37章 われら地球の子

鼻腔内の温度が33度以下にまで下がり乾燥するとライノウイルスという鼻っ風邪の原因ウイルスが鼻腔内で繁殖しだすが、鼻粘膜に棲まう粘膜マクロファージが元気ならライノウイルスはこのマクロファージに貪食されてしまい風邪を発症せずにクシャミを数発放って終わりである。

スーッと一息吸った空気の中には旅の最中のインフルエンザウイルスがいる可能性があるが、肺胞に例えこのインフルエンザウイルスがくっついても肺胞マクロファージが元気なら即座に貪食作用によってマクロファージに取りこまれて消化分解されてしまう。

冷たいものばかり飲食していると小腸の回腸にあるパイエル板M細胞と呼ばれる免疫ゲートの免疫力が低下してしまい、うっかり耐酸性のウイルスや病原菌が小腸内にまで侵入するとこの免疫ゲートを通過して血行性に全身へと運ばれてしまうが、例えパイエル板の第1ゲートを突破されても肝臓にはクッパー細胞やピット細胞が肝臓内に侵入した病原菌や病原ウイルスを食べてくれるし、脾臓に運ばれても脾臓内で控えるマクロファージやNK細胞やT細胞が処理するので、易々と病原菌やウイルスはヒトの体内では繁殖できない。

まことに人間の免疫システムはよくできている。

しかし、もしもこれらの大事な免疫力を極端に下げるような事態、例えばフクシマ事故原発が拡散している人工核分裂生成物が大気中を舞って日本列島1000キロ周囲の距離もものともせずに、地球の緯度に沿いジェット気流に、貿易風に、偏西風に、極偏東風にのって、さらに緯度に垂直に巻き込む風の流れであるハドレーセル、フェレルセル、極セルを経由して地球全人類の肺胞マクロファージを疲弊させてしまえば、間違いなく地球人類は弱ってきて風邪をひく。

風邪をひくとは、冒頭に触れた免疫の関所がことごとく破られることを意味し、その結果、鼻腔内や肺胞内や腸管内や身体中にウイルスや病原菌が繁殖することを指す。もしもこのような事態になると人体はそこを脱しようとする自然治癒のプロセスを遂行するスイッチを押す。

まずは間脳視床下部にあるサーモスタットのダイアルが37度〜40度にセットオンされると、その温度帯に到達していない身体は寒気を感じてブルブルと震え出し、皮膚の立毛筋が収縮し体温が逃げないような体制が整えられ、副腎髄質からはアドレナリンが分泌されてきて心臓の鼓動が高まり全身の血行が促進されていき、全身の細胞内のリボゾームではDNAの命令によってヒートショックプロテインが盛んに造成されてマクロファージが活性化され、体温が高温域にまで達すると寒気による震えはおさまるが、今度は熱でうなる時期が到来し、マクロファージとT細胞、B細胞、NK細胞などの白血球たちが盛んにサイトカインという免疫ホルモンで会話しているせいで頭痛が起こるのが玉にキズではあるが、からだを動かせない程のだるさ、眠さもまたマクロファージが分泌するサイトカインTNFのノンレム睡眠誘導、炎症誘発作用のせいであって、そうして呻吟しながらも身体を休めていると3日もすればマクロファージからT細胞へ、さらにT細胞からB細胞へと話しがついて、ついに免疫細胞のB細胞が抗体を産生するようになり、病原ウイルスは一掃され熱は下がってくる。

発熱という素晴らしい機序をもって自然治癒は導かれるのである。

地球は原生代の23億年前と7億年前と6億5000万年前の3回、風邪をひいてしまって、地球表面の平均温度はマイナス40度Cにまで低下した。38億年前に誕生していた原始生命体の幾ばくかがこの地球風邪の際に絶滅している。海中も1000メートルの深さまで氷に覆われ、大陸もまた氷に閉ざされた。それでも地球生命のすべてがここで絶滅したわけではない。

