0ツボ地点

わたしは鍼灸指圧師だ。

だから東洋医学の知識をもとに治療する治療家だ。

東洋医学とは気一元論と呼ばれるように、

気というまだ科学では未解明の生命エネルギーを

コントロールすることで患者の心身を整える医療だ。

その気をコントロールする鍼灸指圧とは、

患者の体表上の反応点である特異的なツボをターゲットに、

そのツボに鍼灸指圧というツールでアクセスすることだ。

そうしてツボから経絡を介し五臓六腑へと

気を伝達することで治療という目的を達成する。

これが臓腑経絡説をもとにした鍼灸指圧の治療だ。

一般的な東洋医学の認識は大ざっぱだが、

だいたいこれで間違いはない。

さて、それでは試みにこの一般的な東洋医学のベースとなる

知識をいったんタッチパネルの「戻る」表示を押して

消去してみる!

一度「戻る」表示を押しただけでは、一年しか戻らない。

だから、ひたすら押して押して押して、

押し続けて2000回は押してみる。

そうすると、ようやく2000年前の表示に戻る。

画面には、まだ産声をあげたばかりの

草稿案のような東洋医学ガイダンスが記載されている。

漢字だらけでわたしには判読不能だが、

そこかしこにみたことのある文字もある。

なるほど、これが出来たばかりの東洋医学の聖典「素門、霊枢」か。

そこで、試みにさらに「戻る」表示を押してみる。

あと1000回ほど。

すると3000年前の東洋医学が表示されてきた!

なんだ、こりゃあ? 

画面上にはツボも経絡も、まだ何の記載もない、

まっさらでまっしろなノーマークのツボ人形が立っている。

そうか、この紀元前の時代の鍼灸指圧においては、

まだツボや経絡という共通認識はなかったのだ。

しかし、では、そんなツボや経絡のない東洋医学で

うまく患者を治療できたのだろうか?

う〜んと、どこかに、動画表示はないか、

あっ、どうも、このへんのタッチ表示を触ってみれば、

ブイーン、オッ、なんだか映像が出て来たぞ。

ふむふむ、寝ているのが患者だな。

それで髪の毛をラーメンマンかキラーカーンみたいに

一本締めにして地面に垂れそうなほど伸ばした

ジェットリー似のイケメンが治療師だな。

で、このイケメン治療師が、

おもむろにその寝ている患者の体表へと手を伸ばし、

なるほど、按摩マッサージ指圧の要領で

全身を触診しつつ、揉みほぐしていくわけだ。

アレッ、治療師が手元の鍼に手を伸ばした。

鍼治療をする気だな。

うんっ、でもその太い鍼を、ロウソクの火に

かかげて、そうか、辺りが暗いから鍼のサイズでも

確認しているのかな?

なにっ、そうじゃない! 鍼をそのロウソクの火であぶってる!

そうか、バンシン、焼き鍼だな!

古代の鍼治療はこの焼き鍼がメインだったんだ。

焼いた鍼で患者の体表の特定点をチョンチョンと

触れている。そして、今度は灸だな。

これは、だいたい、わたしたちの直接灸とほぼ同じだ。

どうやら、ひととおりの治療が終わったらしい。

イケメン治療師に患者が笑顔で話しかけている。

治療が成功したようだ。

紀元前の鍼灸指圧はツボや経絡の認識などなくとも、

立派に治療が成立することが、これでわかった。

ちょっと興味が湧いてきた。

あと2000回、「戻る」表示を押せば、

5000年前の鍼灸指圧がどんな風かが見られる。

そうして、さらに5000回、

いや、もっともっと押していったら、

地球最初の生命体のバクテリアの鍼灸指圧が見られるかもしれない?!

はぁ? バクテリアが鍼灸指圧をしていたって?

そんな馬鹿なことはないだろう。

お前は頭がおかしくなったのか、って?

それじゃあ、本当にそんなバクテリアの鍼灸指圧があるかどうか、

すべての時代を遡ってそこまで行ってみようじゃないか。

うんっ? どこからか、荘重なるファンファーレが聞こえてきた。

オレのテーマ曲のリヒャルト・シュトラウス作曲の

映画「2001年 宇宙の旅」で使われた

「ツァラトゥストラはかく語りき」ではないか。

原始地球が見える。映像は地球表面の小さな湯気の上がる島の

水溜まりにズームインした。

なにやら画面上にビッシリと楕円形の物体が蠢いている。

さらに顕微映像がクローズアップされる。

まるで、オーバルシルエットのバーバパパ&ママ。

これが地球最初の生命体、始原バクテリアだ!

