ウィンド&ファイアー

「火で治せぬものは不治である」

はギリシャ医学の父ヒポクラテスの言葉です。実は西欧にも熱を使う医療がありました。

それは焼きごてのようなもので皮膚をジューと焼いてしまう焼灼法でした。絵でしか見たことがありませんが、強烈なイメージが残りました。

そんな治療法しか知らなかった西欧人のひとりであるケンペルが江戸期に来日した折りに、我が国の灸治療を見て目を見はります。

そしてつぶさに日本の鍼灸術を記録し西欧へと紹介することになります。

この時に日本の鍼の刺入スタイルである管鍼法(かんしんほう)という管(くだ)を使って鍼を刺す方法が西欧に知れたことが、のちの注射針の開発につながったとの伝聞もあります。

医療文化は意外にも古くから東と西を行き来していたのです。

さて、お灸と言えば熱い=火傷(やけど)という単純な発想が生まれてしまうのは、やはり啓蒙不足の感を否めません。

灸の気持ちよさ、安全さについてのアピール不足に関しては自身も含めて反省すべき点です。

現在の灸の手法は、「よりマイルドにより気持ちよく」です。

直接灸という昔ながらの直接に皮膚にひねった艾(モグサ)をのせて線香の火を点火するタイプであっても、灸点紙というアルミ箔が真ん中に貼ってある灸熱緩和シールを使います。それによって燃焼温度の伝導がゆるやかになります。

温灸は文字どおり、温かいお灸です。温灸器を皮膚に当てて輻射熱で皮膚を面であたためます。とくに女性に喜ばれるお灸ですし、不妊症などには絶大な効果を発揮します。温灸に使う筒艾(つつもぐさ)には薬草を16種類も混入したタイプがございます。この薬草の香りを医療へと応用した起源は古くは中国最古の地理学書である山海経まで遡ります。当時は「衣冠療法」と呼ばれていました。香りをまとう医療です。温灸によって皮膚温はちょうど40度〜43度付近になります。少しあつめのお風呂に浸かった感じです。この温度帯で活性化するのが皮膚センサーのTRPV1という受容体です。この温度受容体が活性化することで、皮膚から浸透した温度入力情報は、神経や免疫系、内分泌系へと伝えられ、体内の動的プロセスを円滑にする生化学反応が活性化します。生命現象とは酵素反応であり、この酵素が反応するためには至適温度が必要です。そして酵素反応の触媒となるのが分子シャペロンであるHSPなのです。つまりお灸治療によって酵素反応に必要な温度とその酵素反応を先導するシャペロン分子であるHSPを同時に獲得できてしまうのです。そして薬草の香りも身にまとう事ができるのです。まさに一石三鳥の温熱治療です。

「お灸って気持ちいい」、「お灸をしてもらっていたら寝てしまった」、「お風呂に入るときに香りがフーとしてなんとも言えない」、が実際の治療現場で聞かれる言葉です。

古代マヤ人は古代中国人が経絡(けいらく)と称した生命エネルギーのルートを、「風の脈」と呼んだそうです。

火をおこして風を呼ぶ治療。

一陣の風があなたを健康へと導きます。

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2012.03.20 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 鍼灸指圧

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