身体論の解体と再構築 26

「 腹『十』分『も』医者いらず 」 by 今村光臣




チマタの健康カテゴリーでは少食・粗食・絶食が

いつからかブームのようだ。

昔から「腹八分に医者いらず」というから、

至極、真っ当なブームといえよう。

たくさん食べないで少なめに腹八分に食べて、

脂肪分の少ないカロリーの低い粗食を食べて、

糖質を制限して、あわよくば時に応じて

一食を抜いたり、一日だけのプチ断食をして、

そうして胃腸に負担をかけないでいると、

サーチュインというタンパク質が増えて、

長寿遺伝子が活性化して長生きができる、

というのがチマタの健康カテゴリーにおける

少食トレンドの論理武装だ。

なんでもサルのエサをカロリー制限したら、

アンチエイジングが達成できたというし、

一日一食しか食べないカリスマドクターや、

青汁だけの女性鍼灸師なども、いつからか

有名人となった。

この流れからいくと、満腹など罪悪であり、

はらいっぱいに美味しいものを食べようものなら、

国賊とでも言われそうな勢いだ。

しかし、生理学ではこうだ。

実は、はらいっぱいに苦しいほどに満腹に食べると、

βエンドルフィンというホルモンの産生量が増える

ことがわかっている。

βエンドルフィンというホルモンは皆様もよくご存知の

ように脳内モルヒネという別名があるように

鎮痛ホルモンとして有名だ。

つまり満腹になるまで食べると天然の痛み止めホルモンが

身体のなかに湧いてくるのだ。

またこのβエンドルフィンというホルモンは

オキシトシンというホルモンが分泌されたあとに

でてくることがわかっている。

つまりβエンドルフィンがでてきたということは、

その前にオキシトシンというホルモンがすでに分泌されて

いるということなのだ。

オキシトシンは愛と幸福のホルモンとか、

安らぎのホルモンなどという別名があるとおり、

血圧を下げて、筋肉を弛緩させて、血流を促進し、

認知機能を高める幅広い生理作用が認められている。

ということは満腹になるまで食べると、

このオキシトシンとβエンドルフィンの二つの

素晴らしいホルモンが手に入るのだ。

ひとは悲しいことや辛いことや、痛みがあるとき、

自然にそれを忘れようと、しゃにむにおなかいっぱいに

食べるときがある。

すこしくらいイヤなことがあっても、美味しいものを

夢中でおなかいっぱいに食べるだけで、

なにか心も身体も充たされた気分になることを、

ひとは経験的に知っている。

美味しいものをおなかいっぱいに食べることで

ストレスが緩和されて痛みや苦しみを束の間忘れることが

できるのは、オキシトシンとβエンドルフィンというホルモンの

裏付けのある生理学的にみてまぎれもない事実だったのだ!

食べるという行為は腸管のマッサージと同義だそうだ。

食べ物が腸管内を通過していくとき、

それは食べ物により腸管内壁をマッサージするに等しいのだ。

だから食べるという行為は、まさに食べる腸のマッサージ、

食べる腸の指圧、食べる腸の按摩、

食べる腸の鍼灸指圧なのだ。

そうして様々な美味しい食べ物が腸管上皮をマッサージする

ことで、腸管上皮のセンサー細胞が刺激されて、

腸管上皮のセンサー細胞は栄養素を受容すると、

それを今度はホルモンや神経伝達物質に変換して、

他の内臓や脳や全身のミトコンドリアへと伝達するのだ。

こうして食べ物を食べたことがキッカケになり、

体内はホルモンをはじめとした信号分子の会話で

にぎやかに活性化するのだ。

一説によると、腸内細菌が生み出す酢酸や酪酸などの

短鎖脂肪酸もまたホルモンとおなじように機能し、

脳へと指令を出しているという。

腸内細菌も食べ物を酸や酵素で取りこむ過程で、

酢酸や酪酸や乳酸などの代謝産物を産生する。

その腸内細菌の代謝産物もまたホルモンのように

機能しているのだ。

腸内細菌に代謝産物のホルモン分子を作ってもらう

ためにも、はらいっぱいに食べてイイのだ。

ちなみに腸内細菌が好むエサは複合糖質だ。

複合糖質とは繊維質の別名であり、多糖体ともいう。

糖が鎖状につながったネバネバした分子を

腸内細菌は好む。

腹八分に医者いらず、は当たり前として、

わたしは敢えて冒頭のように

「腹十分も医者いらず」と

宣言したい。

はらいっぱいに食べてなにが悪い?

