五感の向こう(我が師の思い出)

朝のこの時間、まだ日が当たっていない庭では秋の虫たちがまるで雅楽のひちりきを思わせる厳かな響きを奏でている。おや、ミンミンゼミが向こうの山で鳴いている。だいぶ夏遅くになって地上に羽化した個体だろうか。呑気なヤツもいるもんだ。コオロギとミンミンゼミの二重奏は今しか聴けない特典だ。

人間は外部の音50〜2万ヘルツを内耳にある有毛細胞が動きとして捉え、そこにひっついたタンパク質の糸が機械刺激依存性ナトリウムチャンネルというタンパク質で出来た受容体を開くと活動電位が発生しリガンド(信号分子)がカスケード反応をしてカルシウムイオンの流入がドッと起こったりして聴神経が興奮すると脳へと音波が電気信号に変換されて送信されコオロギの鳴き声を楽しめるというわけである。

音を知覚するだけでも、相当複雑な機構が働いている事は間違いないのだが、そんな事など意識せずにミンミンゼミのあの声を味わえるのだから、人体機構のありがたさは奇跡的ですらある。今朝は曇り空だ。朝日は拝めそうもない。

太陽光線400〜700ナノは言わずと知れた目という感覚器で捉える。パスポート写真サイズ4センチ×4センチほどのスペースの眼球の底にある網膜には1億2000万個の桿体細胞と600万個の錐体細胞が並び、光の明暗を識別する受容体のロドプシンが桿体に、色を判別するフォトプシンが錐体に存在し、光の粒・フォトンがこれらオプシン光受容体に受容されるとビタミンA誘導体が変化することでシグナル伝達が活性化し、タンパク質で出来た光受容体が基点になってカスケード反応が起こり視細胞が興奮し最終的に脳へと光信号が電気信号へと変換され送信され、今朝は曇り空だ、と脳が判断するというわけである。

人間の眼が光を捉える能力はデジカメの解像度7メガピクセルの約19倍130メガピクセルと言われており、これほどの高精度の光受容メカをまだ人間は科学の粋を集めても造れていないのである。

鳥目として夜目が利かない事でいささか馬鹿にされもする鳥類には実はオプシンファミリーがヒトよりも多くあり5種類のオプシンを用意しているそうだ。彼ら鳥類は昼間の活動に重点を置いて進化した種族なのだろうか?

いや、鳥類は白亜紀に繁栄した恐竜たちの末裔なのだから、もしかすると恐竜がずば抜けて視力が発達していたのかもしれない。当時の哺乳類は恐竜に補食されないように夜間に行動していたとも噂されている。人間がいくらか夜目が利くのはそんな進化史の所産なのだろう。

暗がりでも目が利けば便利だが果たして目だけで外部の明暗を知覚しているのかどうかは疑わしい。カナダのある全盲の青年は普通にマウンテンバイクを乗り回し、日常活動をまったく普通の目明き同様にこなすそうだ。夜目は利かないが夜間のマウンテンバイク森林ツアーが計画され、時折、目明きが彼らをガイドにこのツアーに参加する。どうやって外部環境を捉えているかというと、コウモリやクジラと同じようなシステムを使用して口から発した音の跳ね返りを捉えて物の位置や距離感をつかむ。つまり音波探知ソナーで外部環境を知覚している。

であっても、彼は森が開けた場所の月の明るさはなんとなく分かるという。乳児期の目に出来た腫瘍のため両眼球が全摘されてしまっているのだから網膜にある光受容体はすでにないはずであり、果たしてどこで光を感知しているというのか?アメーバや原始バクテリアにも勿論のこと光を捉える能力はある。ミトコンドリアの祖先のαプロテオ細菌や藻類の祖先は太陽光線を利用して化学反応を起こしATP産生や物質合成を行ったのだから、もしかすると全細胞60兆個にあるミトコンドリア1京8000兆個で光を捉えているのかもしれない。

それは光の明暗や色を識別する能力とは言い難いが光の存在ははっきりとつかむ感覚であろうか。

「そこじゃない、ぜんぜん違う、うん?いいね、当たってるよ、そのまま鍼を刺してそこで止めて、そういいよ、気が立ちのぼってきたよ」

全盲の師匠の優しく厳しい導きで私はこの瞬間に光の粒に包まれる経験をした。それはまるでロウソクの光そっくりの光のミストの集団で鍼を打つ私の周囲をまるで繭のようにくるんだ。

鳥肌が立ち全身がいささか硬くなったが、「よし、もういいよ、さぁて、どんな風に脈がかわったかな?」という明るい師匠の声で我に返った時にはフォトンベルトは雲散霧消していた。

その後、フォトンたちには自分の治療院で3度ほど遭遇しただろうか。

世の中には科学ではまだ未解明の光が存在する。それはバイオフォトンまたは生物フォトンと呼ばれる光の類か?

