日々の養生

① 昨日の非は恨悔すべからず

② 明日の是は慮念すべからず 

③ 飲と食は度を過すべからず

④ 正物に非ざれば苟も食すべからず
 
⑤ 事なき時は薬を服すべからず
 
⑥ 壮実を頼んで房を過すべからず
 
⑦ 動作を勤めて安を好むべからず



この①から⑦に及ぶ七箇条は、

健康でいるためにやってはいけないタブーの覚え書きだ。

この言葉、実は江戸中期の蘭方医・杉田玄白の

「養生七不可」に書かれた言葉だ。

杉田玄白と言えば言わずとしれたターヘル・アナトミア

つまり西欧の解剖書を3年がかりで独学で仲間たちと訳して

「解体新書」という訳本を完成させた万人が知る偉人だ。

その杉田玄白は虚弱体質で持病の胃ケイレンに悩まされて、

決して丈夫なタチではなかったが、うえに挙げた

自分なりの養生メソッドを駆使することで、

その生涯で二人の妻を娶り、それぞれ一男二女、一男三女の

計7人の子をもうけ、なんと85歳の長寿を成し遂げた。

冒頭に挙げた長寿のための7つのタブー覚え書きは、

69歳の折りに玄白が自身のそれまでを振り返り書いたものだ。

少しわかりやすく書き直すと、



① 昨日の事をクヨクヨしない。

② 明日の事を心配しない。

③ 食べすぎ、飲みすぎに気をつける。

④ まともな食べ物だけを選んで食べる。

⑤ 病気や症状のない時に薬は飲まない。

⑥ 健康であっても夫婦の営みは適度に保つ。

⑦ よく動き、ぐうたらしない。



と、こんな感じになるだろうか。

どれもこれも極めて真っ当な現代にも十分に通じる

普遍性を持った養生哲学と言える。

あと少し蛇足でわたしが付け加えるならば、



⑧ つめたい飲みもの、つめたい食べ物に気をつける。

⑨ なんでもまんべんなく食べる。

⑩ 身体をやわらかく保つ。

⑪ 風呂にゆっくり浸かる。

⑫ 太陽光線を時々浴びる。

⑬ 疲れたら横になってしっかり休む。

⑭ いい音楽を聞く。

⑮ 鍼灸指圧をルーティンにする。



と、今思いつくところではこんなところだろう。

健康でいるための絶対的な方法など実際は存在しない。

どんな養生法であれ、どんなメソッドであれ、

それはあるひとや、ある場合にはそれなりに有効かもしれないが、

決して万人に適合してすべての症状を予防できるわけではない。

ではあるが、実際にそうした養生法メソッドを実践し、

現実に健康を保ち長寿を達成したもののアドバイスは、

やはりそれなりに傾聴に値する。

先人を見習いわたしも日々の養生に勤める所存だ。

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2017.05.29 | | コメント(10) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

コメント

杉田玄白の養生法も、
素晴らしいですね!
いつもホンモノ文献、
ホンモノ体験の紹介、
ありがとうございます!

道理の通ったホンモノの真理はいつも、
ごくごく普通の当たり前。
その足許の当たり前を、
いかに大切に考え、守れるか。
それが、人生の質を左右しますね。

当たり前で普通の
ホンモノの道理を、僕も日々実践し、
ひとつひとつ習慣付けて、
続けていこうと思います。

2017/05/29 (月) 12:49:36 | URL | 瓜食めば #- [ 編集 ]


瓜食めばさん、
お久しぶりでやんす!

