第二十六章 まだまだ

私の住む牧之原市の東隣の町は吉田町といい古くから養鰻業が栄えた町として有名であった。安い中国産ウナギが輸入されて斜陽化に拍車がかかる前は、どこにも養鰻の池があり独特の風情がありました。私は子供時代は焼津市に住んでおり、時々、母の実家のある牧之原市へ向かう途中、養鰻の池の香りを嗅いだものです。ウナギの稚魚であるシラスウナギが今年もろくに捕れませんでした。様々な理由で稚魚が減っているとの事ですが、例えば原発が通常運転で垂れ流す汚暖水が近海の大陸棚の海水温を上昇させ、生態系を破壊している事に言及する者はひとりとておりません。この衝撃的なレポートはかつて広瀬隆氏が訳してしかるべき機関に提出したのですが、日の目を見ることなく今日に至っています。私たちは便利な生活の代償に無数の命を殺戮してこの近代文明を謳歌しています。ウナギの蒲焼きが食べられなくなるのは江戸っ子にとっては辛いねぇ、などと呑気に粋がってもさ、お前は今までの近代文明的ライフスタイルを反省することは永遠にないだろうね。つまり現代人は心も身体もとっくに枯れているわけ。枯れさせたのは教育なのかもしれないし、メディアというか洗脳箱というかテレビという電波でこれでもかと頭ん中を殴りつけられて自分独自で思考する能力を奪われてしまったせいなのかもしれないが、もういい加減に目を覚ましたがええぞ!シラスウナギが激減してるのは原発のせいに決まってんだろうが!きったねぇあったけぇ水をずっと海に流した重犯罪者だよ、原発ってのは。ガザミっていう凄く美味い蟹がいてね、このへんの海でも昔はよく捕れたんだ。茹でてね、甲羅をひんむくと味噌がギッシリ詰まっていて、俺も子供の頃はオヤジがよく買ってきて食べさせてもらったもんだよ。吉田町でシラス漁(このシラスはイワシの稚魚ね、シラスウナギとは別口だから)に従事する奥さんが常連さんにいて、いつだかこんな話しをしてくれた。「久しぶりにガザミが網にかかって食べたけど、おいしかったよ!昔はほんとしょっちゅう捕れたけど、最近じゃあまったく見なくなったねぇ。アタシはね、なんかダムなんかで川をいじってから漁が減った感じがしてるし、水産庁だかがトロール船でごっそりと底をさらってくの、アレが稚魚とかを捕獲して魚や蟹が減ったとも思っている。私っちのこういう意見なんて結局はどこへも訴えようがないけどね」川に工場からは排水を流すし、護岸工事と称して川の堤をコンクリートにしちまうしね。この土の堤の下部、川の流水に接する部分でウナギは営巣し子供を孕んで海へと向かうんだろうし、ザリガニだって穴掘ってその中で子育てをしてたもんね。やっぱ、人間が一番の悪者だよね。なんて私は応じました。ドジョウやウナギに優しくない文明は結局は人間にだって優しくはない。当たり前だよね。人間もドジョウもウナギもガザミも肺魚もトビウオもみんな地球の仲間。38億年前に奇跡的に誕生したアーズベビー原始バクテリア、地球の子の末裔。仲良くやりゃあいいのに人間同士は殺し合い、他種族は経済発展の美名のもとにジェノサイド三昧。人間くらいオゼエ種族はいないぜ、まったく。オゼエってのはこのへんの方言でね。おっぜぇ、って吐き出すように言うともっと強調されていい(笑)まあ「最悪」くらいの意味だね。おかしいな、今回もドジョウがらみで話しを進めるつもりがえらく政治的つうか社会問題というかブッチャケ気味になってしまった。

さて気分を直して、デボン紀の上陸劇を再考しましょうかね。このデボン紀に棲息していた原初の姿を維持している現生の古代魚の姿形には共通の特徴がある。そのボディシルエットは大概が長くて流線型で、ようはほぼドジョウ型のシルエットと思えばいい。熱帯魚で有名な南米のアロワナやピラルクなんかも長いボディ。北米に今も棲息する古代魚の筆頭アリゲーターガーも同じようなシルエット。雷魚も肺魚もみんなそう。で、こりゃあ何かあるな、と感じているのです。なぜに長いボディなのか?ドジョウってのが腸管で呼吸できることを学びました。腸管を入れておくのは勿論そのボディです。ふんふん、なるほど、酸素を溜めておく膨らんだ袋、肺がまだ発生していないのだから、であるのなら、腸管が長く膨らんだ状態というか腸管で吸った酸素をたくさんキープできれば肺の替わりになる。いやいや順序が逆だね。もともとは腸管とはこれら腸呼吸をする魚にとっての肺であったのだ。で、より効率的に酸素を大量にストックする目的で合目的的に肺という器官が発生したのである。つまり古代魚の長細いモデル体型は実は長い腸管を収納するためであったと見なせるのです。

デボン紀後期から中生代初期にかけて、大規模な造山造陸運動の結果、広大な干潟が出現し、魚たちはここで過ごさざるを得ない境遇に見舞われます。その間、約2億年。現生魚類のカタチは今は千差万別ですが、当時の魚類の標準体型はみなドジョウ型だったのではないのでしょうか。古代魚を見るとそんな感じがしますし、シーラカンスの仲間であるユーステノプテロンもまた魚雷型の美しく長いボディの持ち主です。つまりこれらのスタイルのキモとは、ようは、腸呼吸をしていた証ではないのか?と私は想像します。まず腸呼吸が可能な魚類が生き残った。干潟はやがて旱魃に襲われて見る見ると干上がっていった。少しでも水分が残る湖底の泥の中に身体をうずめ、雨を待つ日々。やがてその忍耐の習慣がDNAのトリガーを引き、腸管の一部を膨らませ肺という器官を発生させた。肺魚の誕生である。強烈な日差しはむき出しになった魚たちの表皮を乾燥させ死滅に追いやった。しかし、その過程で皮膚表皮に粘液を分泌し身体をヌルヌルにして体表を紫外線や熱から守るスベを身につけた魚類が誕生する。ウナギやドジョウの祖先だ。う〜ん、ウナギもドジョウも由緒ある古代魚の機能、器官、姿形をとどめる正当なお家柄のご出身でしたね。

ウナギの加工屋さんの社長さんが常連さんにいまして、ウナギの話しを時々します。宮崎県で養殖されたウナギは生きたまま箱に入れられて、氷水がチャポチャポ湿る程度の水分で船旅をして大阪港に着くとトラックにて陸送され吉田町の加工屋さんの工場に着きます。2000匹輸送されても死ぬのはわずか2匹くらい。そのくらい生命力が強いのがウナギだよ、と以前に教えて頂きました。それもそのはず、彼らウナギの強靱な生命力は恐らくはデボン紀の旱魃を生き抜いた修練のたまものなのです。水が無ければ平気で地上にて皮膚呼吸を営めますし、ウナギやドジョウの表皮のヌルヌルは動物性粘性物質と呼ばれる多糖体です。このヌルヌルした多糖体という成分は実は放射能デトックスの強い味方なのです。体内に侵入したストロンチウムは昆布などの海藻が含む多糖体により体外へと排泄される事がカナダのマギル大学の研究で明らかにされていますし、日本の研究では、漢方薬の高貴薬である高麗人参が含む多糖体に放射線障害を抑制する作用が顕著な事がネズミを使った実験で確認されています。なんと放射能にも強い粘液でまとったスーパーボディの持ち主こそウナギでありドジョウでした。我らがアイドル、我らが師匠、どじょっ子は、ほんと、スゲエぞ!

ウナギから唱える反原発。ドジョウから見据える鍼灸指圧の未来。鍼灸指圧は皮膚を治療ポイントとします。人間は皮膚呼吸はできませんが、皮膚を刺激してエリスロポエチンを誘発産生できます。エリスロポエチンは赤血球産生を増大させるホルモンです。ウナギは皮膚から直接酸素を取り込めるのですが、それが出来ない替わりに人間は赤血球を増大させて酸素供給を促進するのです。人間だってまんざらでもありません。いやもしかすると、ドジョウなみの強靱な生命力が備わっているかもしれません。私たちもデボン紀を経て進化した種族です。デボン紀のラグーンに棲んだ古代魚たちには養生の叡智が凝縮されておりました。さて、朝食には定番の微生物性粘性物質が生みだしたネバネバ食材、納豆を頂きましょうか。手を合わせた先で、デボン紀のドジョウが手を振っております(笑)

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2013.05.25 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

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