バクテリアラブ

最近、メインの医学界や発酵学の先生などの発言に頻繁に腸内細菌という言葉が登場している。なにかが鳴動しているのだろうか。人体の危機を察知した常在菌たちがトランスパーソナル(時空を越えて言語を介さずに意思疎通できる能力のこと、テレパシーの類)に共鳴し合っているのだろうか。たぶんそうだろう。彼らのホスト(宿主)である人間があまりにふがいないので意を決してオモテの舞台に躍り出てくるのだろうか。ずっと脚光を浴びているのは乳酸菌である。少し基本事項をさらってみようか。

人の腸管内に棲まう乳酸菌は酸素の少ないところを好む嫌気性という性質をもつ。炭水化物を大量に消費して酸、とくに乳酸を多量につくる細菌である。タンパク質を分解して腐敗させる能力はない。ブドウ糖を発酵するときにほとんど乳酸ばかりを生成するものをホモ発酵性乳酸菌という。乳酸のほかに酢酸、エタノール、炭酸ガスなどをつくるものをヘテロ発酵性乳酸菌と呼ぶ。レンサ球菌、ペディオコッカス、リューコノストック、乳酸桿菌、ビフィズス菌などがある。ヒトや動物の消化管や膣から、農産物まで、自然界に広く分布し、ヨーグルト、乳酸菌飲料、チーズ、発酵バター、みそ、醤油、漬物、サラミソーセージなどの食品から乳酸菌製剤などの医薬品の製造や飼料添加剤にまで多岐に利用されている。ヒトや動物の腸内には食品の乳酸菌とは違う種類の腸管固有の乳酸菌が住みついている。ヒトで最も多いのが各種のビフィズス菌。その他にレンサ球菌の一種、腸球菌(フェカーリス菌、フェシウム菌など糞便から分離されるレンサ球菌)や乳酸桿菌の一種であるアシドフィルス菌、サリバリウス菌、ファーメンタム菌が住んでいる。このような有益な作用をもたらすイイモンというかヒーローみたいに善玉菌と勝手に人間が呼んでいる乳酸菌に対してタンパク質を分解し、アンモニア、硫化水素、アミン、インドール、フェノール、メルカプタンなど悪臭のある物質をつくる細菌はワルモンのようにヒール役を任じて腐敗菌とか悪玉菌と呼ばれる。なんでそんな区別すんのよ!どっちも固有の貴重な常在菌でしょ。有効度や貢献度はどっこいでしょうが。閑話休題。バクテロイデス、嫌気性レンサ球菌、クロストリジウム、ペーヨネラなどの多くの嫌気性菌や、大腸菌、緑膿菌、プロテウス、ブドウ球菌、一部のバチルスや腸球菌、赤痢菌、サルモネラ、コレラ菌、腸炎ビブリオ菌など、下痢、腸炎の原因となる細菌や毒素生成菌はすべて腐敗菌に属するんだってさ。以前も言ったけどこういう悪玉菌がもっと強い病原菌が侵入した場合の露払い役をかってでてくれるわけでけっこうそこんとこは重要だよね。人間が勝手に善悪を決めてるだけで菌の世界にはそういう道徳観はカンケーねぇじゃんって思うよ。この宇宙に存在を許されたものはそれなりに存在意義があるのだろうし。もっとも原発推進派だの電力屋だのカブヌシだの銀行屋だのメディアなんてぇモノが果たして宇宙にとって存在意義があるかどうかは不明ではある。

ということであんまり乳酸菌の一般事項ってのはピンと来ませんな。もとい、いやそうではなくて食事由来の成分を消化分解する重要な役目をも担っているのが腸管固有菌ということなのだ。たいへんありがたい共生体であり原始生命体だ。

あと面白いのは以前に触れたイモばかり食べてるパプア族のはなし。タンパク質が欠乏した食事内容の彼ら南洋の人々が筋骨隆々としたふくよかな肢体を維持できている秘密こそが腸内細菌にあったというエピソード。空気中の窒素ガスからタンパク質を固定するクレブシュラ、エンテロバクターなどの細菌がパプアの人々の腸管内に住んでいたのです。これによって植物にしかできないはずの空中窒素固定という同化作用を人間も腸内細菌の力を借りて行っていることがわかったのだ。葉っぱや根っこだけ食べていてもそれなりにタンパク質が腸内で造れるのだ。窒素固定細菌によってつくられた菌体タンパク質は腸内で消化吸収されてアミノ酸になり細胞内で再合成されてタンパク質となって細胞の代謝に貢献しているのだろう。人間はタンパク質を摂取しなければ生きていけない、などという偏狭な硬化した考えは腸内窒素固定菌の役割を見直すことで変革を迫られることになるかもしれない。

ということで、腸内細菌というライブパーティクルと良好な共生を営むことは養生法の観点からも一層考察を深めなければならない領域である。

千島学説も腸内細菌の視点を加えて自分なりにブラッシュアップしようと思う。腸管造血という新たな細胞の創出が腸内細菌の力をかりているなんてこともあるだろう。

この分野は先達も多くけっこう広範囲に論議されつつあるので自分はたまに取り上げようかとも思います。

いずれにしろ、腸内は最重要な部位であることは間違いありません。免疫の70%が存在するのも腸管です。

命の原子炉である腸内。「死の灰」に対抗する命のもとである「生の胚」が生まれる部位こそが腸管内であろう。

腸に命あり。

ここに幸あり。

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2012.06.25 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 腸内細菌

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