ホントそうですね。
真理へのアプローチは足元、
今此処からが本道、
王道であります。

玄白さん、
いい言記しますな。
いかし後世に名を残したんは、
玄白かも知れんが、
真に功を成したんは、
それこそ、
全沢がゼンタクしたほどの前野良沢かも。

いやいやヘソ曲がりの独り言。爆笑

人後に落ちることなく、
西洋の学を忌避せず怠らず、
その上で東洋の学を廃れさせまじ!
の気迫は、
岡倉天心、数多、
養生先生へと引き継がれた系譜であります。笑




2017/05/29 (月) 21:01:21 | URL | 陣中見舞い #- [ 編集 ]

瓜さん、陣さん

解体新書と言えば杉田玄白というのが

学校教科書の常識。

ではあるが、解体新書が完成した時に

玄白が42歳、前野良沢が52歳、

中川淳庵が36歳、石川玄常が31歳、

桂川甫周が24歳。

年の功で言えば、陣さんの仰るとおり前野良沢の功績は大きかったはずです。

この杉田さん、晩年は加齢に伴う諸症状に苦しんだそうで、

歯はすべて抜け落ち、シャックリと小便詰まりに苦しみ、両眼が常にかすみ、

耳もよく聞こえず、脱肛や頻尿にも悩み、手や足、腰の老化、筋骨の痛みもあり、歩くこともままならなかったそうです。

まさに江戸期の狂歌の

「手はふるう 足はよろける 歯は抜ける 耳は聞こえず 目はうとくなる」

の老人の悲哀そのままの老境。

記憶力の減退も著しく

「近ごろは、同じ話しをいくどもして人に笑われ、親しき友人の名や召使いの者の名も呼びちがえるようになった」

とぼやきました。しかし玄白はそんな老体を嘆きながらも、なお前向きに生きようとした。

足が不自由でも、家に引きこもらず、花見に出かけ、友人たちと四季の花、秋の紅葉を楽しんだ。

文化14年、1817年に85歳の生涯を閉じた玄白は、

死の直前に「医事は自然に如かず」という言葉を書き残した。

「医師は自然の下僕である」という言葉を薬箱に螺鈿で刻んでいた幕末の漢方医・新宮凉庭とも通底する

まことに謙虚に天地自然を尊ぶその優れた玄白の命観には、

心を打たれずにはおれません。

治療師が治すのではない。

患者の生命力という天地自然が治すのだ。

治療家はその天地自然の手助けをするだけだ。

2017/05/30 (火) 05:47:25 | URL | 今村光臣 #- [ 編集 ]

今村先生 お疲れ様です!
杉田玄白の養生法に加え 先生がご指摘された
⑧~⑮の養生法は 私たちが生きる上で
本当に大切なことだと思います。

今のこの時間を 自分自身のケアに心がけ 
心と体に心地よい時間と空間を持つことが出来れば
楽しい人生になれると思います。

定期的に 静岡の先生のもとに行きたいです~
 

2017/05/30 (火) 11:35:35 | URL | 青山 浩一 #- [ 編集 ]

陣さま 

≫ 西洋の学を忌避せず怠らず、
≫ その上で東洋の学を廃れさせまじ!
≫ の気迫は、
≫ 岡倉天心、数多、
≫ 養生先生へと引き継がれた系譜であります

イイですねぇ。。
僕もハリィー先生の後方から、
その系譜の末席にカジリついて、
ミームを受け継いでいきます。

老子からタゴール、
宮本武蔵から杉田玄白まで、
東洋の学の本質は、
天地自然に対する感謝と畏怖の念。

「自然とはいったい、どういうことか」

その問いとの対峙が、
人間が為すべき本来の問答であって、
治療にも、農業にも、子育てにも、
生かされるリアル学問ですよね。

2017/05/30 (火) 12:24:29 | URL | 瓜食めば #- [ 編集 ]