ときには、はらいっぱいに食べて、

オキシトシンとβエンドルフィンをたくさん出して、

腸内細菌を喜ばせる。

これも立派な養生法だ。

昔ながらの格言を念仏みたいに唱えているばっかりが

イイわけではない。

格言すら疑って、格言を越える。

これもまたアヴァンギャルドなチャレンジだ。

少食だろうとお腹いっぱいだろうと

養生法的には、どっちでもイイのだ。

でも、それって当たり前だよ。

食べる=生きる、なんだから。

食べることに罪悪感など持つ必要は微塵もない。

地球の生命体はすべて食べるためにだけ生きていると

いっても過言ではないのだ。

食べるからDNAが複製できる。

食べるからタンパク質が合成できる。

食べるからATPが生み出せる。

食べなければDNAの複製ができなくなり、

タンパク質の合成もできなくなり、

ATPも生まれなくなり、生命力がついえる。

食べることは生きること。

満腹万歳!


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2017.03.03 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

コメント

駄文

伊良湖から田原市,豊橋市,浜松へと抜ける海沿いの街道が「丼街道」と
パンフレットにも書かれています。そのうちの1つの長年の有名店が1月に行ったら終了していましたが…
他にも名店あります。丼の上にずり落ちないかと心配になるほどたくさんの天ぷらを載せた天丼やら,付け合わせや御飯もたっぷり。

海の幸,里山の幸,牧場数か所,鶏舎,安くていい素材が手に入るのと,サーファーなど多くの若者が支持しているのでしょう。とてもにぎわっています。
ジジババ向きでないのですが,周りの喜びの表情を見るのがとても楽しみで,月1回の挑戦でワクワクします。死ぬほど食べた日のお通じは感動ものです。腸壁大掃除?←失礼!
待つ間の顔,出てきた時の顔,本当にみんな幸せな顔していていいです。先生のこの文章の拍手の数,共感者多そうですね!

2017/03/07 (火) 09:30:02 | URL | ばっちゃんわらす #- [ 編集 ]

満腹漫遊記


てんこ盛りの丼飯を時にペロッと平らげるばっちゃん夫婦。

まったくイイっすね!

古代人は飢餓も経験したが、時に大きな獲物を仕留めれば、もちろん大食い満腹どんぶり飯で、

ほてっぱらに、腹の皮がはちきれん程に食べたはずです。

断食もけっこうだが、満腹ももちろんイイに決まってる。

両極端を経験しながら人類は進化したのです。

どっちかに片寄る健康法は、すべてナントカのひとつ覚えの愚です。

ただし、あたしらみたいな肉体労働者には少食や断食は禁物。

糖質制限もむり。

ATPを大量に消費するガテン系の職業人は絶対に少食断食はやってはダメ。

血糖値が下がりすぎて昏睡状態で3週間がんばった叔父が先日に雲の上へと旅立ちました。

もしも断食が奇跡を生じさせるのなら、今頃、叔父はピンピンに生まれ変わっているでしょう。

断食が効を奏するのは、産業毒の障害時か、あくまで健康人の酔狂なプラシーボ趣味において。

三度三度のキチンとした食事が脳ホルモンのオレキシンの合成を促進し、血糖値を正常化、筋肉の代謝を促進するのです。

普通が一番!

そして時に満腹!

2017/03/07 (火) 19:59:19 | URL | 今村光臣 #- [ 編集 ]

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