養生の起源

ヒトの肌に鍼灸指圧を施すとヒートショックプロテインやβエンドルフィンやコリンエステラーゼやプロスタグランジンやエンケファリンやサプスタンスPやダイノルフィンや一酸化窒素など多くの物質が分泌産生される。これらのホルモンや情報伝達物質は体内の生化学的反応を司るシグナル分子と呼ばれ、総称してリガンドと言う。

東洋医学がなぜ健康増進に寄与できるのか?それはリガンドの総量を増すからであると私は推測している。そして「健康度が低下する事は、リガンド量の低下と同期する」というのが今の私の見立てである。リガンド量が増し細胞質や細胞内ミトコンドリアの生合成能力が促進されて、ATP量が増してくればヒトは元気を取り戻す。

植物の樹皮に病原菌やウイルスや虫が取り憑いて傷を付けると、植物は防御ホルモンであるサリチル酸を合成する。水溶性のサリチル酸はまさに傷ついた場所で作られて植物の血管とも言える脈管を介して全身に外敵侵入の知らせを送る。

この反応はまるでヒトの肌にある免疫細胞である樹状細胞のランゲルハンス細胞が異物を捉えるとそれを貪食して取りこみ、その一部を抗原としてT細胞へと伝えて全身の免疫系を賦活するのにソックリである。

植物は外敵侵入の知らせを受けると、病原菌を殺すか感染の広がりを防止する策にうって出る。感染部位の周囲にアポトーシスした死滅した細胞の砦を築きバリアを作ってそれ以上の部位に感染しないようにしたり、葉っぱから病害虫が嫌う忌避物質であるフィトンチッドを放出して虫を追い払う。

常連さんのお茶農家さんからこんな話しを聞いた。「ウンカ芽と言ってね、茶葉が芽を出した時に害虫のウンカが食い付いて芽に傷を付けると、その茶葉の香りが増して非常に価値のある紅茶ができる」

植物たちは香りを武器に免疫を維持している。この香り物質であるフィトンチッドをヒトが摂取すると劇的な薬理効果がある事を私は知っている。ある食医は結核菌の退治にネギのフィトンチッドを利用したネギ料理を用いて、重症の結核患者をわずか5日で完治させたのだ。

野菜や果物の香りこそヒトを健康にする天然の「宝リガンド」なのだ。

植物は水溶性のサリチル酸で体内を満たすと、今度は仲間にも外敵がいることを知らせる。揮散性のサリチル酸メチルを葉から放出して近くに植わっている仲間の葉っぱに伝える。すると葉は気孔からそれを吸い込み植物体内で水溶性のサリチル酸に変換して脈管系を通じて外敵防御のための免疫強化体制を敷く。

植物もリガンドを使って免疫系を維持しているのである。ヤナギの樹皮から採取されるサリチル酸を前駆体にアセチルサリチル酸という有名な化合物が生み出された。鎮痛薬として有名なアスピリンである。

地球に最初に誕生した原始生命体であるバクテリアは少数ではたいした事はできないが、数が増してくると多細胞生命体と同じような大きな仕事をしでかす。病原菌も病原ウイルスも個体数が少なければたいして害はないが、多数集まるとやっかいなパーティーを始める。毒素を一斉に吐き出してホストを死に追いやるのだ。

なぜバクテリアは自分が今、集団でいるのか少数でいるのかを客観的に認知できるのか?バクテリアもまたリガンドによって自分たちを把握し、仲間とコミュニケーションを図っているのである。

バクテリアの細胞壁から分泌されるホルモン様のリガンド分子は仲間の細胞壁の受容体(レセプター)に受容される。このようにバクテリアも分子言語によって仲間と会話をし動的な恒常性を維持している。

粘菌は危機的な環境に置かれると単細胞の形態から多細胞のキノコのような構造物へと変化して、そこで繁殖して子孫を播種する。またバクテリアはバイオフィルムと呼ばれる膜のようなシートのような構造体を形成して、自分たちが住みやすい環境を整えてそこで情報交換を行い、まるで多細胞生物と同じように振る舞うという。

