おしゃべり

1972年に中国は湖南省の長沙・馬王堆墳墓からのちに「馬王堆古導引図」と呼ばれる一種のエクササイズ図鑑が発見されたことにはすでに何度か触れている。この44パターンの導引法は実に味わい深いものがあるし、多くの示唆を得ることができる。やはり東洋医にとっては世紀の発見といっていいシロモノである。

すでに2000年以上前の中国の民衆が健康になるための方策を探り実践していたという事実は、ひとにとっての幸せとはやはり健康なのだというメッセージとも受け取れる。いささかこっけいな風体で身体を折り曲げ、屈伸し、ひねり、こちらを見つめる人体ポーズの面々。311後という健康を維持することが非常に困難になったわれわれを見つめて何を思っているのだろうか。

ヨガにしろ太極拳にしろ「馬王堆古導引図」の導引にしろ、身体を動かすことの効能を古代人たちは知っていたのだ。そうすることで身体が軽くなり元気になることを体感したからこそ絹の布地に効能書きまでメモして人体のポーズを書き残したのだ。身体を動かすという実に単純なことの中には分子レベルにおいても非常に興味深い事象が起こっていると推測できる。

人体とは畢竟すれば水を入れた革袋なのである。皮袋と表記した方がいいだろうか。一枚の皮膚に包まれた物体が人間なのだ。その物体の上方と下方には2つの開口部がある。この上の口からモノが入り、下の口からでていく。いわば物質の通り道が人体という皮袋である。そしてモノという粗く大きな物体として上方の口から入ったモノは皮袋の中で微細なモノに変換されてさらに内部の微細な物体とモノをやりとりし交換する。するといらなくなったモノが出てくるのでそれは下の口から外に出すか、上の口から外に出すことになる。大きなモノの流れはこのような感じで進行する。

モノと言えないような微細なモノや熱や光や圧力や音波や電気や磁気や重力などの物理的なエネルギーも皮袋は受け止めて自身の栄養にすることができる。そのような物理的なエネルギーの大半は皮が受容する。皮は受容したエネルギーを皮内部へと伝達し皮内部で活動している57兆個の細胞と100兆個の常在菌と京レベルの数を誇るミトコンドリアに送る。それらの物理的エネルギーを受け取った細胞内共生体たちもそれぞれの皮でまずその情報を受け止め自身の栄養源にしていく。

受け止めた皮はその情報をホルモンや神経伝達物質やヒートショックプロテインや一酸化窒素に変換して今度は情報を発信し始める。決して受動するだけの依存的な体質なのではなく自身も情報を発信する能動的な存在が人体なのだ。情報をバラエティー豊かにすることで、より健康になろうとシステム化されているのが人体という有機体なのだろう。

導引というエクササイズは身体に動きという情報を与えるのだろう。動きながら呼吸することで体内には空気中に含まれる元素や分子が取りこまれる。動くことで皮膚は伸ばされて筋肉のアクチンとミオシンが行きつ戻りつするとATPが活躍し体内のタンパク質が変化する。細胞内共生体であるミトコンドリアは使われたATPを供給するために取りこまれた酸素を使って光エネルギーも利用しながらATPを生みだし始める。導引とはミトコンドリア活性化なのである。

ヨガも太極拳も導引もすべてそのような分子レベルの機序を触発するメソッドである。古代人はよくミトコンドリアと対話していたのだ。

311後のわれわれもミトコンドリアとよくお喋りすればおのずと命を生かすスベを発見することができるであろう。

養生の秘訣は命との対話にあり。

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2012.12.07 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 身体操法

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