内科医の青山先生、お忙しい折りにコメントを頂きましてありがとうございます。

とかく健康法や養生術というと、即物的なコレを食べると良い、

あのメソッドがイイ、という極めて短絡的な誘導が目だちます。

しかし、そうした単発的なメソッドはほとんどが三日坊主で終わるのが常。

そうではなくて、杉田玄白はまずマインド、日々の心がけからアドバイスをスタートしているところが、非凡でとても秀逸と、唸ります。

昨日の事をいつまでもクヨクヨし、まだ始まってもいないアレコレに悩む。

そんな凡人の気性は決して身心のためにはならない、という玄白。

まことに達観と言えます。

しかし、この玄白の旦那も最晩年はエイジングの猛襲に徹底的に苦しんだようです。

養生訓の作者、貝原益軒も同じ85歳の生涯。

しかし、益軒翁は玄白よりもピンピンコロリに近かったのではないでしょうか。

ピンピン、つまり健康があって、はじめてコロリと逝ける。

介護保健を手厚くするよりも、ピンピンコロリの国民運動を盛り上げたほうがこの国のためになります。

そういった意味でもまっとうな養生法の啓蒙は今後も必須科目です。

青山先生、また機会がございましたら当院へお越しください。

青山先生の温厚なお人柄に触れるだけでも、こちらに裨益するところ大であります。







瓜さん、わたしなど、ほんとうに他愛もない人間です。

もっともっと素晴らしい人物はこの業界にもごまんといることでしょう。

たぶん、いつの日か、瓜さんもブロガーになるでしょう。

情報発信はやはり大切な作業です。

ともに東洋医学のルネッサンス(生まれ変わり)を目指して精進していきましょう。

2017/05/31 (水) 13:20:20 | URL | 今村光臣 #- [ 編集 ]

≫ 瓜さん、わたしなど、
≫ ほんとうに他愛もない人間です。

≫ もっともっと素晴らしい人物は
≫ この業界にもごまんといることでしょう。


そうですかー?
この6年、
探しまくりましたけど、
ハリィー先生以外には、
放射能の現実から目を背ける
腰抜け治療家しか
見つけられなかったんですけど?(笑)

治療家として、
謙虚でありたい一方、
勇気は絶対に持っていたいです。


≫ たぶん、いつの日か、
≫ 瓜さんもブロガーになるでしょう。

≫ 情報発信はやはり大切な作業です。

≫ ともに東洋医学の
≫ ルネッサンス(生まれ変わり)を
≫ 目指して精進していきましょう。

いつの日か、
発信できるだけの経験を貯蓄するまで
地道に喰らいついていきますので、
引き続きお導きのほど、
よろしくお願いいたします。。

2017/05/31 (水) 20:13:51 | URL | 瓜食めば #- [ 編集 ]

瓜さん

本来は内部被曝問題を喫緊の課題として

徹底的にソレに取り組むのが311後の医療者のあるべき姿だ、

という気持ちは今も変わりません。

しかし、この6年、その事をいくらいっても、

世の99%のみなさんにとっては、

スルーあるのみ、であることもわかってきました。

だからかどうかわかりませんが、私の発信する情報も

最近は内部被曝問題は少なくなっている気がします。

内部被曝防御に有効な分子が一酸化窒素。

一酸化窒素は鍼灸指圧により分泌量が増す分子です。

であるのなら一酸化窒素を前面に押し出して鍼灸指圧のプレゼンを

やれば、いつか内部被曝防御とリンクするはず。

そういう狙いでいつからか一酸化窒素を主体に論説を展開するようになってます。

エヴァンジェリスト(伝道者)には似つかわしくない他愛もない私ですが、

我が業界のカリスマたちがこのままスルーを決め込むならば、

これからも私なりの押し出しをやるまでです。

瓜さん、援護射撃、よろしくお願い申し上げます。

2017/06/01 (木) 06:04:09 | URL | 今村光臣 #- [ 編集 ]

コメント欄も

コメント欄における皆様のやりとりも、本文同様素晴らしいですね。
コメントだけで数日分の記事になりそうです。

2017/06/01 (木) 07:06:01 | URL | 見習い①号 #- [ 編集 ]

見習い①号さん

おっしゃるとおりで、ここに集う皆様には、いつもたいへんに刺激を頂いております。

コメント欄から、また新しい言葉が生まれる。

そんなことがよくあります。

ピンコロ養生法。

こんな言葉が今回はヒットです(笑)

2017/06/02 (金) 05:26:26 | URL | 今村光臣 #- [ 編集 ]

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