「ったく、単細胞な野郎だぜ!」とヒトを小馬鹿にして使う常套句にはいささか単細胞生物を蔑むような語調が込められているが、どっこい単細胞バクテリアは多細胞生物と同じか、それ以上の仕事をこなしているのである。それが証拠に感染症により大勢のヒトの命が奪われてきたのだから。

ガン細胞は単細胞バクテリアのような性質をもち、ある箇所に落ち着くと腫瘍間質と呼ばれるバイオフィルムのようなものを形成し、免疫細胞に攻撃されないための免疫抑制因子を放出し、自身の増殖に適した砦を築いていく。まるで巣を作るウミツバメのようだ。

中華高級料理の一品で使用されるツバメの巣には貴重な細胞膜糖鎖の原料になる多糖体が含まれている。癌細胞ももしかすると多糖体をまといながらガン病巣を大きくしていくのだろうか。

単細胞的であるガン細胞が増殖して多細胞化していくさま。多細胞であった正常細胞がガン細胞に分化し単細胞のように振る舞うさま。どちらも生命進化の流れの中ではありふれた現象に思える。ガン細胞も免疫抑制因子や免疫細胞を介してリガンドであるサイトカインを使い交信する。癌もまたひとつの命のありようなのだ。

ヒトも植物もバクテリアもガン細胞も同じようにリガンドを使い交信している。

38億年前の地球では嫌気性バクテリアたちが大声で楽しく会話していた事だろう。

我が細胞たちの声に耳を澄ませば、おのずと養生の道へと導かれる。

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2013.12.18 | | コメント(8) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

コメント

コトバンクから・・・

ようせい【養生 yǎng shēng】 とは・・・

中国で,生命を養って長生をはかることをいう。〈養性〉というのもおなじ。《荘子》には〈養生主〉の1編があり,天理の自然にしたがうことが養生の秘訣であると説かれている。魏の嵆康(けいこう)の《養生論》は,精神を養う〈養神〉と肉体を養う〈養形〉の両面から養生を論じ,正しい養生の方法によって千年,数百年の寿命を得ることも可能だと考えた。〈養神〉の方法としては,老荘の哲学にもとづいて愛憎憂喜の感情を心にとどめずに体気を和平ならしめること,〈養形〉の方法としては,神仙家の説にもとづいて〈吐故納新(とこのうしん)〉とよばれる呼吸術や〈服食〉とよばれる仙薬の服用その他の食餌法が重視されている。

まさに、ハリィ~今村さんが、今このブログで提唱していることだと思います!

分かりやすく、簡単に言ってしまうと、お日さまにあたりながら、姿勢を良くして、お尻を締めて、意識して呼吸をし、ミネラル・ビタミン豊富な食事を腹八分目に食し、適当な運動(散歩とかストレッチなど)を無理せず続け、ストレスを溜め込まずに上手に発散するってことだと思います。

この当たり前の生活の中でバランスが崩れたとき、病気になってしまうのだと思います。
それを治すことも、本当は自分自身でできるのですが、直る方向へのきっかけを作ってもらうために、鍼灸師や医師のところへ行く、というスタンスがいいんでしょうねぇ~。

今日、twitterで見かけたのですが、東京で放射能による体調不良などを治療をしていたお医者さんが、来年にでも岡山に移転する、ということでした。
自分がいつまでも東京にいることで、まだ大丈夫と思って安心する人がいるみたいだから・・・という理由で。
(ぱっと見て雰囲気だけで覚えているだけで、ちょっとおぼろげなので、詳細は間違っている可能性ありです・・・)

9339

2013/12/19 (木) 04:56:39 | URL | ひろみ #3USpdlJ2 [ 編集 ]

ヤンシェンの探求?

