02健康というより養生

そもそも健康なる語が使われ出したのは明治初期に入ってからであります。内務省の初代衛生局長である長与専斎は健康という語があまりに率直で面白くないと考え、中国古典『荘子』の文中より「衛生」とい う語を見つけ、それを厚生省の前身である「衛生局」の名前に持ってきたそうです。

明治初期には江戸期からなじんだ言葉である「養生」という言葉も依然として使われておりました。私にはこの「養生」という概念のほうがしっくりきます。「生を養う」、つまり、「命を育てる」という感じが自分の治療している感覚とマッチしていてとても心地いいのです。患者さんの身体の堅い部分をもみほぐし、鍼をし、灸をする、その流れがいかにも身体を愛おしみ、命を育んでいる気がするのです。

今はあまり一般的ではないですが、江戸時代に盛んに読まれたベストセラーである貝原益軒の「養生訓」。ここには、あまりに有名な一節が書かれております。「医は仁術なり。仁愛の心をもととし、人を救うをもって志とすべし。・・・」人口に膾炙したこの「医は仁術」という言葉。今もって古さを感じません。

そして益軒翁はこの書の中で懇切丁寧に「養生」の秘訣を、大切さを語ります。自分も初道の頃に暗唱した箇所があります。要点を言いますと、我が身を惜しみ慈しみ決して粗末に扱うな、というメッセージです。昨今の現代生活はあまりに我が身を酷使し過ぎていないでしょうか。身体の悲鳴があちこちから聞こえてきます。

「養生」とは「我が身に手をかけて身体と対話すること」と私は考えます。

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2012.01.15 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

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