かろうじて全球凍結という氷の地球時代を生き延びた生命体がいたのである。彼らが命をつないだからこそ今の私たちが存在している。地球は風邪をこじらしたのであるが、どうしたわけか自分で自分を治療してしまった。体温を上げる方法を知っていたのだ。地殻の内部にはマントルという溶岩が流れており、地球中心部6400キロ地下の核6000度Cの高温と、鉄・ニッケル合金が核分裂し放射壊変する放射熱によってこのマントルは常に上下に対流を繰り返している。そのマントルの動きが生み出すキノコのようなシルエットをマントルプルームと呼ぶが、ホットプルームは上昇しコールドプルームは沈降し、スーパーホットプルームは火山口から溶岩を噴き上げる。

このスーパーホットプルームによってシャーベットになった地球は自分で風邪を治癒せしめたのである。体液であるマントルの動きを活発化しマグマを噴き上げて体表面である大陸地殻と海洋地殻を温めてヒートショックすることで氷を溶かした地球。その中にあって原始生命は地球と共に苦難を乗り越えたのである。

地球生成後まもない今から46億年前から40億年前の冥王代。生まれたばかりの原始地球はまだ激しく呱々の声をはりあげ泣き叫んでいた。地球はもともと原始太陽の周りを周回していた小惑星のひとつであったが20個ほどあった微惑星たちは次々にぶつかり合って融合し現在の8個の惑星構成となったのである。徐々に大きくなっていった惑星たちは終わり頃になると火花を散らしながらぶつかり合うようになる。

原始地球に火星クラスの大きさの小惑星が追突した衝撃で地球表面は熱を帯び岩石が溶岩になって宇宙空間に飛び散り地表にはマグマの海が生じた。飛び散った破片はやがて集まると地球唯一の衛生である月となる。地球表面は1000度Cを超えるマグマの海、マグマオーシャンである。その灼熱の海に重力で引きつけられた小惑星や隕石が容赦なく降り注ぐと即座に隕石中に仕舞われた二酸化炭素や窒素や水蒸気が揮発し原始大気が形成されていく。

やがて原始大気は冷えていき水蒸気は冷却し凝結して雨となってマグマオーシャンに降り注いだが、最初の雨は温度が200度CもありpHは1以下の強酸性であったという。それゆえに原始地殻の岩石と一瞬にして反応しナトリウムイオンやマグネシウムイオン、カルシウムイオン、カリウムイオン、鉄イオンなどが溶け出され原始の青い海、ブルーオーシャンはアルカリ化し中和した水になった。

高温強酸性の雨は何百年も降り続けて生命誕生の舞台となる原始の海ができる。地球を形成する2つの微惑星がぶつかり合った最後の衝突ジャイアント・インパクトからこの最初の海ができるまでに要した時間はわずか数百万年程度であったと推測されており、地殻形成の痕跡としては44億年前の花崗岩化石からジルコンが検出されてい、花崗岩形成には水が必要だった事から地球形成直後にすぐに海が出現したと立証される。

高熱のマグマで覆われた地球表面が雨水で冷やされると地殻が形成され内部にマントルを抱え、地表はすべて原始海水で満たされた。水だけの地球表面の内部には沸々と火のエネルギーが渦巻いていた。火と水の饗宴。カミ(神)とはこのことを言うのではなかろうか?

人間が風邪をひくと熱を発し最後には汗をかいて解熱する。まるで地球史の最初期、冥王代の火と水のコラボレーション、天地創造劇の再現である。くだって原生代に至り地球は全球凍結と言う超寒冷化の危機を内部からマントルを湧出させ火の力で切り抜け水蒸気を巻き上げて二酸化炭素を放出することで温室効果を促進し氷に閉ざされた極寒の世界を水で溶かし癒した。ここにも火と水の相関が見える。

原生代スノーボールアースの世界でかろうじて生き延びた原始生命体のDNAには地球がみずからを火と水の力で癒したプロセスの一部始終がインプットされたのだろうか。だからこそバクテリアからヒトにいたるまでのすべての生命体にヒートショックプロテインが分泌されるのかもしれない。火水(かみ)は地球創成史の中で鍛えられ生命体内部に宿った。

自然治癒力、それは地球からの贈り物。

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2013.10.07 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

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