中国語風に発音するとまたカッコイイ?(笑)

何気に決めたタイトルだけどね。でも今後は医療ではなく、養生が来る、いや来させる、持ってくる、引き寄せるという強い意志がこのタイトルには込められているんですね、って今、軽く捏造してみました(笑)

でも、自分の身体は自分で衛(まもる)、衛生という言葉もこのへんに起源がある。

文中の〈服食〉の熟語中の服は以前にも触れたけど、文字通り服に香りをまとう衣冠療法からきてると思う。

さて、いきなり新シリーズがスタートです(笑)

2013/12/19 (木) 05:38:56 | URL | 養生法の探求 #- [ 編集 ]

『ヤンシェンの探求』

『ヤンシェンの探求』

かっこいいですね。
これなら、斬新でアバンギャルドな感じで、
今風のワカモノからのイメージが大幅に向上しそうです。

2013/12/19 (木) 10:56:49 | URL | さすらいの旅人 #UJ6LMiGc [ 編集 ]

バクテリアメソッド

さすらいさん、おひさです。

ボニー・バスラー「バクテリアはどうやってコミュニケーションするのか?」
http://www.ted.com/talks/lang/ja/bonnie_bassler_on_how_bacteria_communicate.html

ヤンシェンズ・アドベンチャー(養生法の探求 笑)の起源はバクテリアのコミュニケーションにある?



【放射能障害を克服するコツもまた腸内常在菌と外来菌とのコミュニケーションにある仮説】

38億年前の地球は高レベル放射能環境だった。放射線である宇宙線が猛烈に降り注ぎ、今では地球上に存在しない放射性同位元素もまだ大量に存在した。しかし、そんな極悪の環境にあって地球最初の生命体であるバクテリアが誕生する。

天然ウランの半減期は45億年。つまり45億年前のウランが放つ放射能は今の倍の被曝線量を持っていた。α線核種でありファントム放射線を放つウランすら屁とも思わずに原始バクテリアは生まれた。

彼らは分子言語を使いコミュニケーションし、多細胞生物のように振る舞うという。

多細胞生物である人間は体内の生理活性物質をリガンドとして60兆個の多細胞の動的恒常性を養う。

高レベルの放射能を浴びると最初に死滅するのが常在菌だから、常在菌の減少を補うためにも、有益な外来菌の補給は欠かせない養生となる。

長崎原爆による放射能障害を未然に防いだ医師・秋月辰一郎博士の経験談はあまりに有名だけど、彼が最も重視した被曝防御レシピは「わかめ入り味噌汁」だった。

味噌の麹菌、麹菌が産生する多糖体、ワカメのフコイダン多糖体。多糖体は腸内常在性乳酸菌の栄養源。フコイダンは抗ガン作用のある多糖体。これらの効能が極限の状況で立証されたと言える。

発酵食品への関心が高まるのは3.11後の必然であると言える。

朝1杯の味噌汁が貴方の被曝リスクを下げます。

2013/12/20 (金) 04:24:19 | URL | 養生法の探求 #- [ 編集 ]

すごい!!!

ハリィ~今村さん、この動画すごいです!!!
私がアメーバに興味を持ったちょうど1年前の講演ですね!
私はテレパシーを使っているのだと思っていましたが・・・(笑)

そして、体の中でもきっと同じ現象が繰り返されているのだと思って、アメーバにできることは人間にもできる!って馬鹿の一つ覚えみたいに言ってたんですよ。
今はもうあまり言ってませんけれど、信じています。
アメーバがミトコンドリアになってはまりこんでますが・・・(笑)

そうそう、昨日こんな感じで詩のようなものを書きました。
http://blogs.yahoo.co.jp/shihihaida/10943336.html

私的には
アメーバから始まった私の探求は
ミトコンドリアへと到達したら、
パズルのピースが
どんどん埋まるように、
シンクロする記事が見つかっているんですよ。
まるで魂の記憶をネットの海から
拾い集めるかのように。。。
そして、仲間も見つかったし♪

2112

2013/12/20 (金) 05:09:50 | URL | ひろみ #3USpdlJ2 [ 編集 ]

イェーイ!(笑)

いいでしょ、この動画。

粘菌が危機を感知するとなぜ仲間と連絡して集まる事ができるのか?

