ファイティング スピリット 4

落語家の立川志らくさんのおじいちゃんは昭和の名灸師としてその名を知られた深谷伊三郎その人であるが、彼の口癖は「ツボが治すのではなく、ツボで治す」でありました。

その著書である「お灸で病気を治した話」の語り口はまことに流麗かつユーモアに溢れ、まるで落語を読んでいるようにリズミカルですが、その独特の話術はDNAの遺伝子群が子から孫へと伝播して志らく氏の語り口となって開花したようです。

ようは巷(ちまた)に溢れるツボ情報とは、つまりは深谷師匠の言うところの「ツボが治す」錯覚のたぐいがほとんどであり、「ツボで治す」という本質論はまず皆無であると断言できましょう。

例えば包丁をもって50年の板前がマグロの刺身をサッと見事な手さばきで造るからと言って、では、彼が「誰でもできる上手な刺身の造り方」という本を書いたとして、それを読んだ読者に読んだ先から包丁持って50年の料理人と同じ包丁さばきができるでしょうか?

あるいはプロの声楽家がいて、彼女は小さい頃から歌を歌うのが大好きで、近所の木工屋さんの工場にお邪魔しては穴の開いた床に細い棒を立ててマイクの替わりとし、自慢の歌声を披露しては喝采を浴び、やがて高校生になると本格的に声楽家を目指し、

芸大に入学した際に試験官となったその後の恩師に「35歳まで続ければいい声が出るようになる」と言われ、その言葉を信じて今やアラフィフとなり、その歌声はただ綺麗なだけでなく味がある領域に達したが、

その彼女をして「明日から簡単に誰でも歌えるプッチーニ作「蝶々夫人」より『ある晴れた日に』」なるテキストを頂いたとしても、もちろんソプラノのアリアなど素人の弟(俺)に歌えるわけもなく、

つまりは、プロと素人とはその持てる情報量、コンテンツに圧倒的な差があるからこそ受容と供給が生じ、プロは商品としての存在価値が発揮されるのです。

東洋医学は中国で体系化されましたが、もちろんそれ以前から世界中で行われた原始的な人類共通の医療だったのであり、その歴史は恐らくは2万年前までは遡れるでしょう。

それだけの経験がDNAには蓄積されているので、ツボ療法は本能的に親しみやすい医療で、まるで誰でも扱えるシロモノと思われがちです。

だけどさ、ちょっと待ってよ。

いいっすか?

その道50年の包丁人や、声楽ひと筋45年のプロと同じ事をいきなり素人ができないのと同じでね、ツボを使って身体を調整するなんてことはだね、その道20余年にしてようやく少しはできてきたかな、ってのが鍼灸師である俺の実感であってさ。

「誰でもできる簡単即効ツボ療法」みたいな馬鹿なツボ本のたぐいの如く、誰でもツボの位置さえわかればスグにプロと同じような治療みたいな事ができるなんて事は絶対にないんですよ!

ったく、何で東洋医学業界はこういうツボの大安売り、大バーゲンセールを平気でするんだい!

もっとてめえらの魂を大事に扱えよ!

いいですか?

冒頭の深谷師匠の言葉を思いだして下さい。

「ツボが治すのではなく、ツボで治す」

誰でもツボ治療ができるんなら、俺らプロの鍼灸指圧師の存在意味は無いってぇの!

あのね、ツボ、ツボって言うけどさ、ツボの何たるか?がね、素人にわかるわけがなかろうに。

ツボに触れ、その声に耳を澄ませ、その言葉を聞きとり、そのなすがままに身をゆだねてきたものにしかツボを語ることはできません。

ツボの声こそが命の声なのです。

であっても、まだまだ私ごときでは、命の何たるか?などわかりません。

こうしてついにようやく私がツボの何たるかを今語り出したので、これからは馬鹿なツボ本はそれほど発刊されなくなる?かどうかはまだ不明ですな。

例えツボの位置がわかっても、それじゃあ、そのツボとどう渡り合うのか?が素人ではまるっきりわからないわけでね。

ツボは一種の扉(とびら)なんです。

こちらにそれなりのコンテンツがある場合にのみアクセスが可能となります。

ベテランの治療師になればなるほど、その持てる情報量が多くなる。

だからこそ同じツボを使っても治療の結果が違うのです。

わたしは日々、ツボに鍛えられてようやく、やっと、ここまで来ました。

「誰でもできる万病を治す決定版ツボ療法」みたいなツボの大安売りは、結果として東洋医学の信憑性を貶めて、その医学的信用性を失墜させてきたと言える。

もう止めなさい、ツボ本の量産は!

