身体論の解体と再構築 30

「健康法に正論などない」今村光臣(C)



長らく続いた本シリーズも今回の記事で30回を数えた。

なにか結論めいた事を書こうと思ったが、

結論など無いのだ。

生理学は日進月歩で新たな発見が次ぎ次ぎに生まれる分野だ。

かつては病原分子とさげすまれていた乳酸や一酸化窒素が

近年になり有益な生理活性物質であることがわかったように、

これまでの常識がコペルニクス的に180度ひっくり返ること

が日常的に起こっている。

だからこれまでの常識を鵜呑みにして馬鹿のひとつ覚えをしていると、

えらい目に遭う。

どんな通説も定説も仮説も斜め目線で遠巻きに俯瞰し、

決して信じてはイケナイのが生理学、いや健康学なのだ。

信じる者は馬鹿をみる、のだ。

生理学が日進月歩ならヒトの身体は「秒進瞬歩」だ。

毎秒1000万個の細胞が生まれ変わり、

毎瞬間400兆個のヘモグロビンが産生されている。

秒単位で瞬間瞬間にヒトの身体は変わりつづけている。

だからどんな正論めいた健康法を実践していても、

どんどんと身体は変化しているのだ。

ある健康法がたまたまその時期の体調を好転させたとしても、

ずっとその健康法を馬鹿のひとつ覚えでマンネリにやっていると、

やがて取り返しのつかない変調を来すこともままある。

どんな正論めいた健康法で体調が良くなっても、

それを盲信せずに、常に体調を自分で観察しモニタリングし、

もしも少しでも体調がおかしいと感じたら、

いちど立ち止まって、それまでのメソッドを一新する。

そんなアドバイスこそが今求められている。

あらゆる健康法が生み出されては、

やがて廃れていくのは、そういうわけだからだ。

ヒトの身体にはホメオスタシスという

変わらないために変わりつづける仕組みが

もともと備わっている。

それはホルモンという分子言語を介したコントロールシステムだ。

ホルモンを上手に操ることができれば、

ヒトは本来的に健康なのだ。

ホルモンを上手に操る?

いや、もともとヒトはホルモンを上手に操っているのだ。

であるのなら、本来は健康法など要らないはずだ。

すべてはもともと、もとから備わっている。

その備わっているものを尊重し、

その備わっているものに沿って生きれば、

たぶん健康でいられるはずだ。

健康になるためにどうしたらいいのか?

あえて結論は言うまい。

いや結論などない。

答えはひとそれぞれのうちに眠っている。

スポンサーサイト

2017.03.09 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

コメント

そうなんですよね!

>すべてはもともと、もとから備わっている。

その備わっているものを尊重し、

その備わっているものに沿って生きれば、

たぶん健康でいられるはずだ。


そうなんですよね!
今の社会が、ゆがんでしまっているから、私たちの生き方が、自然に反しているから、病気になってしまう、ただ、それだけなんですよね。。。

私が初めて映画「美しき緑の星」を見たのは、2015年の4月の終わりでした。
今までいろいろ調べて感じていた点と点がつながるようでつながらなくて、もやもやしていたのですが、あの映画を見て、すべてつながってクリアーになったんです。

先の記事のコメントで一番下の息子の場面緘黙について書きましたが、彼の反応は、実は生物としては、当然の反応で、本当は正しいんだと私は思っているんです。
ある意味、現代社会において、登校拒否したり、引きこもっている人たちのほうが、自然の人間らしさを失っていない人なのかもしれないと思っているんですけれど、あんまり、公で言うと変な人と思われてしまうんですよね。。。

みんな、自分自身をだましだまし、社会に適応して生きていますが、それが、長期的にストレスとなって、病気になっているのではないかと・・・。

筋肉反射テストが成立することから仮説を立てると(仮説じゃないかもしれないけれど)
細胞は何でも全て知っているんですよね!

体の細胞の声に耳を傾けていたら、病気知らずで生きられるはず。
でも、それを思考が邪魔して体の声に従わせない、だから病気になる。。。

微生物が生き延びることに貪欲なのと同じってこと。
だって、私たちの体自体が細胞(元微生物)の集合体なのですから、当然です。

今村さん、渾身の記事をありがとうございます。
さすが!です。

6488

2017/03/10 (金) 04:54:21 | URL | ひろみ #3USpdlJ2 [ 編集 ]

ひろみさん、最新記事の本シリーズ31に、この前のコメントで触れた皮膚とβエンドルフィンをはじめとしたホルモンについて、少し細かく書いておきましたので、ご参照ください。

ひろみさんの仰るように、もしも、この人間社会のすべてのシステムをヒトの生理機構に沿うように組み直したら、

たしかに病気の大半はなくなるでしょうね。

例えば学校に行く時間をもう少し遅くして、お昼ご飯の時間を増やして、机やイスをもっと人間工学に基づいた設計にして、

トイレを快適な空間にし、授業の始まる前に朝日を浴びたり、マッサージをしあうルーティンをプログラム化して、

授業内容も知識の詰め込みだけでなく、創作や妄想を重視する科目を増やす。

知識も大事だけど教養も大事、芸術やホントウの意味での体育も大事。

カリキュラムそれ自体がストレスになるような、そんな教育システムを一掃して、ヒトの生理機構に沿う優しい仕組みを作れば、

もっと人間らしい子供になるでしょうね。不登校やイジメの率ももしかしたら経減るかもしれない。

子供っちが学校に行く姿を見てみればわかります。あのランドセルの重さ、なんとかならんか!

決して楽しいところへ喜び勇んで行く姿には見えない。まるで奴隷の行進。

それで、挨拶をしろ、と大人は言うけど、まあ大人が勝手にこんな牢獄のような社会を作っておいて、よく言うよね。

大人の社会も一緒。昼飯の時間なんて15分とか当たり前の労働環境。もうメチャクチャなんです。

8時間労働だって、ホントウにそんなに働く必要があるのか?

まあ、考えればキリがありませんね。

社会医学とか、政治医学とか、そんな言葉は無いけど、もしもそんな言葉で発想するなら、

この社会や政治は、医学的に、生理学的に、完全に間違っていますね。

2017/03/11 (土) 05:57:07 | URL | 今村光臣 #- [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

kouhakudou

Author:kouhakudou
FC2ブログへようこそ!

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR