身体論の解体と再構築 完

「本当のところはわからない」今村光臣(C)




「でも、トウトは、細胞とか、そういう事を

いっぱい知っているからいいけど、

私はそんな事を聞いても、

まだ何にもわからないし、

普通に街にいるひとだって、

そういうことに、そんなに詳しくないから、

そんな事をそのまま言っても、

きっと、わかんないよ。

だから、もっとわかるような言葉で言わないと

ダメじゃないの?」

「う〜ん、たしかに、そうだね。

わかりやすく伝えるってのは、

今の自分の一番の課題で、

図星だよ(笑)

でね、わかりやすく伝えるには、

本当にそのことがよくわかっていないと

できないんだよ。

でも、わかったような口ぶりで言ったあとに、

トウトはいつも、最後に必ず、

でも、本当のところはわからない、

と決めぜりふを、言うんだよ。

わかっている事、わかってきた事は

たしかに増えたけど、

からだのことは、やっぱりまだまだ完全には

わかっていないからね」

「ふ〜ん、なんだかソレって

面白いかも」



昨日、娘とお風呂に入っていて、こんな会話をした。

身体論の解体と再構築と銘打ったシリーズも、

なんと今回の記事で32本目となった。

ちょっと、長く続いたので、

ひとまず、本記事でこのシリーズを休止しようと思う。

いや続けようと思えば、ずっと続けられるのだが、

やはり、なんというか、新しいキーワードも

いっぱい湧いてきて、

本来の目的が見えてきた。

鍼灸指圧の良さをもっともっとアピールして、

鍼灸指圧をスポーツとして楽しむ、そんな

ひとを増やしたい。

よって、次ぎの記事からはまた新たなシリーズを

始めようと思う。

私はいわゆるここ2000年続いた東洋医学などという

大それたものは、すでに役割を終えたと、

そんな認識に今至っている。

東洋医学はもう終わったのだ。

こんな言いぐさを言おうものなら、

恐らくは当業界人から

猛反発を喰らい、猛攻撃に遭うだろう。

でも、とっくに東洋医学は終わっているのだ。

私が言う、その終わってる東洋医学とは、

昔ながらの言葉で昔ながらのやり方でやる東洋医学のことだ。

気や経絡にはじまる東洋医学独特の専門用語を駆使し、

虚実を調整し陰陽を調和する、と豪語する

そんな昔ながらの東洋医学は、もう時代遅れであり、

世間の誰一人としてついてこないと

わたしは言っているのだ。

東洋医学の理想郷は天人合一(てんじんごういつ)だそうだ。

天とは天空の星々という意味だけではなく、

それも含めたヒトを取り巻くすべての環境を意味する。

そのヒトを取り巻くすべての環境のなかには、

ヒトの体内の内部環境までも意味すると私は認識している。

つまりヒトという存在は、銀河系の動向とそこにある星々の運行、

太陽黒点の活動、月の引力、地球の重力、地磁気、

地球の気候変動、大気の状態、海の様子、

土壌の組成、河川の具合、そこで採れる食べ物の質、

食べる量、食べる時間、運動のやり方、仕事、

ライフスタイル、そうしたすべてに影響され、

また自律する分子レベルの生理システム・・・と、

こうしたヒトを取り巻くすべての環境とつながった存在だ、

というのが東洋医学の人間観であり、

だから、つまりはヒトを健康に導きたいのなら、

このすべてを健康にするのが本筋だ、

と古代の中医たちは悟っていたはずだ。

では、ひるがえって現代の鍼灸指圧師たちは、

天人合一という念仏を唱えながら、

果たして本当の意味で天人合一のための何らかのアクションを

いま実践しているといえるのか?

311から今日で6年だ。

この間にいったい何人の鍼灸指圧師が本気で

脱原発を叫び、本気で内部被曝を防御するメソッドを提示したのか?

いまこうしてこの文言を書いていると、

なぜか胸からこみ上げるものがあがり、

涙がちょちょぎれる。

わたしも各媒体にこれまで精力的に311がらみの論考を

発表してきたが、なんとも言えない忸怩たる無念が

心の底に滞留しているのを今実感している。

名も無きひとりがいくら声高に叫んでも、

原子力ムラの闇にその声はスーッと溶けて消えるだけだ。

先日も、この私の住む町のある大きなホールで、

原子力ムラの精鋭の学者や経済アナリストや

もとマラソン選手などが集い、

原発推進の啓蒙講演が行われたばかりだ。

昨日の中日新聞の一面には、

福島・浪江町の牛飼いの吉沢正巳さんの記事が載っていた。

被曝地帯にいまだに住みつづけウシの世話をしている

自称カウ・レジスタンスだ。

彼は自分の身体を被曝にさらして犠牲にしてまで、

棄てられたウシの世話をして、

いまこの国が進めている棄畜政策は

棄民政策と同じだ、と原発反対を訴え続けている。

「俺たちが生々しい体験を訴え、仲間をつくるしかない。

理解者がもっと増えるとうれしい」との

吉沢さんの言葉だ。

天は311でことごとく汚染された。

そのことに気づかずに、いや気づいても何も言わなかった、

言えなかった鍼灸指圧師たちよ、医療人たちよ。

まだ、見ざる、言わざる、聞かざる、の三猿でいる気なのか?

ひとりの声など知れている。

無名のひとりの声など、誰の耳にも届かない。

でも、ひとりが十人になり、

十人が百人になり、百人が千人になり、

千人が万人になる頃には、

もしかしたら蝶の羽ばたきが竜巻に変わるかもしれない。

このバタフライ・エフェクトに期待した6年だったが、

無駄なあがきだったようだ。

それでも天は回っている。

塵芥に等しいヒトの所業など天にとっては微々たるものだ。

放射能がやがて世界を覆い尽くせば、

生き残るのはデイノコッカス・ラディオデュランスのような

耐放射能性能を備えたバクテリアだけだ。

そんなバクテリアだけの世界になった地球から、

また何らかの生命史が刻まれることだろう。

その新たな生命史の行く末にヒトのような存在が

誕生するかどうかはわからない。

しかし、もしも誕生したなら、

今度こそは、地球と、天と、健康に合一できる素晴らしい世界を作ることを

そのヒトのような生き物に期待する。

ヒトの身体のことも、

地球の未来のことも、

本当のところは、いつもわからない。

しかし、わからないからこそ、

わたしたちは慎重になり、

わかる範囲を拡大すべく科学的な検証に精を出すのだ。

鍼灸指圧は科学的に十分に説明できる段階に達した。

科学的な説明と「鍼灸指圧はスポーツだ」を合い言葉に、

より一層の鍼灸指圧のアピールに努める所存だ。

俺がやらなくて誰がやる。

鍼灸指圧はこの世で味わう最高の贅沢だ!

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2017.03.11 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

コメント

こみあげてきて...

トウトのハリ〜先生♡私も涙ちょちょぎれました。

ネットを介して知り合ったフィンランドに住むある日本人女性が、現地知人が自ら建てた家のその壁材に施した彫刻の美しさを写真と共に紹介していました。それを拝見し色んなことを考えてしまった私です。思いがぐる〜っと巡って戻るのは、食べ物の事。そのような私のコメントに彼女は、子供が育つ自然環境、つまり北欧の季節や日照時間などの気象条件も大いに関係があるだろうとお返事。私は、自ずから然る私達も自然環境の一部であるのよねと続いた会話を締めくくりました。その直後ここでハリ〜先生のこの記事を読んだわけで..... 

今日で6年、ちょちょぎれました。

2017/03/11 (土) 10:01:29 | URL | 山田五十鈴 #- [ 編集 ]

これはこれは

桑さんの美麗な奥様である五十鈴さま、ひさびさのコメントを頂きまして、

ありがとうございます。

山田五十鈴とか、桑畑四十朗といえば黒澤映画ファンなら、なじみの名前ですが、

かの「七人の侍」で農民の若者、リキチを演じた土屋嘉男さんのエッセイ「お〜い、黒澤さん」のなかに、

黒澤明監督が、原発や原爆を非常にシビアに批判していたことがわかるくだりがあります。

黒澤曰く、自然をみんな舐めてるよね、原爆も原発もとんでもないことなのに、みんな無関心だよね、と。

311後に「夢」の第8話の赤富士が、311を見事に予言していたと話題になりました。

この映画のメッセージの核心は、自然に沿って生きよ、という戦争と原爆と原発の20世紀に猛省をメッセージだったと私はみてとりました。

黒澤が今、生きていたら、この今の日本の現状を何と思うでしょうか?

脱原発など当たり前なのに、それが当たり前にならない国。

ひどいもんです。

いや、人類なんてそんなものなのかもしれない。

でも、トウトはなにか希望を見つけていくつもりです。

桑さんや五十鈴さまや、ばっちゃんご夫婦や、たがやすべえさんご夫婦など、みな自然農の先生です。

わたしも今年は枝豆畑を絶賛拡大中でして(笑)子ども達の土遊びの場が広がりつつあります。

あいつら梅の木の枝を植えたり、泥のお団子を作ったり、ただの砂場にしちゃうんだよね。

でも、汚染土が野積みされていく光景よりは、よほど健康的ですね。

角砂糖5個のプルトニウムで全人類は殺傷できるそうです。

また大型ビーカー1個分のニトロゲナーゼが空中窒素固定をすることで生き物の窒素循環が成されます。

土壌菌の窒素固定細菌が生み出すニトロゲナーゼに私たちの命は托されている。

この大型ビーカー1個分のニトロゲナーゼの液体のなかにプルトニウムを少しづつ混ぜることを311後、いや311前からわたしたち人類はやってしまっている。

ほんと俺みたいな馬鹿でも、そんな事をしてはイケナイことくらいわかる。

もっと偉いひとたちは、当然のこと、そんな事はわかってるはず。

なのに、なんで止めよう、と叫ばないのだ?

まっ、いろいろと事情があるのでしょうね。

無名もまた良し。

2017/03/11 (土) 13:23:14 | URL | 今村光臣 #- [ 編集 ]

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