ツボとは何なのか?

東洋医学のホントのホントを自分の体感から導き出した言葉で語りましょうよ。

ツボは、ヒトとヒトを、過去と未来を、DNAとHSPを、体表と内臓を、今日と明日を、命と命を、つなぐ道しるべ。

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2014.04.13 | | コメント(7) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

コメント

駄文

お久です。

時間を掛けて思考させたり、技術習得させたり、経験を積ませる事を、コスト第一で否定する社会ですから。

実体験の積み重ねや、繰り返しの努力なんて、カッコ悪いし、するだけ無駄なんでしょうね、今の某島国では。

表面だけ舐めて、分かったつもりにさせて、美味しく金儲け。

どの業界もインスタント化して、薄い感じは隠せないかな。

それで幸せを感じる人間がいるなら、それを否定はしないけどね。

本物は否定され、絶滅危惧種に成り、衰退して滅亡かもね。

それでも戦い続けるしかないんだよね、敗戦処理の戦いだけど(笑)

2014/04/13 (日) 10:24:44 | URL | クチブラ #2JEUmp5Q [ 編集 ]

すみません。もっと駄文です

 声楽のお姉さんの方にしかと関心が向いてしまいました。うちの生活で不足してると感じているのが心ふるえる生音楽を聴く機会が長らくないこと。
 音楽は大好きで,造詣は全く深くはありませんが,音にはなぜか敏感なほうで(-_-;)
 スーパーやなんかで流れているけたたましいエンドレスの音楽には行くたびに腹を立てている(あ~ゆう音楽の環境で働くことは私には拷問にも等しいと…)
 TVやめたのもラジオもあまりつけないのも騒音にしか聞こえない音や声が理由の一つ。
 聴いてみたい…今度きっと行く…農閑期なら… 教えてください。←助けてください位のレベル  飢えてるらしいです… 

2014/04/14 (月) 04:52:07 | URL | 南のおかん #- [ 編集 ]

駄文返信

ブラちゃん、おひさでやんす。

何が腹立つっていうと、ツボ本書いてる連中はね、それで本書いたっていうキャリアを作って、ようはテメエのカネモウケなわけよ。

本書いて、有名になったと思わせて、客寄せパンダの役を本がして、一石二鳥ならぬ五鳥くらい狙ってるだろうね。

ただ、ずっと見てると、だいたい同じ者が同じような内容のツボ本を出してるし、まあ新手の方々もその内容は似たり寄ったり。

ホント、くだらん東洋医学コンテンツの大安売り。

こういう消費のされ方だと、確実にうちら業界は絶滅するね。

胡散臭いという発言はね、完璧に舐められてるからこそ出てくる言葉。

それから自国の伝統医学は何だったのか?の完全なる記憶喪失のせいでもある。

であるのなら、ここから俺が徹底抗戦に出てだね、オセロの盤面には白が残り1個だけどさ、奇跡を起こして次々に黒にひっくり返して白一色に塗り替える楽しみがあろうってもんだわさ。

やったろうじゃないの!



南のおかんさん、いつか姉とジョイントで珍講義&声楽コンサートなんて洒落込んでみたいもんですね。

音楽産業もその背後はほとんど、ようはある勢力の支配下であるようです。

音に著作権をつけて、それで儲けようなどとは、まったく笑止千万だ、が姉の口癖です。

音はその場、その瞬間に消えてしまうとてもはかないもの。

でも、いい音は心を振るわせて、60兆個のDNAにスッと溶け込んでいく。

マイクを通さない生の声って、ほんと身心を、DNAを賦活しますよ。

実は姉は農にも非常に興味を持っています。

柿の実は熟すと自然に地に落つるが如く、ヒトとヒトも出会うべくして出会うそうです。

いつか自然なカタチで交流の機会があればいいですね。

2014/04/14 (月) 08:09:49 | URL | 養生法の探求 #- [ 編集 ]

ジョイントコンサート 待ってます!

