第四章 共生(あたえあい)

およそ40億年前の地球で生まれたいっち最初の生命体、細菌たちは①化学合成細菌→②発酵菌→③嫌気性光合成細菌→④酸素発生型光合成細菌→⑤好気性細菌、というプロセスを経て、20億年ほどのタメをもってバクテリア時代を過ごす。この生命進化の最初期のタメの時間。ここにこそ養生法のヒントが潜んでいるとも言えようか。水素細菌は水素をエネルギー源にする細菌であるのだろうが、今現在の人体細胞内においても水素は重要なエネルギー獲得の原動力である。ミトコンドリア内膜において水素イオンは膜外と膜内を行き来し、ATP合成酵素を回転させる動力源として活躍している。水素という宇宙でもっともありふれた元素がイオン勾配というある種のフリーエネルギーを利用しながらATPという生命維持にとって必須のエネルギーを生み出している。このミトコンドリア内膜の水素移動によるエネルギー獲得法は原初のバクテリアであった水素細菌の機能が進化したものなのかもしれない。発酵菌の乳酸菌は解糖系から乳酸を生み出す。人間の細胞には解糖系が依然として機能しており、栄養素として取りこまれたグリコーゲンという糖を分解して2分子のATPを産生している。この解糖系の過程で生み出されるピルビン酸がミトコンドリアへと運ばれるとクエン酸回路が起動し、最終的には電子伝達系で水素が動いて結果として38分子のATPが産生される仕組みである。発酵菌の面影は細胞内の解糖系に見られ、水素細菌の名残はミトコンドリアの電子伝達系に見える。好気性細菌とは酸素を駆動力としてエネルギーを生み出すシステムを獲得した細菌であるが、酸素を使ってミトコンドリアはクエン酸回路と電子伝達系を動かしている。ミトコンドリアの祖先はαプロテオ細菌という好気性細菌であり、この好気性細菌が真核生物という核膜に包まれた遺伝子をもつ細胞に取りこまれて共生したハイブリッドタイプの生命体が発生したのが20億年前頃とされる。嫌気性の発酵菌タイプの真核生物と好気性のミトコンドリア型の細菌がドッキングして地球の生命史は新たなステージを迎えたのだ。ここまでの原始バクテリア20億年史。この初期生命の発現過程をつぶさに見ればいかに私たちの体細胞がバクテリア感満載かが理解できてくる。60兆個の細胞ひとつひとつに地球生命史の最初期の20億年の歴史がギッシリとつまっているのである。まことに我ら人類はバクテリアの機能が集積した生き物に過ぎない。

ヒトは多細胞生物であり脊椎動物門の頂点であり哺乳類の王様であり自称ホモサピエンスつまり知恵のある猿と自分を認識しているので、とかく単細胞で肉眼で捉えることが出来ない細菌たちを馬鹿にしてしまう。この単細胞が!なんて慣用表現すらある。単細胞のバクテリアくらい素晴らしいものはいないし、我らが祖先だぜ。人間ってのはつくづく愚かだよね。自分の父母である地球よりも上のような気分でいるし、地球生命史の大先輩でありいまだに自分の細胞はその機能で維持されているバクテリアたちまで小馬鹿にすると来ている。もうどうしようもない程にお馬鹿な猿と化しているのが現生人類たちである。近代になり教育が進歩した?いやいやアホが増えただけだよ。

さて、嫌気性細菌はなぜ好気性細菌を共生させたのか?一説によれば酸素濃度が上昇した地球環境に適応して嫌気性細菌が生き延びるには好気性細菌を取りこんで酸素をエネルギー源にするしかなかったと言われている。生き残り戦術として嫌気性細菌がとった方法が結果として生命進化を一段ステージアップすることに貢献した。ここに私は適応命理を見るのである。「生命現象とは内外環境への適応なのでありその適応現象には善悪も邪正も存在しない。あるのは命の理だけである」そうなのです。嫌気性細菌は命の理に従って行動したに過ぎないのです。いや好気性細菌もまた命の理に従い嫌気性細菌の中にみずから入りこんでいったのかもしれません。共に生きようとする姿勢。それは与え合う愛の精神の発露でしょう。どちらもエゴが起点ではない自然な与え合い。ここに適応命理なバクテリア愛を見ます。私たちは20億年前の細菌どうしの愛がつまった細胞を60兆個も保有しています。その原初の力で生きているのです。あだら疎かにできません。細胞たちは必死に今この瞬間も生命史40億年で獲得した叡智をフルに稼働し私たちを生かしてくれているのです。神などいません。いや細胞の営みこそが神と呼べる現象です。

