至高のレベル

「何十年か前、胡輝貞という有名な鍼灸家がいまして、気功師でもあり武術家でもあったのですが、どれもものすごくレベルが高かったらしいのです。私はその娘さんに会いまして、家にも何回か行ってお話を聞いたのですが、その中にこんな話がありました。ある日、脳血栓の後遺症で片麻痺になっている患者さんがきたとき、胡先生はヒャクエに鍼をしただけで治してしまった。ヒャクエ1本で、患者さんは普通に歩いて帰っていったというから驚きです。普通の人がやっても効きませんよ(笑)では、どうしてこのようなことが行えたのでしょうか。その人の意識の状態、リラックスのレベルにもいろいろありますし、その意識にエネルギーが乗っていくかどうかも関係します。普通の人はあるところに意識をおいても、中国では意念といいますが、エネルギーが乗っていかない。これには特殊な訓練が必要です。乗ってきましたら自由に経絡を通してあげられます。あるいはリラックスの状態が素晴らしかったら、患者さんの緊張しているところを緩めれば、それが伝わるんです。必ず伝わります。意識と体で感応すると言っていいかもしれません。私も前に北京で、ある留学生でそんなものは信じないという人に、トクミャクに気を通してあげたことがありました。そしたら意外とうまく伝わったんですね。中には伝わりにくい人もいますが、その人はそれが契機になって、大分心の持ち方も考え方も変わったみたいです。「言葉以外にもコミュニケーションの手段ってあるのですね」と不思議がっていました。それまでは中国にいながら、中国人と食事もできない、外出もできないと、中国に対して拒否反応を起こしていたのが、それ以後無くなってしまった。ご自分のお子さんのことでも、こうしよう、ああしようというのがすっとぬけていって、子どもは子どもでいいや、と思うようになったと言っていました。気功治療は体の治療だけでなく、意識の変革もできるように思えます。賀先生を見ても、みなさんお分かりでしょう。ああいう雰囲気の中でやっていると、治りそうな気がするでしょう。にこにこされていて、患者とも仲がいいし、子どもの患者が来るとみんな「賀じいちゃん、賀じいちゃん」と言ってなつくんですよ。よく中国のお寺には大きなおなかの布袋さまがいて、子どもがいっぱいそのまわりにまとわりついていますが、ちょうどそんな感じです。お顔も。もう一人私のつかせてもらった鍼の名人に、その道60何年という許作霜先生がいます。87歳で、今でも現役で毎日治療されていて、元気そのもの。白髪がない。治療も素晴らしい。外人では私がはじめてつかせてもらったんですが、難病、奇病、いろんなところで治らなかった人が治っていきます。左右両方の手で同時に鍼を刺します。耳に皮内鍼も入れますが片方だけで、1回ごとに左右かえてやっていきます。技術は見てて、そんなに難しいものではなく、真似しようと思えばできますが、その奥が大事なのです。それが全てなんですね。中国で見ていますと、この奥にあるところのものは芸術でも一致しているんです。中国の山水画とか、古典音楽の楽器の世界でも、大事なところは一緒なのです。ひとりで中国の古典楽器を十幾つも演奏される名人に会いましたが、弦楽器も、笛も、全て超一流。吹くときには丹田から気を導き、弦をひくときも丹田から気を指に伝えて弾くと言っていました。そうなりますと、弦を毎日何万回押さえようと、指先が固くならないとか。普通、誰でもギターとか弾いていると、指先の皮が固くなっていきます。それがそうならない。最高のリラックスです。そこが違うところです。あとからもう1本ビデオをお見せしますが、70〜80歳の老師達に共通するところは、手が柔らかい。ふにゃふにゃで赤ちゃんみたいです。ピンク色なんです。足もそうです。これは1ヶ月や2ヶ月やってもそうならない。やはり日頃のその人の人生がそこにあらわれてきています。自分に悪影響を及ぼす外の世界を、自分の心で変えようと思っても即座には変えられませんが、そのときの自分の反応を、たとえばイライラしたり、怒ったりは、それは変えることができます。内なる世界が変わればいいのですから。これらの先生方はその達人なんです」中健次郎『中国伝統医学の心の故郷を訪ねて』自然生活 第三集 野草社






この講演録にあるように東京の鍼研鑽会で特別講演をされている中健次郎さんと

いう鍼灸家&気功師とわたしはまったく面識はありません。

ただ、たまたま、入手した書物に、中さんの講演録が掲載されていた。

それで何気なく読み進めたら、とんでもない事が書かれており、

わたしにとってはとても大きな影響を与え続けて、

いまもって汲めども尽きぬ叡智の源泉、治療の羅針盤に

なり得ている宝のような文献だ。

鍼灸師向けの講演であるから、プロ仕様の内容だが、

それぞれの道で至高のレベルを目指す皆様なら、

感ずるところ大であるはずだ。

それぞれのまなざしでお読み頂ければ幸いだ。

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2017.06.26 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

コメント

僕は合気道の稽古を続けて、
ちょうど10年になります。
僕のいちばんの「師匠」は、
この合気道の先生です。

先日の稽古では、
相手の「反射を導く」というのが
ひとつテーマでした。

相手の反射を導き出すためには、
まず自身の無意識の領域を意識化して、
自身の脊髄反射的な感情の暴走を
許さない必要があって、

不思議なもので、
「やってやる」と思ったら途端にダメだし、
ムッとして「ナニクソ」と思ったり、
感覚として「痛い」などと思っても、

ほんの一瞬の
脊髄反射的思考をすることで、
技の実現の妨げになります。

「痛い」とか「熱い」とかの
感覚的思考ですら、
自身の枠外に置いて対象化し、
こころの内側には容れない。

どの世界でも、
いわゆる心頭滅却とか、
無我の境地というのは、

日常における
コツコツとした
自反慎独の
積み重ねで
実現するしかないのでしょうね。

地道な作業を今日も惜しまずに、
僕も達人を目指します!




2017/06/26 (月) 18:06:39 | URL | 瓜食めば #- [ 編集 ]

瓜さん、わたしが目指す究極はETの指ワザ(笑)

ドリューバリモアちゃんのオデコにチョンと

指を当てただけで、頭痛を吹っ飛ばしたあのフォース。

あれこそが私が目指す究極の境地、なんてね。

ほんと、そこまで行きたいもんです。

地道あるのみ。

2017/06/26 (月) 18:46:08 | URL | 今村光臣 #- [ 編集 ]

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