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クスリ箱は皮膚にあり



漢蘭折衷派の医師である新宮涼庭は

携帯用のクスリ箱にある文句を刻んでおりました。

箱の後面には「医師は自然の下僕である」

「訳して曰く、人身は、本来、元気がある。

医師の技は、ただ、その奴隷にすぎない」。

前面には「解して云う。元気は何れも自然の運行である。

医師は病に臨んで、自然の運行の欲するところが

如何なるかを視るのみである」

オランダ商館の人たちを漢方薬を使い

あざやかに治療した名医でもあった新宮先生。

クスリ箱のメッセージは非常に謙虚で

崇高であり100年の余経った現在も

輝きを失わない言葉ばかりです。

人体の生理現象を自然現象と捉え、

あくまでそのプロセスの邪魔をしない姿勢こそが

医師たるものの立場だという主張。

これはまさにヒポクラテス思想であります。

どこへ身体がいこうとしているのか?

その声が聞こえれば自ずと治癒の道は

見つかるのかもしれません。

私も常々、心して治にあたりたく

今また思いを新たにしました。

さて、身体の持っている潜在力は

計り知れないものがあります。

そして未だ未知な部分も多々あります。

たとえば鍼を打つとなぜ痛みが和らぐのか?

なぜ眠くなるのか?

なぜガンの予防になるのか?

多くの疑問が今、皮膚の新たな科学的データにより

解明されてきました。

皮膚は内外の情報の分岐点。

インフォメーションの出島です。

外部から入力された情報が

皮膚ケラチノサイトによりホルモン、電気信号、

神経伝達物質などに変換され身体中へと伝播します。

鍼や灸、指圧の治療によって分泌されるホルモンには

βエンドルフィンなどの鎮痛ホルモン類が有名で、

治療時の恍惚感はこれらのホルモンに起因するとされます。

また灸の熱は体内にHSPという

熱ショックたんぱく質を産生します。

このシャペロン物質であるHSPが、体細胞を構成する全ての

タンパク質を円滑に生成し解体し再生します。

鍼灸刺激によって分泌されるプロスタグランジン

というホルモンがあります。

このホルモンには催眠作用と抗ガン作用があることが

日本の医学者により確認されています。

不眠症で夜寝付けない患者さんが、

鍼を打って10分もしないうちに

寝入ってしまうことはよくあります。

そうして寝る行動を再認識することで

徐々に不眠症が改善していきます。

皮膚は実は学習機能にも関与しています。

鍼灸治療や指圧が皮膚を賢くし、

しいては頭脳までも賢くすることもある、

と夢想するのも悪くありません。

小児鍼で著明な鍼灸師が言うには、

小児鍼を打つと学習能力が飛躍的に向上し

30点だったテストが100点満点になるそうです。

自前のクスリ箱というかクスリ箪笥である皮膚。

「引き出し」を開けないなんて実にもったいない。




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2012.01.16 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 皮膚革命

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