生命はすべからく発光している。たとえ網膜の光受容タンパク質ナノマシンに遺伝的欠損があっても、生命の放つ光だけは何人も見ることが可能なのだ。

神業を持つ私の鍼の師匠は不思議な生命の光との出会いを演出してくれた。江戸末期、日に100人をこえる患者を鍼治療し、治せぬ者はほとんどない、とまで豪語した葦原検校という鍼医がいた。彼にもまたオプシン光受容体にいささかの不具合があった。唯一の著書とも言われる「鍼道発秘」には、鍼に反応して人体のバイタル・フォース(生命力)が動くさまを「鳥を打つ鉄砲が放つ衝撃波、魚が釣り針に掛かった当たり」と説明するくだりがある。

この道に入りいつも魅了される指先の真実とはまさにこの動きなのだが、もしかするとこの動きと連動して葦原検校もまたそこに立ち昇るフォトンミストを知覚しその光のもやに包まれていたのだろうか。

生命が輝くとき、またミトコンドリアも輝く。

光の主は我が細胞内に棲まっていると私は確信している。

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2013.09.09 | | コメント(9) | トラックバック(0) | 鍼灸指圧

コメント

駄文

先生、こんにちはです。
音と言うと、高度経済成長期以後の住宅環境等考えると、幻聴から来る統合失調症を訴える、患者さんが増えるの当然ですよね。
乳幼児期に完成してなければいけない音を選択する能力が、ノイズに囲まれた環境で成長するから、完成できずに大人に成る人達が沢山いますよね。
結果として、幻聴で苦しむ人達の割合が、激増してるのも悲劇だとは思います。
マウンテンのダウンヒル世界チャンピオンですね、そのお兄ちゃんは。
バイオフォトンと言うと、暗い部屋で身体とか空間とか見ていると、光の粒子を確認することが有ります。
良く観察していると、自分の身体から光が発生しているのが判り、何か不思議な感じを受けることが有ります。
目の錯覚かも知れないけどね(笑)

2013/09/09 (月) 13:00:57 | URL | クチブラ #2JEUmp5Q [ 編集 ]

>全細胞60兆個にあるミトコンドリア1京8000兆個で光を捉えているのかもしれない。

これを考えると、わくわくするんですよ。。。
体内という闇の中に光を感じているんじゃないか・・・って。。。

または、皮膚の細胞のミトコンドリアが、どんどん奥の細胞にいるミトコンドリアに信号を送っているのかな・・・とか。。。

人間の体内にある、ミトコンドリアをすべてあわせると10キロくらいという話を聞いたのですが、もし、この数字が正しいのであれば、すごい割合ですよ。。。


私も暗い部屋で、自分の周りに光の膜が見えます。
あと、空にもきらきらと光の粒粒が見えます。
いつからなのかは、忘れましたが、空のきらきらは日本にいるときからですから、もう20年近くなるかも。。。
体の回りの光は、5,6年前ごろから、寝る前に手を天井にかざすようになったので、たぶん、その頃から・・・。
体の周りの淡い光は体から出ている波動なんだろうな、って思っていましたが、空のきらきらの粒々は、何なんだろうと、思いながらすっとそのままです。
誰かがプラーナって言ってましたけれど、そうなんでしょうかね?