嫌気性細菌の働きは細胞質での解糖系として機能していますが、ミトコンドリアが様々な物理的ストレッサーにさらされて疲弊するとバックアップ機能として解糖系を亢進させてミトコンドリアが産生するATPを補填します。これがガン細胞内における解糖系の亢進と呼ばれる現象「ワールブルグ効果」です。つまりガン細胞とは単に適応命理な現象の結果生まれた細胞なのです。別に恐ろしいわけでも、忌み嫌うべきものでもありません。ガン細胞もまたバクテリア愛の発現なのです。その事を理解せずにガン細胞を殲滅する事のみを追及してきた近代医学。いかに愚かな医学であるか!ここ300年余の西欧近代医学史はガン細胞の虐殺史でもありました。私たち細胞の成り立ちに目を向けることなく、ただただ現象を斬り刻み捨て去る事を追及する医学とは、まったく愚かにも程があります。なぜそのような現象が立ち上がるのか?その本態を解明する事こそが科学ではないのですか?私は多くのガン患者をこの指で触れるという臨床の中からガンの真相を悟りました。嫌気性細菌と化した身体は実に堅いのです。まるで甲殻ボディです。末期の膵臓ガンのおばあちゃんの僧帽筋はまるで亀の甲羅の如く盛り上がり固まっていました。いくら押してもビクともしません。それは荒々しい原始地球を生き抜いた嫌気性細菌が38億年前から蘇った姿だったのです。それこそが身体バクテリア愛だったのです。

適応命理。細胞は外部環境と内部環境に適応して、嫌気性細菌と好気性細菌の力の配分を調整しています。嫌気性5%、好気性95%のATP産生が人体細胞の理想的配分です。これに見合う養生法こそが身体をよく養うのです。ミトコンドリアを賦活するライフスタイルこそが生命史40億年への恩返しです。ヒートショックプロテインを分泌するとガン細胞内でつぶれていたミトコンドリアが復活します。ヒートショックプロテインが分泌されるとミトコンドリアをはじめあらゆる体タンパク質が正常化し円滑に動き出します。40億年前に生まれたタンパク質ヒートショックプロテインは養生のカナメです

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2013.04.29 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 鍼灸創世46億年記

コメント

執筆中ですね!

ぼんやりしているので、なんで何章とかついてるのか意味を理解するのにこんなにかかってしまいました。カテゴリータイトル 壮大ですね!

水を差して申し訳ありませんが11行目の解糖系が、の後の部分が誤変換になっています。刊行される前にご連絡と。(小野先生は多すぎるので指摘しないのですが誤変換ぶりがまたスゴい)探求先生はとても珍しいのであえてご連絡を。 

細胞の営みこそが神である。ものすごく理解してしまいます。(そして神をもコントロールできると思いあがっている大馬鹿野郎のホモサピエンスの恥ずかしさ。。。)
読んでいてなんだか本当に涙が出てきました。わたしだけじゃない、たぶん、このブログを知らない今苦しみぬいている人たちはこの部分、きっと理解してくれると思います。先生、がんがん 書いてください。

2013/04/29 (月) 22:26:57 | URL | マツダマツコ #- [ 編集 ]

(仮想)出版予定原稿の執筆中

マツダさん、ご指摘いただいた箇所は訂正いたしました。ありがとうございます。これで少し小野先生に近づけた?(笑)早打ちなんでしょうね、きっと。頭の回転にパソコンのキーがついてこない。その点、私は遅打ち専門ですから(笑)

タイトルは大きく出てみました。ここんとこの地球生命史46億年を行きつ戻りつ俯瞰しながら鍼灸指圧とからめた論説を展開しようという趣向です。一度やってみたかったんです。書き出してみたら、いまのとこペースはいい感じです。

こうご期待(笑)

2013/04/30 (火) 04:45:04 | URL | 養生法の探求 #- [ 編集 ]

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