フロンティア スピリット

湖面に近づくごとに鼻腔内の嗅細胞レセプターが特定の分子を多数受容すると、脳内へと嗅神経を介して化学分子が電気信号に変換され伝播し、大脳が何万種類もの臭い分子の棚から弁別し「あっ、潮の香り!」と判定をくだす。

浜名湖の景色はいつ見てもデボン紀の郷愁をそそる。1億年にわたるカレドニアン造山運動の結果、当時4億1920万年前から始まったデボン紀の地球上には、淡水と海水が混じったこの浜名湖のような汽水で形成された干潟や湖やラグーンがそこかしこに存在し、すでに四肢を備えた地球最初の四つ足動物であり、地上への上陸をついに成し遂げたイクチオステガが湖畔でモジモジと蠢いていた。

チャプチャプと静かに寄せては返す波頭の合間に、両生類のご先祖様が顔を出しそうな午後の一時。一泊旅行の帰路、旅程を8分ほど終え、浜名湖サービスエリアに隣接した公園から見た湖の美しさ、潮の香りは私の古生代のDNA記憶を呼び覚ましていった。

日の光を反射する水面はキラキラと金色に輝く。江戸期のアヴァンギャルドな絵師、曾我簫白(そがしょうはく)は「富士・三保の松原図」において雨上がりの虹を画中の主題に持ち込み、湿気を含んだ大気が太陽の光に照らされて輝く様を金泥を使い表現した。

まさに自然界には金色が満ちている。

エルドラド、ジパング!

人工的な汚物など一切ないデボン紀の自然界はどれほどゴールドでゴージャスで綺麗だっただろうか。

岐阜は恵那峡にある石のテーマパークのおみやげ屋で手に入れたデボン紀のアンモナイト化石。

この手の平におさまるわずか直径1センチのアンモナイトは、地球最初の脊椎動物の上陸劇の目撃者だったかもしれない。

この脊椎動物の上陸から4億年以上が経過したのちに、ようやく人類の祖先が四つ足から二本足で立ち上がり歩き出す。

なぜヒトは四つ足を捨てて、立ち上がったのだろうか?

二足で立ち上がったばっかりに、仙骨第2仙骨孔に上体65%の重量が負荷されて、脊柱管が狭窄するハメに陥り、人類は腰痛を宿痾とする事になったのだ。

メリットはそれほどでもなく、むしろデメリットははるかに大きかったのに、なにゆえにヒトは二本足で歩き出したのだろう。

ヒトの歩行形式は、手に道具を持つという必然から生じたのかもしれない。

手を自由に扱える器用さが、大脳をより発達させて、手が地から離れたからこそ、自然に後ろ肢だけで歩けるようになったかどうかは定かではない。

どこかへ行きたい、という衝動に駆られてヒトは歩き出した?

二足歩行になったヒトは、どういうわけかまた四つ足ならぬ四輪車に乗り、旅に出る。

旅の渦中で様々な文物に巡り会い、前頭葉が刺激される。

ヒトが健康であるとは「細胞内の原形質が正常に流動していること」

パンタレイ、万物流転。

「フロンティア スピリット」と題し、流れる思惟を記録していきます。

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2014.03.27 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

コメント

どこかへ

行きたいと歩き出したヒトが、歩いた先できれいな風景に出会い、
おいしい食べ物を食べ、「ここ、まぁまぁいけるんちゃう」と
棲む洞窟を探して暮らしてみる事にする。寒くなる前に食糧を集め
冬をやり過ごした後、大地に戻ってきた緑を見た時。
しばらくここに居ようかな、なんて思ったんだろうか。
一年を過ごしてみて、この草はそのまま食べるより実を食べた方が
うまいとか、根っこを掘る時にいくつかに分かれたのをそのままに
しておいたら、株が増えたなんていうのが農業の始まりなのかな。

私の妄想話がお役に立ったとは思いませんが、私の場合は、初めて
自分で栽培した野菜を口にした時、店に並べて売られている野菜との
違いに驚いた事がきっかけでした。
すぐに痛んでしまう野菜に生命を養う力があるんだろうか?
それから20年経ってなんとか自分たちで作った野菜とその加工品で
一年を過ごせるようになってきました。
いつの間にか本業そっちのけです。(笑)

本業は家具職人なんですが、仕事で出る大量のミズナラの木屑を
堆肥にしようと思った事がホントのスタートかもしれません。

2014/03/27 (木) 12:59:09 | URL | 桑畑四十郎 #- [ 編集 ]

アーツ&クラフト

桑さんは家具職人さんだったんですね!

チョーかっこいいじゃん!

北海道も家具の産地ですもんね。実は静岡県も家具制作が盛んな土地だったそうです。

どんな家具を作ってらっしゃるのですか?

エンタープライズ号のデッキに置いても様になる机とか椅子ですかね。

黒澤明監督が自邸で座っていたハイバックの重厚な木の椅子は、アレ特注でしょうか。

手の内に豊潤な世界を抱いている職人さんの言葉は、やはりひと味もふた味も違います。

東アフリカからユーラシアへと旅に出た人類の末裔が自分たちですから、時々、どこかへ出掛けたくなるのはDNAに刻まれたサガでしょうかね。

土壌菌の根粒菌などは植物の根が産生する代謝産物をもらい、自分は土壌中の空気の窒素を固定してアンモニアに変換して植物に与えるという共生関係が成立していて、植物の光合成産物である糖などを利用するこのような土壌微生物をヘテロトロフ(従属栄養)といい、自分で光合成できる光合成微生物はオートトロフ(独立栄養)という。

ヘテロトロフな微生物群は自然界においては非常に重要な役割をもっていて、例えば樹木の細胞壁であるセルロースはとても堅い物質で簡単には分解しないが、ヘテロトロフが食べて分解してくれるお陰で、木は朽ちていき、それがまた土壌の栄養源になり土壌菌が多くの腐植前駆物質を産生しそれにより植物が繁茂していく。

桑さんの、職場から出る大量の木屑を堆肥にしようという発想は、自然界のヘテロトロフな循環の理にかなっていたのでしょうね。

ほぼ自給自足体制を20年かけて確立したとは、いやはや素晴らしいですね。

むかし購入して読み込んでなかった本をチラ見したら、土壌菌特集がありまして、ちょいとシンクロネタでオッでした。

まだ見ぬフロンティアな地平を目指してゴーっす!

2014/03/28 (金) 06:13:40 | URL | 養生法の探求 #- [ 編集 ]

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