>生命が輝くとき、またミトコンドリアも輝く。

この言葉素敵です。
最後の

>光の主は我が細胞内に棲まっていると私は確信している。

これも。。。

体内の暗闇の中の光の存在なんだろうな・・・って思います。今、そのミトコンドリアたちが、目覚めつつあるんじゃないかと。。。
って、前にもこんなこと書いてましたよね、私。。。(笑)

2013/09/10 (火) 04:34:31 | URL | ひろみ #3USpdlJ2 [ 編集 ]

湯気

よく中国古代人は人体から立ち上がる湯気のようなものを見て、これを米を蒸す時の湯気になぞらえて、象形文字の気という漢字を当てたと言われる。

気という文字は最初は温泉マークの上の三本線だけ、みたいな文字だった。

もし、これが本当だとすると、古代人もまた何かを人体の周囲に捉えていたということだね。

旧ソ連のキルリアン夫婦が撮ったキルリアン写真みたいな放射状の何かが体内の周囲にある事はあるんだろうけどね。

私が師匠の手ほどきで見たものはもっと濃密で放射状というよりも、自分かあるいは鍼を打たれている者か両方からか、ボワッと密度の濃いミスト状のものだった。

そんで、治療院で捉えたものは、点滅する光。鍼を打っていてその打ったツボの辺りを見ていたら、うん?なんか明るくなったり、少し暗くなったりしてる?という感じで見えるもの。

これね、原発芸人のタケシのオカルト特番に呼ばれた中国の気功師が、パネリストに呼ばれた大竹まことに気功をかけたの。その時に大竹は目をつぶって立っていて、気功師から放射された気を受けた。すると「目をつぶっているのに、何で赤と青の光がパッカパッカって目の中で点滅するんだよ?」って言ったの。

気功師は手の平をスピーカーのコーンみたいにつかむような状態にして手の平の真ん中の労宮(ろうきゅう)というツボに血液を集めて、そこからある周波数の波動を空気に伝導させて被験者に到達させる、なんて解析もされてる。

この1ヘルツ以下のゆったりとしたリズムに被験者が同期すると体内リズムの変調が整う。これが気を操る術である気功のひとつの科学的、医学的な説明。

だから気と言っても別に特別なものでもないというか、もっと科学解析が進めば、人体周囲のもやも解明されるだろうね。

微細な発光は絶対にしている。網膜にあるオプシン受容体がこの光を感知するかどうかは定説はないけど、あっても別に不思議じゃあないね。

ヘビは赤外線を捉えるし。まあ人間はヘビじゃあないけど(笑)

今も虫の音が涼やかに響いているけど、こりゃあ天然の音響免疫療法だよね。虫の声って気功じゃん。音波が心地よく空気を振動させて鼓膜を介して聴神経を興奮させて。おまけにこれ皮膚でも聞いているわけだ。白亜紀ころにはコオロギの祖先は誕生していたから、恐竜たちもこの声で癒されたのかもね。

自然界は癒やしに満ちている。そういう中にあって人間は勝手な事ばっかやってるんだもん。そりゃあ調子が狂うわけだわ。

SM発狂カネモウケ五輪がどうのこうのって、これからウルサイんだろうね。そうやってオリンピック、オリンピックで騒いで馬鹿な大衆を思考停止にして、悪い事をいっぱいしようと画策してる。

ダークサイドに落ちた馬鹿はほっといて、ミトレンジャーはミトコンドリアやマクロファージや樹状細胞やの生命の叡智、共生する仲間たちの真相にアクセス祭りでしょ?(笑)

2013/09/10 (火) 05:50:51 | URL | 養生法の探求 #- [ 編集 ]

ミトコンドリアと太陽光

http://ameblo.jp/thackery/entry-11231144527.html
『安保教授から、「ミトコンドリアは太陽光を必要としている」というメッセージを受け取ったとき、人間の核に輝く光を感じた。
また、「東洋医学の鍼灸施術のパワー=太陽光」との認識も得た。』

こういう認識を持つ人が増えています。
私も光線療法を調べていく過程で、太陽光がミトコンドリアを活性化し、細胞の修復能力が促進されることを確信しました。
植物も動物も、太陽光で生かされている。
ミトコンドリアが喜ぶ生活が何よりも大切な養生法である、と改めて感じます。

2013/09/10 (火) 07:00:15 | URL | 鈴森 #- [ 編集 ]

駄文・一行

先生、ケッシュ財団ネタどう思います?

2013/09/10 (火) 12:29:41 | URL | クチブラ #2JEUmp5Q [ 編集 ]

いけるんとちゃう?

プラズマリアクター=リアル・コスモクリーナーだと思ってはいるんだけど、ちっともケッシュ財団ネタは広まらないね(笑)

意味がない除染とかやり続けてこの先どうすんだっぺ?

