トレジャーメタル

あの天空に輝く我が太陽の中心部では水素が核融合を起こし、

ヘリウムガスが生まれている。そのヘリウムガスもまた

核融合を起こしリチウムを、そしてベリリウムが生まれ、

こうしてつぎつぎに元素の周期表の26番までの元素が

太陽のコアで生成される。

そしてこの原子番号26番の鉄が生まれると、

太陽は爆発してその寿命を終える。

太陽のような恒星は鉄を生むために生きるのだ。

46億年前、銀河系の片隅である恒星が一生を終えた。

このスーパーノヴァ(超新星爆発)により、

その周囲には鉄以下の元素とこの爆発時に発生する鉄より

あとの原子番号の元素が生まれて飛散した。

宇宙空間に濃い密度のガスやチリが発生すると、

水素ガスがまた核融合をはじめ、重い粒子がその周囲に集まりだした。

核融合をはじめた水素ガスの球体は原始太陽となり、

その周囲の重い粒子が集まった微惑星は

つぎつぎにぶつかり融合し、

やがて原始太陽の周りに惑星団ができあがった。

恒星のアポトーシスが次ぎの惑星団をプレゼントした瞬間だ。

こうして新たなわたしたちの太陽系がリモデリングされた。

その太陽系の第三惑星の地球という星は岩石惑星だ。

地球の中心部は鉄とニッケルの合金でできており、

中心熱6000℃で溶かされたマントルが浮上して、

地殻が形成された。その地殻を灼熱の酸性雨が洗い流し、

海へと地殻表面の金属元素は滲みだした。

原始の海に漂っていた鉄イオンは、27億年前に誕生した

藍色細菌(シアノバクテリア)の出す酸素と化合して

酸化鉄となって海底に滞積沈殿した。

約15億年をかけて海のなかの鉄イオンは鉄鉱石となって、

海底に一掃されたのだ。

地表部に残存していた鉄分は長い間に風化されて粒状鉄となった。

この粒状鉄は水に不溶であり、つまりイオン化できないので、

生命系が使うには適さない。

鉄は酸素環境のなかでは酸化防止剤として必須の元素であり、

鉄元素の酸化還元反応は生命系の酵素の中心を成す。

よって生命系が鉄イオンを獲得することは絶対命題であり、

鉄イオンなくば生命は一時もこの地球で生きることは不可能だ。

この鉄イオンの生命系への供給源は土壌においては

土壌バクテリアやイネ科の植物が産生するシデロホアという

分子が鉄を取りこんで(キレート)、イオン化した鉄を

その内部に取りこむことがスタートとなる。

また森林や沼や有機農法の棚田の腐植土層のなかで

バクテリアたちが落ち葉などを分解する過程で産生した

代謝産物のフルボ酸と鉄が結びつくことでフルボ酸鉄ができる。

このフルボ酸鉄は森林や沼や棚田から河川へと流れ込むと、

河川の植物性プランクトンや川の水草へと鉄を供給し、

海までながれていくと沿岸域の植物性プランクトンや海藻へと

鉄を渡す。海へ運ばれたフルボ酸鉄の鉄は沿岸域の

海の森である海藻を育て、その海の森で魚たちは卵を産み、

稚魚が守られて魚類や甲殻類のエサや住み家となる。

宇宙の片隅で古い太陽の死と共に始まった鉄の旅は、

やがて地球という星のなかですべての生命を生かす元素となり、

いまわたしたちの体内を巡っているのだ。

かつての太陽の死は無駄ではなかった。

それは生への始まりだった。

鉄元素の宇宙循環を俯瞰したとき、

わたしという存在が宇宙の循環の一部を成す、

ことを強く感じる。

鉄という元素はわたしたち地球生命系を動かす

トレジャーメタルだ。

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2017.02.04 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

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