ガーディアン エンジェル 4

今から38億年前の生命誕生から少なくとも30億年間の地球生命界は、バクテリアしか棲息しない世界であり、それはまるで実験室のシャーレでバクテリアを培養するのと同じく巨大な惑星シャーレにおける地球バクテリア培養槽であったと言える。

1929年、イギリスの細菌学者アレクサンダー・フレミングはシャーレの上でブドウ球菌を培養するつもりが無菌操作に失敗し、アオカビを繁殖させてしまう。しかし、この失敗が世紀の医学的大発見へとつながっていったのだ。

ブドウ球菌が繁殖したシャーレ上にはポツポツと丸い特異的なサークルが見いだせた。実はこのサークルの中心にはアオカビが存在し、アオカビの周囲には円形のブドウ球菌が繁殖できないサークル部分(阻止円)が形成されていたのである。

このことからフレミングはアオカビの分泌物にブドウ球菌の増殖を阻止する作用があることを発見し、その分泌物から抽出した物質をアオカビの学名であるペニシリウムにちなみ「ペニシリン」と命名するにいたった。

ペニシリン発見当初はアオカビからペニシリンを抽出をするのが難しく実用化には時間がかかったが、約10年後にはオックスフォード大学で研究を継続していたハワード・フローリーとエルンスト・チェインがペニシリンの画期的な抽出法を確立し1940年頃から大量生産が可能となる。

このフレミングによるペニシリンの発見こそが人類の医学界における「抗生物質はじめて物語り」だったわけだが、バクテリアという微生物は自身の体を守るためにこうした抗生剤的な分泌物をまとうものであり、

またバクテリアは仲間同士でオートインデューサーというホルモンともフェロモンともつかない情報伝達物質のシグナル分子を分泌してコミュニケーションをしており、

このバクテリア間におけるシグナル分子を介した会話はクオラムセンシングと呼ばれ、英語でクオラム( quorum )とは議会の定足数を意味するのだが、分子言語であるオートインデューサーの数量が増してくると

仲間が増殖して定足数に達したことをバクテリアは細胞壁のシグナル分子レセプターで受容し、次なる生理的反応としてとして仲間全体が生き延びるのに都合の良い特別なタンパク分子を生成するのだ。

つまりブドウ球菌が繁殖したシャーレの中でアオカビのコロニー(群れ)がオートインデューサーというシグナル分子を介して仲間のアオカビとコミュニケーションし、クオラムセンシングに達した際に分泌を開始するのが特別なタンパク分子のペニシリンということであり、

つまりはペニシリンとはアオカビ自身がブドウ球菌の増殖した敵地、アウェーで生き延びるために放った「免疫抗体」であったと言えるのだ。

バクテリアしか棲息していなかった生命誕生以来の30数億年をかけて、地球バクテリア培養器のそこかしこに蠢(うごめ)いていた無数の夥(おびただ)しい多様多種のバクテリアたちは、

それぞれが同じバクテリア種の仲間とオートインデューサーを介して交流しクオラムセンシングを重ねては他のバクテリアの抗生物質に対抗すべく特別なオリジナル酵素の開発にしのぎを削っていた。

このバクテリア達の凄絶なる抗生剤開発戦争の結果、やがて地球の土壌は土壌バクテリアたちが産生する代謝産物である腐植前駆物質のフマル酸やフルボ酸や乳酸や抗生剤的な物質が蓄積されていき、

植物や動物が生きるのにふさわしい土壌が形成されていった。

土壌菌の豊かな土地で栽培された作物はそれを食べるだけで免疫が強くなるというが、それもこれもバクテリアが長き38億年間のクオラムセンシングの賜物の酵素がその土壌に充満しているからと言えるのかもしれない。

バクテリアはバクテリアでバクテリアの世界での生き残りをかけて他種のバクテリアとの激しいバトルを繰り広げながら自分の免疫力を確保してきた。

それはまさにバクテリア自身の内なるDNA・RNAセントラルドグマを起動しての特別な酵素タンパク分子の合成分泌プロセスであり、阻止円の砦(とりで)を自分の周囲に築く営為であったと言える。

ヒトの表皮や腸管内皮には800〜1000種類、数百兆の常在菌が共生している。

これら膨大なヒト常在菌が放つ抗生物質がいわば病原菌や病原ウイルスを人体内に寄せ付けない免疫バリアーの第一の砦として機能していることは忘れてはならないだろう。

わたしたちヒトはヒト単品で免疫系を維持しているのではない。地球生命界の大先輩であるバクテリアが共生共存してくれているからこそヒトは病原菌や病原ウイルスに対抗して生きていけるのだ。

もしもこのヒトが繭(まゆ)のようにまとうバクテリアによる免疫バリアーの第一関門を病原菌や病原ウイルスに突破されたら、この時こそ次なる一手の免疫細胞の出番となる。

即座に駆けつけるのは自然免疫系の免疫細胞たちだ。

脊椎動物を除くすべての動物たちは自然免疫だけで健康を確保している。

マクロファージの細胞膜にここ38億年間の異物データバンクが存在しました。

免疫の真実のベールがこれから紐解かれる!

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2014.06.28 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 免疫強化

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