まず溶融燃料を鎮火してほしい。

あと双葉町の町民8万余がいまだにさまよっていて、なんでオリンピックなんぞに浮かれていられんの?

そのデリカシーのない心性を私は心底恥ずかしく感じます。

2013/09/10 (火) 13:35:48 | URL | 養生法の探求 #- [ 編集 ]

駄文

意外だけど、内の職場冷めてましたよ。
福島に親戚がいるとか、理由は色々だけど共通してたのは、オリンピックに無駄金使うなら、福島や東北に金使えで、一致してましたね。
それでも半分は行って無いかも。
個人的には、地道にレジスタンスすることかな(笑)

ただし幼児期・少年期のスポーツ反対までは、行かないのが残念な処です。
仕事の一部に運動指導が、しっかり入っているから難しいかも(笑)

ケッシュネタ、了解です。


2013/09/10 (火) 19:47:12 | URL | クチブラ #2JEUmp5Q [ 編集 ]

アンチ五輪パルチザン(笑)

プラズマを使って除染だけじゃなくて、新しい医療まで提唱してるでしょ?

あれがもしも本当に実現するとビッグファーマは相当の痛手を喰らうはず。

既存の物理学もパラダイムシフトせざるを得ないし。

まあ産業革命が起こる。だから既得利権のゴウツクバリがケッシュネタを喜ばない。

オオマサガスもいっこうに広まらない。

フリーエネルギーはきほん無視弾圧だね。

スポーツ庁?ほんと勘弁してよ!こんな官僚の新しい就職先を作って、おまけにまた関連の天下り機関をこさえるんだろ?どんだけ税金をむしり取れば気がすむんだい。こいつら悪魔だよ。

子供のスポーツは本当に大問題。免疫低下の第一要因こそスポーツだろうね。本来、スポーツなんていっさいやる必要はない。やるんなら、身体の構造をほんとにちゃんと学んで、関節がいったいなぜこういう構造になっているのかをしっかり把握したうえでやるべき。

もっとも体育の教師とかスポーツ指導者が最初にそれをやるべきなんだけど。中学、高校なんて普通課目の先生がスポーツ系の部活の顧問じゃん。これじゃあケガとか無理なシゴキとかなくならないわけだよ。

あっ、スポーツ嫌いなんでね。たぶんこういう意見はかなり嫌われるでしょうね。

やっすい、感動をありがとう、だの、夢の舞台、だの、平和の祭典だの、こういう陳腐な言葉が今後は多用されるし、復興が加速?するわけねえじゃん!ば〜か!

放射能の蛇口が全開でさ、海や空に向けて大量放出中だってぇの。まず蛇口を閉めてよ。復興も五輪もその後だって。

俺はあんまり頭にきたから、今また必死に免疫の解読をしてる(笑)2020年っつったら、ちょうど白血病や癌が多発する311後10年後くらいに当たるからね。もちろん五輪発狂モードで全部隠蔽するつもりでしょ。

だから先回りして、絶対にガンにならない方法を編み出す。どうも樹状細胞というマクロファージと同じく自然免疫で活躍する免疫細胞にとんでもない実力があることが見えてきた。

おいおい、まとめて記事にします。

2013/09/11 (水) 01:08:25 | URL | 養生法の探求 #- [ 編集 ]

先生、オッザース。
流れと関係無いけど「中国料理の迷宮」読み返してるのですが、何回読んでも面白いです。
500年前の料理にケチャップとかの件を読むと、先生が繰り返し原典を教条化するなと叫んでる姿が、凄く納得出来てしまいます。
体躯教師、小学校教師、幼稚園教師、保育士、これらの職業の方には、最低限の免疫知識の勉強は必修にしてほしいです。
脳筋系の体育派閥には、無駄かも知れないけど(笑)
情報統制と、税金搾取は、強化されるでしょうから、怒らない・怒らないで行きましょう。
免疫力落ちますぜ、先生(笑)
スポーツで感動?、スポーツで日本を元気に?、馬鹿だよね、本当にウザい。
そんなのやってるヤツだけじゃん(笑)
巨・乳の方が何百倍も感動するし、何千倍も元気になるわ、ボケ!
締めの基本これです(笑)

2013/09/11 (水) 07:02:05 | URL | クチブラ #2JEUmp5Q [ 編集 ]

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