ルーツ ⑦

人間のからだを四肢百骸(ししひゃくがい)とも表現しますが、人体の駆動系である筋肉は400〜600個あり、骨は207個とされる。

この体壁筋肉系がミトコンドリアが1日に体重の1.4倍量を産生するそのATP供給により、筋繊維のアクチンとミオシンという蛋白質の繊維を滑らせると、筋肉が収縮弛緩して、横断筋が骨と骨をつなぎ、筋と筋をまたぎ動かして、たとえば前腕と上腕が協調すると、米漫画「ポパイ」の主人公ポパイがガールフレンドの危機において、缶詰めのホウレン草を口に放り込んだ後に、錨のタトゥーが刻印されたおのれの強さを誇示する上腕二頭筋のプックリ!どや決めポーズになり、全身600の筋肉が協働してのイチロー選手のような忍者の如き柔軟なスライディングが生み出される。

ヒトの感情は大脳ではなく「はらわた」にあるというのは、本当に「腹が立つ」と「はらわたが煮えくり返る」という慣用句からも知られた事実であり、食と性の二相のために生命は動き続けるわけで、食と性の二相を司る部位とはまさに腸管内臓系なので、「はらわた」の命令に、筋骨格系は忠実に従う。

よさげなニョショウが道を歩いていれば野郎どもの目はそこへ吸い寄せられて電柱にぶつかるし、美味しいものの香りは胃腸の蠕動運動を促進し、パブロフの犬よろしく口腔内を唾液で充満させる。

臓腑の欲求にはヒトは逆らえない。

中国医学は西洋医学と区別して中医学とも祖国医学とも漢医学とも言うが、現代中国では西洋医学を西医学と呼ぶ手前、中国伝統医学は中医学と一般に呼ばれる。

この中医学の医学体系は西洋医学とその思想基盤を異にすると思われがちだが、実際には世界の3大伝統医学とはギリシャ医学、インド医学、中国医学であり、現代文明に君臨し今や再生医療のiPS、ES、STAPで花火を上げ続けてブイブイ言わせている西洋医学というヨーロッパ伝統医学の母体も、もとはアラブ医学であり、

アラブ医学は古代オリエント医学(メソポタミア、シリア、エジプト、ペルシャなど)とギリシャ医学が融合しインド医学の一部も取りこんだハイブリッドな医学であったわけで、アラブ医学はまたの名をイスラム医学ともユナニ医学とも呼び、ユナニとは「イオニア(ギリシャ風)」という意味のペルシャ語であるが、アラブ医学とはまさに西域医学をすべからく包含したフュージョン系医学であったのです。

インド医学はアーユルベーダと呼ばれアユスは生命、べーダは学問あるいは聖典という意味で、直訳すれば「生命の学問、命の聖典」となりましょう。

西暦1世紀から2世紀に編纂された「チャラカ・サンヒター」「スシュルタ・サンヒター」が二大聖典であり、いわゆる仏教医学とも兄弟関係になる。インド医学はチベットやモンゴルにも伝播しその地で現在も様々な処方がなされ、インドネシアでジャムウと呼ばれる伝統薬はアーユルベーダとも深く関連しているという。

インド医学とギリシャ医学もまたそれぞれに影響し合っていた。

中国医学はアラブ医学の影響をシルクロードを介して受けながら独自の発展を遂げ、やがて韓国へと伝わり「チャングムの誓い」の韓医学へと昇華し、韓国から日本の大阪に渡来した金武(こんむ)なる僧侶あたりを嚆矢に西暦450年頃から日本に中国医学が伝わりはじめ、安土桃山、室町時代などに中国の明との交易のなかで、日本の僧侶が明国へと留学して本場の中国医学をマスターし帰国して日本に中医学の叡智をもたらし、また中国から鑑真和尚が来日し、やはり中国医学の生薬の精髄などを伝え、また日本からは、かの弘法大師・空海が仏教留学のおりに中医学を学んで帰国し、日本のいたるところに「弘法の灸」や、大師流の鍼術のタネを播いて現在もその火が幾ばくか灯り続けている。

このように日本の伝統医学である日本鍼灸や日本漢方の背景には、西域医学の精華であるアラブ医学の叡智もまたそこかしこにスピリットとして香り、西洋医学の母体がアラブ医学であることを考慮すると、西洋医学と東洋医学という対立絵図の馬鹿らしさが一層身に染みてくる。

さて、それはともかくも、中医学は脳脊髄神経を中枢とする医学体系ではなく、五臓六腑と皮膚筋肉系を重んじる臓腑経絡系(ぞうふけいらくけい)の医学体系であることが特徴的である。

つまり冒頭の言の如く、食と性の二相の欲求に忠実な筋骨格系という視点をルーツに展開した医学体系が中医学でありました。インド医学にはチャクラなるツボに相当する概念があり、それは脊髄中心に位置する内分泌腺に相当するようでもありますが、ここには皮膚筋肉系からの情報が脊髄に集中し、脳へと情報伝達がされるという、神経伝達理論の萌芽が垣間見えます。

仏教医学では、地水火風空の5つの要素を下から積み上げる空間把握思考が随所に見られ、その影響で仏教医学においては、早くから脳脊髄を中心とし、それらと周辺部位が連絡し合う今で言う脳脊髄神経系に近い思考が展開しており、江戸期前の室町時代の日本鍼灸においては、すでにこの仏教的な中枢理論を咀嚼吸収しての医学論の展開も見られましたが、江戸期に入るとまた従来の中医学の伝統的な臓腑経絡論へと回帰します。

ヒトは腸管内臓の欲求を満たすために筋骨格系を動かし続ける存在であるのですが、このヒトのナリ、身体は二足で直立し歩行するには、あまりに構造的な欠陥が多すぎるので、その弊害たるやが、年間40兆円の医療費となって日本を傾国の断崖へと押し込んでいるのです。

全体重の65%が腰部の脊柱を支える仙骨・第2仙骨孔にかかってきます。つまり腰に重力負荷がかかるのが人体構造の欠陥ともいえるのであり、腰部付近の疲れを取ることで、全身の不調を改善できる可能性が見えてきます。

また肩関節は鎖骨と肩甲骨と上腕骨で構成されていますが、腕1本の重さは3キロ〜の重さであり、頭1個の重さが6キロ近くになることも合わせれば、肩や首にはとてつもない重さが常に加わっていることになります。

ようは腰と肩首の疲労を除去できれば、身体構造の欠陥から来る疲労感が減殺できるのです。

医学体系は様々ですが、病因は意外にシンプルです。

ヒトの身体には常に地球1Gの重力が加算され続ける。

その重力負荷がかかり続けて疲弊したその部位のミトコンドリアを活性化できれば、もとの正気(せいき)、もとのき、元気(げんき)が戻ってくる。

そのことに気づいたのが「操体法」の創始者であった故・橋本敬三先生でした。

身体の歪みを調整し、四肢百骸を整える養生法の探求は今後も必須です!

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2014.03.18 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

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