赤色の「←」表示が、出ている。

うんっ、なんだコレは?

そうか、この「←」が指す部位が鍼灸指圧というわけだな。

な〜る、つまり、そうか!

間中善雄博士が指摘した通りだ。

わたしたち鍼灸指圧がよりどころとするそのアクセスフィールドの

原点は、この地球最初の生命体の始原バクテリアの

細胞膜にある、ということなのだ。

またファンファーレが鳴り出した。

画面の動画映像は一転して現代の治療室の風景に転じた。

あれっ、見覚えがある治療室だなぁ。

なんだ、オレの治療院、光伯堂じゃないか!

あっ、イケメンのラーメンマンではない

坊主頭のヨーダ似のおっさん(笑)が、

患者の身体を指圧している。

そして一番凝っている部位に鍼をし、

冷えた部位には温灸を施した。

うんっ、あれっ、坊主のヨーダおやじ、とイケメンラーメンマンの

映像が交互にクロスしてかぶっている。

コンピューターはこの二人が同一の治療をしていると

表示しているようだ。

そうだ。

ツボや経絡の知識などなくとも治療は可能だ。

わたしの治療は紀元前の鍼灸指圧の治療スタイルを

そのまま踏襲している。

それを教えてくれたのは北里大学東洋医学総合研究所の

医史学研究・上級研究員の天野陽介先生だ。

わたしはいつも『0ツボ地点』から治療をスタートする。

ツボは経絡人形に書かれたように誰にも当たり前に

自明にある、ものではない。

そうではなく、ツボは治療師が患者に触れて、

患者の体壁にツボらしいコリを発見することで、

はじめてツボとして出現するもの。

それがわたしのツボ認識だ。

ツボや経絡の知識などなくてもけっこう。

陰陽五行学説など、なくてもけっこう。

あらゆる医療情報など、なくてもけっこう。

治療師は、まず患者の体壁に触れ、

その『0ツボ地点』に自分の指で立つこと。

これがすべての治療の始まりなのだ。

地球最初の生命体の始原バクテリアがその細胞膜で

外界をタッチしたその触手のセンサー機能は、

わたしの指先の記憶となり、患者の体壁のセンサーとなって

いまなお機能している。

「X信号系」を感ずるのはこの指先であり患者の体壁だ。

『0ツボ地点』に指を触れる時、

わたしの指先は38億年の生命史を反芻する。

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2017.07.05 | | コメント(4) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

コメント

「0から始める東洋医学」


タイトルは決まった(笑)

紀元前にはツボも経絡も五行も陰陽も天人合一もなかった。

あるのは、患者の体と術者の体と、1本の鍼と、ひとつまみのモグサと、

この手の指だけ。

鍼灸指圧の原点、0ポイントにあったのは小難しい理屈でも、

高尚な理論でもなかった。

あるのは、ただ術患ふたつの体と、鍼灸指圧の道具である鍼とモグサと指。

その後、2000年を経て、とてつもない理屈と理論が鍼灸指圧に

おおいかぶさった。このおおいかぶさった理屈や理論は現代人に

通じない言葉のオンパレードだ。

それゆえに、現代人はこれらの東洋医学理論を胡散臭いと思い、

遠ざけるようになった。

そして鍼灸指圧は没落した。

どうしたら、鍼灸指圧にこびりついた胡散臭いというイメージを払拭できるか?

ここ数年は、そのことばかりを考えてきた。

ようやく、ここに来て、その答えとなりそうな光明が見えてきた。

そうなのだ。わたしの治療スタイルの原始鍼灸に還ればいいのだ。

わたしの治療スタイルの原始鍼灸には、ツボや経絡の概念はほとんどない。

ただコリを求めて、そのコリの底の声を聞く。

それがわたしの治療のキモだ。

つまりわたしの治療スタイルは0ツボ地点、0ポイント・フィールドにある。

理屈や理論は、どんな風にも着飾ることができる。

理屈や理論は満艦飾の装飾とネオンで埋め尽くされる。

しかし、現場は素っ裸だ。

現場はつねに0からスタートする。

現場には0しかない。

0ツボ地点から、今、新たな東洋医学史2000年が築かれる。

おれはそのくらいの意気でここんとこ書き込んできた。

おれの言説をぱくろうが、真似しようが、盗もうが、

そうした時には、もっともっと先に、上に、オレは行っている。

みんな、ついて来てるか〜い(笑)

イケイケドンドン、さらに上を目指す!

