨウやアカシカやオーロックスやバイソンやイノシシやウサギやライチョウやカモをその場で生で食し、あるいは遠赤外線を発する石のフライパンで焼いて

ステーキやソテーにして頂き、干し肉や生ハムにして貯蔵したかどうかは定かではないが、骨も腱も皮もみな余すことなくすべての素材を「もったいない精神」で使い尽くしたことだろう。

カリフォルニア大学の遺伝学者ダグラス・ウォレスの調査によれば、エヴェンキ族のミトコンドリアDNAは寒冷地に適応した変異をすでに有しており、熱帯地方では効率良く回転して熱をほとんど発生させないミトコンドリアが、北極圏では mt DNAの変異によってエネルギー産生効率を下げて、熱を発生させるようになっていることを突き止めた。

mt DNAの遺伝子は13種類のタンパク質しかコードしておらず、そのタンパク質のすべてはATP産生に特化しているのだが、つまりはエヴェンキ族のミトコンドリアはATP生産量を減らすことで、熱産生に比重を向けた進化をすでに遂げているというのだ。

またトナカイ肉ばかりを食べるような食習慣はエヴェンキ族の甲状腺ホルモンの合成を促進することで、全身の新陳代謝が活発になり、寒冷地における体温低下を未然に防止しているとも分析されている。甲状腺や副甲状腺においてサイロキシンや、パラトルモンやカルシトニンを生み出すのもその細胞内ミトコンドリアであることは言うまでもない。

エヴェンキ族の寒冷地適応なエピゲノムな mt DNA変異において、ここにもやはり私は「 ヒト m t M 進化 」のエビデンスをヴィクトルよりは60%ほど鈍麻した嗅覚受容体で嗅ぎ取った。

ミトコンドリアという直系1ミクロンの細胞内共生体は普通は名称のミト(糸)のイメージよりも、むしろコンドリオン(粒子)で思い描かれることが多く、生物の教科書などの挿絵はほとんどが繭(まゆ)のような俵型のイモムシである。

しかし実際には単独で粒子でいることはほとんどなく、文字通りミトの糸状なネットワークを形成し、細胞核の周囲にまるで細胞核DNAを守る砦(とりで)を築くように毛細血管か神経網のような網目を張り巡らして存在し、

ダイナミックな地底マグマのマントルプルームと同じ細胞質の原形質流動に伴って糸がほつれては分裂し、また糸がくっついては融合する動的平衡な連繋的生理を営むことで、細胞活動に必須のATPを産生し、熱を生みだし、鉄イオンを介した解毒や酸化還元反応を正しく執り行っている。

さて、ここまで足早に人類史700万年の足跡を追いつつ、鍼の起源を探る旅を進めてきた。じつは思っていた以上に旅路での収穫が多く、本来なら10回で終了する予定であったが、まだまだ洒落たSUVのガソリンが充分にありそうだ。

よってさらに10回の旅を続行し、人類史と鍼との「 m t M 」なる関係を探っていきたい。

ウィキペディアによれば今から3000余年前に栄えた中国は伝説の王朝である殷の時代の遺跡から石や骨や竹や陶土で作成された鍼が発見されているという。現存する中医が使用した鍼のエビデンスとしてはこの辺りが最古の物件と言えそうである。

わたしは大胆にも、鍼の起源をホモサピエンス発祥の20万年前にまで巻き戻した。荒唐無稽であったか、革命的な発想であったかはこの旅が終わる頃には大勢が判明しているであろう。

「ヒトは鍼を打つことで気や経絡を獲得していったのだ」

何もしないでただボンヤリとしていただけでは気も経絡も実在の領域には姿を見せない。わざわざ鍼を打ち、灸を据えて、指圧をするからこそ、

ヒトの皮膚や mtDNAはそのエピジェネティクスな刺激に反応して、気や経絡というものをその肌や細胞に顕在化するのだ。

「まるでミトコンドリアの網目状のネットワークをなぞるような経絡が、ヒトの皮膚や全身にまとわりつくには人類史20万年が必要だったのだ」、とこれまた大胆な仮説をここに提示する。

気や経絡は誰にも等しくそこにあるものではなく、鍼灸指圧をしたり、されたりを通して、はじめて認識され出現するものである事をここに強調しておきたい。

鍼灸指圧を通して気や経絡を認識できる身体に変えていくこと。これこそが鍼灸指圧を通した真の「変わらなくあるために、変わりつづける」医療の醍醐味なのです。

魔法のような鍼灸指圧の健康効果も、継続治療により気や経絡を患者が体感し、気の実在を認識獲得した先にあるものなのです。

では、美しいサンゴにウミガメも泳ぐ有数のダイビングスポット紅海の入り口はバブ・エル・マンデブ海峡からリスタートです。見晴らしのいいフロントウィンドウからは朝日を写したペルシャ湾が金色に輝いています。

エンジン全開、アクセルはフルスロットルで!

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2014.12.08 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

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