身体論の解体と再構築 6

血管はこれまで血液を運ぶパイプというのが常識だったが、

近年になり血管は血管それ自体で自前のホルモンを

産生していることがわかった。

その血管が自前で産生するホルモンとは

血管拡張ホルモンの一酸化窒素と、

血管収縮ホルモンのエンドセリンと、

血圧調整のナトリウム利尿ペプチドCの

3つのホルモンだ。

心臓はこれまで血液を送り出すポンプというのが常識だったが、

近年になり心臓は心臓それ自体で自前のホルモンを

産生していることがわかった。

その心臓が自前で産生するホルモンとは、

心房で作られる血圧調整のナトリウム利尿ペプチドAと

心室で作られる血圧調整のナトリウム利尿ペプチドBだ。

骨はこれまで身体を支える支持組織の芯で骨髄造血巣で

幹細胞を造血しミネラルを貯留する器官というのが常識だったが、

近年になり骨は骨それ自体で自前のホルモンを

産生していることがわかった。

その骨が自前で産生するホルモンは

カルシウムとリンをコントロールするFGF23と

インスリンの分泌を促進するオステオカルシンだ。

胃はこれまで食べ物の一時的貯留庫で胃酸で

食べた内容物を殺菌し胃液でタンパク質を分解する

消化器というのが常識だったが、

近年になり胃は胃それ自体で自前のホルモンを

産生していることがわかった。

その胃が自前で産生するホルモンは、

主に胃体部の胃底腺の内分泌細胞の約20%から

分泌されて、食欲を催し、胃壁を動かし、

心筋や血管を保護し、全身のミトコンドリアを増強する

若返りホルモンのグレリンだ。

皮膚はこれまで体表を覆う防御シートというのが常識だったが、

近年になり皮膚は皮膚それ自体で自前のホルモンを産生している

ことがわかった。

その皮膚が自前で産生するホルモンは、

ブレイン・ガット・ホルモン(脳腸ホルモン)と呼ばれる

脳と腸で作られているアドレナリンやアセチルコリンや

γアミノ酪酸や、βエンドルフィンなどの

数十種類と同じホルモンと、

腎臓で作られているエリスロポエチンと

血管で作られている一酸化窒素だ。

全身の細胞内に総数で1京8000兆個も存在するミトコンドリアは、

これまで酸素と太陽光線と脂肪やアミノ酸や糖質やミネラルやビタミンを

利用してATPという動力源を生みだして二酸化炭素と水に変換する

細胞内オルガネラというのが常識だったが、

近年になりミトコンドリアはミトコンドリアそれ自体で自前のホルモンを

産生していることがわかった。

そのミトコンドリアが自前で産生するホルモンは、

ATPだ。

ATPはこれまでは細胞活動のエネルギー通貨という固定概念が通説だったが、

ここ20年ほどの研究からATPは細胞間の情報伝達のためのホルモンと

捉えるトレンドが生まれている。

つまりミトコンドリアはATPというホルモンを生み出す

人体最大の内分泌器官とみてもおかしくないのだ。

ちなみに人体各所で生み出されるホルモンはすべてミトコンドリアに

送り込まれている。

乳酸という分子はこれまで筋肉内で産生される老廃物で

筋肉痛や凝りの原因分子というのが常識だったが、

近年になり乳酸はハードな筋トレの際などに速筋で

生み出されると30分間から1時間以内に

細胞膜にある乳酸トランスポーターという装置で

搬出と搬入がおこなわれて血流に乗って

速筋から遅筋と心筋に運ばれて、

遅筋と心筋のミトコンドリアを滋養することがわかった。

つまり乳酸は速筋の細胞質で生まれて遅筋と心筋のミトコンドリアへと

情報伝達をするホルモンのように振る舞っているのだ。

この乳酸と先述の胃ホルモンのグレリンと

血管ホルモンの一酸化窒素には、

全身のミトコンドリアを増強する作用が認められている。

ハードな筋トレを少し実践し乳酸を多く産生し、

胃ホルモンのグレリンの湧出を促すように、

足の三里を押して、また体壁筋肉系を刺激して、

胃の蠕動運動を促進し、

皮膚と血管壁を押して一酸化窒素を産生分泌する鍼灸指圧や

ストレッチの励行は、結果として全身のミトコンドリアを

活性化し、活性化された全身のミトコンドリアは

ミトコンドリアホルモンであるATPをよく産生することで、

全身の60兆個の細胞は活気づくのだ。

一説によれば全身のすべての細胞でホルモンは造られている。

それは当然だ。

全身のすべての細胞にはホルモン産生器官である

ミトコンドリアが内臓されているのだから。

これまで医学の常識では内分泌器官という特殊な臓器だけが

ホルモンを産生していると教えてきた。

その内分泌学の常識がすでに大きく揺らぎ始めているのだ。

ホルモンのトレンドは血管や心臓や骨や胃や皮膚や

脳腸やミトコンドリアへとシフトチェンジしている。

常識的な身体論を常識的に信じていると

時代に取り残される。

ホルモンとは言ってみれば細胞同士が情報伝達しあい

コミュニケーションをとるための分子ツールだ。

仮にホルモンを細胞(セル)の言語と解し、

「セル語」と名づけてみよう。

そう60兆個の細胞は何千種類ものホルモン、

つまりセル語を操るマルチリンガルの達人なのだ。

そのセル語のなかでも、ひときわ大事な言語が、

ATPであり、一酸化窒素であり、グレリンであり、

乳酸だ、と、独断したい。

ヒトの体内はセル語で満ちている。

スポンサーサイト

2017.02.15 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

kouhakudou

Author:kouhakudou
FC2ブログへようこそ!

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR