第二十二章 リンリンリン

中国医学というものは論理的整合性を求めるがゆえに非常に緻密な論理体系を築いている。これは漢字圏の国で生まれた医学であることに原因するのかもしれないし、古代中国人の性格によるのかもしれない。いずれにしろ、漢字だらけのコテコテ医学であることは確かである。陰陽論をベースに五行論をプラスした2と5のフラクタルな分析が多用される世界。いわゆる東洋医学の敷居が高くなっているのにはこういった根本的な中国医学というソフトのもつ重厚長大さがまずあり、かつ現代の鍼灸業界自体の排他的閉鎖性、家元的な研究会、競合するものが少ないがゆえの既得利権化、自分たちにしか通用しない用語を多用する鍼灸ムラ的体質なども起因している。この最後の鍼灸ムラでしか通じない言葉こそが気(き)であり、経絡(けいらく)であり、経穴(けいけつ)であり、足の陽明胃系(あしのようめいいけい)である。

「足の陽明胃経はデボン紀の海底に起こる」と前の記事でコメントした。この文句の中でわかりにくいのが陽明(ようめい)という言葉である。なんのこっちゃい?こういうのがいちいち敷居を高くしている原因なんですね。経絡の枕詞に太陽、陽明、少陽、太陰、少陰、厥陰なる文字が付くのですが、これは陽をその陽性度の高さから3つにわけて、陰も陰性度の上下で3つに分類しているということになっています。つまり陽中の陽、もっとも陽性の強い経絡が足の太陽膀胱経、手の太陽小腸経ということになり、その次が足の陽明胃経、手の陽明大腸経と順次進み、最終的に陰中の陰まで達し「陰極まって陽に転ず」でまた陽の経絡に戻る、なんて構造の12経絡循環説が現代経絡学では採用されているわけです。つまり、陽明という言葉にはその程度の意味しかありません。はっきりいってたいした意味はありません。ようはファッションとしてスカーフやストールを巻くか、なにも巻かないかという違いくらいしかないのです。つまりもったいぶった装飾をこれでもかとテンコ盛りしているのが現代の中国医学、東洋医学なのです。漢字はもともと象形文字であるわけでたくさん集めると絵的というかビジュアルを埋める感じになって結構それらしく見えてくる。ただそう言う理由で付着されたのが陽明という文字なのです。ヤバイね、言い切ってる(笑)

言いたいことが読者の皆さんに伝わりつつありますかね?ようはこのコテコテ医学、脂ぎってギトギトした医学をね、クエン酸やレモン汁かなんかで綺麗に洗ってね、一度スッキリした味に仕立て直すという作業が絶対に必要なのです。2300年前のそのまんまの中国医学、用語ではね、とてもじゃあないが現代人には受け入れることなどできはしないの!言葉ひとつとってもわかるでしょ?陽明って言葉、何でこんな言葉がくっついているのかわかる一般の方いました?いないでしょ。こういう無駄な装飾があまりに多いのが中国医学の宿命的な課題というか問題なのです。でもでもでもね(笑)この出来上がった中国医学というソフトにケチをつけるという勇気というか度胸というか大胆不敵、はたまた馬鹿か利口かよくわからないドンキホーテな行為に出る者など私以外にはいないのです。みんなモノスゴク真面目なの。素門、霊枢、難経、神農本草経などなどバイブルをありがたく信奉して崇拝して、それを解読解釈することに熱心な方が実に多い。でもそれが何らかの東洋医学の啓蒙になっているかっていうとまったくなってはいないわけだ。今の発狂気味の日本、ワンフレーズ政治でコロッと逝っちまう一般大衆はコムズカシイ東洋医学論なんかにはついてこれない。つまり一般人のレベルが低下してるんだから、それに合わせた新しい東洋医学を生み出す時期がとっくに到来しているの。一般人のレベルがうんぬんってのはあまり例えが良くないけど、ようは現代語に翻訳した東洋医学を構築しないとね。そうしなければ、もうとことん東洋医学は衰退していくだろうと私は予想している。

現在の経絡学では手の陽明大腸経(てのようめいだいちょうけい)と呼ばれる経絡は最初は「歯脈(しみゃく)」と単に呼ばれていただけ。歯に通じる経絡という意味です。しかも当時は体内を循環する思想はなく、求心性の一方向性のみの経絡観。手から歯まで通じたらそれで雲散霧消?みたいな流れ。この原始的体感をもとに造られたシンプルな経絡説がやがてコッテコテの12経絡循環論にまで発展する。わかりますか?ようはフィクションなんですよ。体系化するって事はね、そういう危険性があるということ。見栄えを追及した理論だからさ、現実の指先の世界とは乖離しているの。でもさ、こんなこと誰も指摘しないぜ。本当にヤバイほどの洗脳なの。まあ、そういうわけでね。むかしむかしの経絡ってのは肩脈(けんみゃく)、耳脈(じみゃく)、歯脈(しみゃく)なんて感じの実にお気楽、かつ、実践的な理論であったのです。

デボン紀末のユーステノプテロンの骨格標本図では頭骨と胸ビレが直でつながっています。人間で言えば頭蓋骨に手首がくっついているような感じ。歯脈(しみゃく)は手の陽明大腸経(てのようめいだいちょうけい)の事なんだけど、人差し指から肘まであがり上腕部を過ぎて顔面部へと至るルートで、詳しく知りたい方は経絡図でも参照して下さい。そんでこの経絡上の人差し指と親指の間にある有名なツボに合谷(ごうこく)がある。眼の疲れ、頭痛、歯痛なんかによく効くとされるツボね。明治から昭和初期まで静岡県は清水の草薙にはこのツボにたくさんの灸をすえて面疔を治すことで有名な家伝灸がありました。草薙の灸、または、桜井戸の灸、と呼ばれる灸法でした。抗生物質のまだ無い時代にはこのお灸が人々をよく助け重宝したのです。なぜ手指領域に灸をすえて顔の面疔が治るのか?お灸の白血球増強作用だけでは腑に落ちませんが、デボン紀のユーステノプテロンの骨格解析にまで至りようやく納得できました。そうなのです。その昔も昔、今から3億5900万年前のデボン紀後期の私たちのご先祖様は頭と手がくっついた生き物だったのです。だからその名残で手に何らかの療治を施すと頭部に発生する症状を緩和消退できるのです。手に物理刺激を送ることは頭や顔や口腔内や歯に物理刺激を送ることに等しいのです。面疔と合谷は密接につながった存在だったのです。

手に存在する経絡へ治療するとその刺激は頭部へと流れると臨床20年で体感しております。いや「内臓体壁反射、体表内臓反射」を体験し続けたリアルな感触で言えば、体表と内臓はつながり、体表の一部はすべての体表や臓器とつながっている、ということなのです。経絡なぞという言葉を持ち出さずとも身体の真理は表現できます。せっかく腸管内臓系と体壁筋肉系のインタラクティブなリンクが京都大学生理学教室で立証されてるんだから経絡改めI N P 新用語「腸管筋肉表皮リンク」略して「腸筋表リンク」もっとラフにふざけて言うと「チョーキンピョーリン」でガンガン行こうぜ(笑)

では締めのひとことを。

手の陽明大腸経もデボン紀の海底に起こる。

おいおい(笑)

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2013.05.18 | | コメント(3) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

コメント

怒涛の新シリーズ

先生、こんばんは。自分が身に着ける知識は深く広く。相手に伝えるときは、浅く狭く。どんなに凄い知識でも、相手に伝わらなかったら、意味が薄くなってしまいますからね。言葉って、難しいし、深いですね。このシリーズが出版される時、先生が素人相手にどれだけ簡単な表現をつかって、内容を伝えられるかに、成功の鍵が有るのではないかと思うのですが、どうでしょうか(笑)このブログに影響されて、ニック・レーンの本を二冊購入しました(笑)二冊で7960円でしたけど、内容面白そうだから良い買い物かと。では、新シリーズも凄く期待しています(プレッシャーにも成らないですね)

2013/05/18 (土) 18:49:19 | URL | 邪ブラック #2JEUmp5Q [ 編集 ]

一休さ〜ん(笑)

最近ちょいと本業がハードで少し休憩入れながら二足目のわらじ、本シリーズを進めます(笑)

Dr.コパは中学生にもわかるように風水を説いて荒俣宏をさしおいて一大ブレイクしちまいましたからね。俺も幼稚園児にもわかるような東洋医学論を展開して世界にブレイクしちゃいます。で、ニックレーンと対談(笑)ニックレーンって濃いとこに行きましたね。

映画スターウォーズのフォースの概念は多分ミトコンドリアの善悪両面の力がモチーフでしょうね。ATP産生の善なる顔と活性酸素を発生するダークサイド。なんか菩薩像で怖い顔と優しい顔がくっついたのがあるけどジキルとハイドっつうか二面性ってのは太極マーク同様この宇宙の真理かもしれないね。

太田さん、瀬名さん、ほか、日本にもミトコンドリアフェチ系の学者さんは多々あるけど、いっち優れた先駆者は西原克成博士と認識しています。著書は数冊熟読済み。あと黒岩常祥「ミトコンドリアはどこからきたか」NHKブックス、は読み応えある名著です。幼稚園児向きではないですがね(笑)比較的新しいとこでは米川博通「生と死を握るミトコンドリアの謎」技術評論社、なんかもなかなかいいです。こっちは高校生くらいでも行けそうにわかりやすい。西原博士はよく知られたのが「内臓が生みだす心」「究極の免疫力」あたり。

まあこれら賢者の本を参考にしつつ、変人の体感とアイデアを盛り込んだのが本ブログです。今後ともご愛顧の程よろしく。ほいじゃあ、今日は創世記は休みですが、書けそうな時にまたガンガン行きまっせ!

2013/05/19 (日) 06:09:59 | URL | 養生法の探求 #- [ 編集 ]

目指せ、ミトコン界のDrコパ(笑)

先生、こんにちは。しっかり休養されたらガンガン行ってください(笑)幼稚園児は無理として、小学校高学年から、中学生くらいが理解できるように書けば、ワンフレーズに乗せられるオバサン・オジサン世代のハートは、がっちりキャッチできますよ、多分(笑)黒岩氏と米川氏の本も時間ができたら読んでみます。アマゾンのレビューって、分かり易く書いている本に対して、評価が低いのが傾向として有りますね(笑)西原先生の本は、乳幼児関連の本は前々からチェックを入れていたのですが、ミトコン系はノーマークでした。上記2冊も、追々読んでみます。先ずはニック・レーンを読破しなければ行けないので(笑)では。

2013/05/19 (日) 12:17:33 | URL | 邪ブラック #2JEUmp5Q [ 編集 ]

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