命の場

昨日は初診で脳梗塞の患者が来院した。

脳梗塞の後遺症は半身麻痺が残るケースが多い。

左脳で梗塞が起こると言語野が侵されて、

言語に不自由が生じ、右半身に麻痺が残る。

反対に右脳で梗塞が起こると

言語野は侵されないが、左半身に麻痺が残る。

左右どちらの脳球で梗塞が起こっても

程度の差こそあれ、だいたいが上記の後遺症が残る。

軽度ならば日常生活にさほど支障はないが、

重度になると思うように身体を動かすことがまなならず、

麻痺側に拘縮(こうしゅく)という特有の変形、

固着化が出てくると、この固さを取り除くのは、

至難を極める。

前記事で取り上げた昭和の名灸師の故・深谷伊三郎氏の

「お灸で病気を治した話」のなかにも、

脳梗塞の後遺症を扱った例が出ている。

そこには脳梗塞を発症後2週間以内に、なるべく早く

「指端の灸」という手足の指先に灸を据える方法が

書かれている。指先の末端への灸はとても熱い。

その灸の熱さに唸ると同時に麻痺の出ている手足が

自然に動く。この灸熱により誘導された指の動きが

キッカケとなり、治癒機転が発動し、脳梗塞の後遺症

の麻痺が残らずに、治るケースがあったという記録だ。

ただ、脳梗塞を発症後2週間以上経ったケースは、

いかな「指端の灸」で指がその場で一時的に動いても、

完治には至らない、と注意書きも付記されている。

さて、昨日に私が初診で扱った冒頭のSさんの話に戻る。

私の治療は、まず全身を触ってみることが初診となる。

だから、定石通り、全身指圧をするなかで、

主訴である左手の麻痺と痛み、左腕の挙上の不具合を

診ていった。

なぜ主訴である症状のある部位だけを診ずに、

全身を診るのか?

それはひとの体壁筋肉系は600個もの筋肉が

すべてつながりあって連動し、その連動を

体表の皮膚が一枚皮につなげることで、

成り立っているからなのだ。

だからどこかの部位が何らかの症状を発症している原因が、

そこだけでなく、どこか別の部位から生じていることは

良くあること、というかそうした視点で全身を診ない限り、

症状の全体像を把握することは不可能だと、

私は25年の臨床体験で感じている。

だからどんな症状であれ、まずは全身を探る。

一押し、一押しに、心を込めて。

一押し、一押しに、全神経を集中して。

治療を開始したならば、思考や意識は邪魔となる。

分析的な脳活思考は私の治療には不要だ。

私の指先は目となり、耳となり、脳となり、

私という存在は指先の圧力と同化する。

この私の指先の圧力は患者には押された部位の圧力として

意識される。この接地点のツボに

指圧と被指圧の「場」が生じるのだ。

指圧とは、指圧師の指と患者の体壁筋肉系のあいだで

指圧の場、「指圧場」を生みだしていく作業なのだ。

この術者の指と患者の体壁筋肉系のあいだで生じる場が、

治療というものをかたちづくっていくのだ。

全身指圧はだから全身に「指圧場」が生まれてくる。

治療とは、つまり術者と患者でこの「指圧場」という

新しい身体感覚を共同で生みだすプロセスなのだ。

押されるごとに指圧師と患者がともに

「指圧場」という新しいボディを感じあう。

この関係性がうまく築かれると、

思わぬ治効が発揮される。

温かい空気に包まれているような、

自然に笑いがこみ上げるような、

そんな場が治療していて生じた時、

治療の結果がまたいいのだ。

Sさんの主訴は、治療後にどうなったか?

治療前に見せてくれた左手のもどかしいギクシャクとした指の動きは

治療後はまるで別人のように、ウソのようにスカスカと楽に

グーパーが出来るまでに快復した!

挙がらなかった左腕もスッと何の苦もなく肩の上まで挙がった!

わずか1回の治療で出来ることなど

たかが知れている、と普通は思うだろう。

もちろん1回で出来ることなど知れている。

しかし、そのわずか1回の治療にも、

私は全身全霊で術を施すのだ。

治療師の魂は指先にある。

25年も治療師をやっていると、

治療の限界がクリアに見えてくる。

年数が経てば経つほど、年季が増すほどに、

腕が上がる?

いや、そうではなく、自分の腕のレベルが

よりクリアに見えてくるだけのはなしだ。

それはつまり、治療の限界を知るということと同義だ。

その治療の限界とは、どんなに治療の腕が上がっても、

薬石効無しのケースが厳然としてある、

ということを認識することなのだ。

治療の限界が見えてくることは、ある意味、

非常に辛い。では、そんな辛いときに、

そこを脱するために、より高みを目指して

神の手を求めるべきか?

いや、そんな便利な魔法を求めることは、

欲得の奈落への誘いだ。

それはドロドロとした我欲の魔境、

ダークサイドに落ちる事を意味する。

そんな漫画じみた神の手を求めることなく、

純粋な気の宿る凡人の手、ただの手でも、

きっと出来ることはある。

ただの手の指先に私のすべてを注入する。

そんな時、どういうわけか、私の周りが

明るく光っているように感じる。

その束の間、私の脳裡からシビアな治療の限界が消える。

そして、治療の結果が良ければ、

さらに私の心は癒される。

治療の限界を知ることはとても苦しいことだ。

自分の非力を知ると絶望したくなる。

でも、そこを経なければ到達できない場があるのだろう。

Sさんの治療後の

「オッ、ほら、こんなに動く。

動かしても痛くない! 夢みたいだ」の

ひとことに、私はどれだけ救われたか。

こんなひとことを頂けたのも、

25年目のご褒美かもしれない。

天狗にならず、初心を忘れず。

一押し、一押し、

新たな命の場を

生みだしていくのだ。






※ 「鍼灸指圧 光伯堂」からのお知らせ

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  光伯堂  TEL  0548ー22ー8740





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2017.04.23 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

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