2017/07/05 (水) 13:46:34 | URL | 今村光臣 #- [ 編集 ]

俯瞰かな

テンション高めのBlog記事が続いた後に静寂の様なBlogが現れる事がありますね。
引きの目線(高い場所から眺める感じかな)からの言葉は、わかり易くより深い叡智と凄味をかんじさせてくれます。
気竜は原野を走り続けますね〜、いとおかし。

2017/07/05 (水) 17:12:07 | URL | 見習い①号 #- [ 編集 ]

マラソンで言うと、
競技場トラックに入っていく先生が、

20㎞地点へ向かう僕とすれ違って行く気分ですが、

ついていってますよ~。。

2017/07/05 (水) 19:05:22 | URL | 瓜食めば #- [ 編集 ]

見習い①号さん、

「気竜は原野を走る」、エエ感じのコピーですね。

なんか風をきりながら原野を走ると、

孤独なんだけど、それが嬉しいみたいな、そんな気竜の姿が浮かびます。

アタシ、この言葉、好きです。

それで、時々、生命史38億年を俯瞰するのがアタシのクセなんですね。

俯瞰とクローズアップ、両方ドッキングして、はじめて本質が掴める気がするんです。

60兆個の細胞膜のつながりを、経絡と呼んでもいいわけです。

そうすれば、経絡はネットワークとしては完璧です。

あんがい、そんなものかも。







瓜さん、いつも応援ありがとう!

今日、関西で、いや日本で一番有名な鍼医が書いた本を、再読してみました。

20年以上前の初版本で3600円、高っ(笑)

たしかに実力はナンバーワン、揺るぎないでしょうね。

治療の腕では、とてもかなわない。

その本は今のわたしと同じその方の25年の経歴を振り返る文章で始まります。

その時、すでに40万人の患者を診ていたんですから。

とても頭が上がりません。

わたしは、そのたった10分の1ですよ。

その方は、一日に平均で60人の患者を扱ってきたと。

恐れ入りました。

しかし、意地が悪いのですが、臓腑経絡説のくだりには、シンポーやサンショーをどう解釈すればいいか、は書かれておりませんでした。

この方の既刊本は相当数にのぼりますから、そのなかのどこかには、架空の臓腑をどのように扱えばいいのか、

その架空の臓腑を一般人に説明する際には、なんと説明したらいいのか、が書かれているのかもしれません。

でも、それを探す労は残念ながら今のわたしにはすでにありません。

この方、鍼灸コミュ特有の専門用語の語彙量は桁外れに素晴らしいです。

しかし、一般人にはその専門用語は絶対に通じません。

宇宙人の言葉にしか聞こえない。

わたしはそんな因習それこそをぶっ壊したい!

瓜さんなら、そんなわたしの気持ちが分かってくれるかもしれません。

311後にこの一派は、なにかアクションを示したのか?

門下200余名の大所帯ですからね。

そのへんが気になりますが、自然破壊は良くない、という文言がありましたから、当然のこと、これだけのネームバリューと影響力のある鍼医とその団体のことですから、

内部被曝に関して一定の防御策は提示しているはずです。

もしも、それをしていなかったら、わたし的には残念ながらアウトです。

イジワルで厳しいことを僭越ながら実力もないわたしが言うのもなんですが、

311は踏み絵だったのですから。

バンダジェフスキー博士は来日時に、内部被曝の後遺症の神経痛の治療のために日本で鍼治療を受けたそうです。

その鍼医は、果たして内部被曝について何らかの見解を持っていたかどうか、は知りません。

鍼灸指圧は一酸化窒素を分泌できます。

一酸化窒素は被曝防御の真打ち分子として期待されています。

これは、わたしがこれまで諸処でずっと主張してきたことです。

2017/07/05 (水) 19:30:25 | URL | 今村光臣 #- [ 編集 ]

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