 農にも関心!これまた嬉しい限りです。熟年就農の私達には後継者いません。

 うまく騙して送りこんだと思った,唯一近いところにいたはずの息子は札幌の農学部を3年目に中退してくれて,他の身内はさらに絶望的。
 先祖代々の農地だからと耕作しなくなっても決して手放そうといなかった多くの農家と同じことをしてはいけないと私達は戒めており,後継者の可能性の輪を広げているところ。

 終の住処もこのたび新たに定め,土地買いました←まだ誰にも言ってないのだけど←ビックリですよ
 …いつまでできるかわからない日々を何とか先延ばししたいと日々頑張っているところ。

 何だかボロボロ本音出そうでとってもやばいサイトだ…

2014/04/14 (月) 13:14:53 | URL | 南のおかん #- [ 編集 ]

お礼

http://kamumi.blog24.fc2.com/

↑こちら、南のおかんさんのブログにて、アタシのブログをリンクして頂いて、記事にても自分の事など取り上げて頂き、また山﨑農業研究所の事まで触れて頂いて、感謝感激です。

おかんさん、ありがとう。西野流からヨガにいたり、アタシの指圧に到達する経緯など興味深く読ませて頂きました。

姉はマジで終の棲家を探しておりまして、いつの日か土の香りが濃厚に漂うガーシュイン作「サマータイム」が聞けるかもと期待が膨らみます。

農民声楽家なんて新ジャンルでイイかも。

クスリらしいものが一切散布されていない、南のおかんさんの田畑は、そのまま大事に後継者に渡したいです。

ええと、アタシのどうでもいい本音というか、ちょいと朝のスケジュールに変更が生じており、記事更新がなかなかできかねます。

ということで、もう少し落ち着いてきたら、また普通に記事を書きますので、しばらくは不定期で記事を書く感じになりますこと、御了承くださいませ。

しかし、よく眠ることは、まさに治療そのものですな(笑)

2014/04/16 (水) 05:42:17 | URL | 養生法の探求 #- [ 編集 ]

突然紹介していただき

 アクセス数が増えビックリしました。こちらのサイトとは違いますよ「警告。駄文注意!」です。
 有機無農薬栽培で頑張れているわけを考えてみました。
①自分自身がこの種の食材が好きで,何年もそういう食品を摂りつづけてきた。欲しいものをふんだんに手に入れたいという,まずは欲望の動機。
②環境問題などへの意識をぶれずに持ってきた。
③子育てに目鼻がつきお金を稼がなくても良くなった。早期リタイヤ&時々バイトは定年退職後よりも体力的に有利なようだ。
④作業には最低二人の力が必要なものが多く夫の力が有難い。今のところ夫婦仲良くやれている。これからも仲良くやっていきたい。
⑤料理がうまくなった。同じ素材でも手を変え…栽培にも励みが出る。
⑥長時間の草取りなど中腰作業多いがたまたまヨーガでなんとかやれている。農婦は昔から腰曲がることが多くこれからも要注意。
⑦工事を自分達でしている。あまりお金をかけないですむ。ハウス,作業小屋,給排水工事。壊したりまた作ったり。必要に迫られうまくなっている。参考までにでした。


2014/04/16 (水) 23:29:11 | URL | 南のおかん #- [ 編集 ]

ローラインガルス一家

南のおかんさんと旦那さんは、まるで、ふたり「大草原の家」で、なんでも身の回りの事が出来ちゃうから、ほんとスゲエですわ。

なかなか真似できないことを、平気でやってしまってる。

旦那さんの実年齢を聞くと、恐らくはほとんどの者は仰天してひっくり返る。

身体を怠けさせないで、使い続ける事も大事なことなんですね。

非駄文の記事にけっこう凄いのありますね。

ボチボチ読ませてもらってます。

2014/04/18 (金) 05:18:53 | URL | 養生法の探求 #- [ 編集 ]

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