この答えがどうも分子言語という事になるんでしょうね。

石英板に人工培養した皮膚ケラチノサイト細胞にコツンと鋭利なもので刺激を与えると、カルシウムイオンの波がそのコツンされた横の細胞から波及して全体へとコツン刺激が伝達されると、皮膚科学者の傳田光洋博士の著書にあります。

ハリィーは実は鍼師なんで(笑)、石英板の人工培養された皮膚ではないけど、普通に生きた皮膚に鍼を打ちます。

その打った「当たり」が古代マヤ人が称した風の脈を通じて全身に波及する様は、うまくすると目で動きとして確認できます。

60兆個の細胞は細胞膜を介した電気的情報伝達をもって動的平衡を営んでいるというのが私の見立てです。

このへんの情報伝達の仕組みはニュートン物理学でなくアインシュタイン物理学の世界。量子論的な動き。

だから一瞬の刺激が一瞬で全身60兆個へと伝わる。

ひろみさんの言う言葉は全部しっくり来ます。

いい詩じゃないですか。涙が出ましたよ。

生物発光は生物フォトンとも呼ばれて元・東北大学教授の稲場文男博士(名前あってるかな 笑)が研究されてたような。

ホンモノの気功師を呼んできて手の平から気を出させると、一瞬にして強烈な生物発光が起こる事が実験装置で確認されてます。

仏像やキリスト像の光背(オーラ)もミトコンドリアの仕業かもね(笑)

2013/12/20 (金) 05:55:24 | URL | 養生法の探求 #- [ 編集 ]

そうそう、

鳥や魚、アメーバの動きの動画を見つけて、記事を書いたのを思い出しました。

ONE FOR ALL, ALL FOR ONE(2013-06-16)
http://blog.goo.ne.jp/tres-cerdidos/e/684e69eafe670c333273b1fb2bf5e698

この後なんですよね、ミトコンドリアを再発見したのは・・・。

まるで下準備ができたから、次の段階へ行きなさいって言われているかのように。。。

刺激を受けると、周りにどんどん広がる。。。
まるで、水面に広がる水の環のように。。。
微生物同士でも同じ。。。
そして、細胞同士でも同じ。。。
そこに何が介在しているのか、興味深いです。

分子言語がなんなのか。。。
化学物質が分泌されるのか。。。
電気信号のような気がするんだけど。。。
意識かな。。。

2013/12/20 (金) 17:03:09 | URL | ひろみ #3USpdlJ2 [ 編集 ]

トーラスの原理

な〜る、いろいろつながってきた!

アフリカなんかで大発生したサバクトビバッタが大群になって押し寄せて全ての草を食い尽くすのを蝗害と呼ぶんだけど、このキッカケがね、何とヨソ様と袖振り合う事。袖じゃなくて実際は足ね。

自分の足が仲間の足に触れると、バッタの体内にセロトニンが分泌される。そいで、バッタちゃん達はノリノリになって気分が良くなって、仲間を呼んでパーティーしようぜ!ってなってそのうちトンデモナイ大群になっちまう。

セロトニンだよ。ホルモンだぜい!

オキシトシンをヒトの鼻に嗅がせると他者を信頼する感情が芽生える。分子言語のひとつがホルモンと確定できそう。

癌は分子言語で話せなくなった別働隊か?あるいは癌も独自の言語で通信してるとしたら、ボニーさんの方法が効くかも。

癌の言葉を真似して干渉する。それが抗酸化物質であり、βエンドルフィンでありヒートショックプロテインであり多糖体なのかも。

ミトコンドリアはどんな言語を使っているのか?

老子は「万物と春をなす」と言ったとか、言わないとか。

万物をつなぎとめている情報系はいったい何だろう?

電子かな?

いろいろと夢想が広がります。

イワシのトルネードは自然界の自己組織化の典型として有名ですね。

息子さんたち、ハンサムでたくましいじゃないですか!

2013/12/20 (金) 19:53:09 | URL | 養生法の探求 #- [ 編集 ]

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