微生物宇宙

植物の根は土中の養分を吸収する。

窒素、リン酸、カリウム、が

植物肥料の三大元素というのは常識だ。

しかし、植物はこの三大元素だけでなく、

カルシウムやマグネシウムや鉄分などの

その他の元素も根から幅広く吸収する。

またそれだけでなく土壌菌の代謝産物や

落ち葉や枯れ枝の腐食前駆物質なども吸収する。

光合成に欠かせない栄養を吸収する植物の大事な器官が

根だ。

このように植物の根が栄養を吸収する器官であるのは当たり前だが、

実は根は吸収するだけでなく「放出」もしているのだ!

植物は水と二酸化炭素や吸収した元素による光合成によって

作られた糖やアミノ酸や酵素や粘液やイオンを根から放出する。

えっ、せっかく植物体内に作った大事な同化産物を

なぜ大判振る舞いに根を通じて植物体外の土中へと放出してしまうのか?

なんとこの植物が放出したプレミアムな栄養素は土壌菌の御馳走なのだ。

植物は光合成で得た有機化合物を根から放出して、まいて、

それをエサにする土壌菌をおびき寄せるのだ。

植物が根から放出するエサにおびき寄せられた土壌菌たちは

植物の根の周囲にコロニー(群体)を形成する。

植物は根を使って土壌菌を培養しているのだ。

それはまるでヒトの腸管内で腸液の浸出部に

腸内ビフィズス菌がコロニーを形成するのとまったく同じだ。

こうして植物の根の周囲には土壌菌が棲み着いたひとつの場ができる。

この植物の根と土壌菌のコロニーが結びついた

マイクロバイオーム(微生物宇宙)を「根圏(こんけん)」と呼ぶ。

根圏の土壌菌たちは酵素と酸で植物の根が提供した

有機化合物のエサを食べ、見返りに代謝産物を分泌する。

その代謝産物を利用するために植物は根から土壌菌の

エサとなる有機化合物の御馳走をばらまくのだ。

こんな事例がある。

植物の根が放出したアミノ酸の分泌液であるトリプトファンは、

根圏の土壌菌の代謝により改変されて植物成長ホルモンの

オーキシン(インドール酢酸)に変換される。

この根圏の土壌菌が産生した代謝産物であるオーキシンは

その後、植物の根に吸収されると根を長く伸ばし、

支根や根毛の密度を高めて植物の成長を促すのだ。

なにかに似ていないだろうか?

ヒトの腸内細菌は肉や魚や里芋や大豆や穀類などの食べ物に

幅広く含まれるアミノ酸のトリプトファンをセロトニン前駆体に

変換する。ヒトの腸内細菌によって作られたセロトニン前駆体は

血流に乗って脳へと運ばれると脳内セロトニンとなって、

ヒトの精神を健やかに養う。

ヒトのセロトニンは昼間の活動に使われるホルモンだが、

夜間にはメラトニンに変換されて睡眠を誘導する。

寝る子は育つ。

植物は根圏マイクロバイオームがトリプトファンから

作りかえたオーキシンで健やかに成長する。

ヒトは腸内マイクロバイオームがトリプトファンから

作りかえた「セロトニン→メラトニン」で健やかに成長する。

根圏マイクロバイオームとヒト腸内マイクロバイオームは、

トリプトファンというアミノ酸から同じように宿主である

植物とヒトを健やかに成長させるホルモンを提供するのだ!

つまり植物もヒトもマイクロバイオームに生かされているのだ。

もしも根圏マイクロバイオームやヒト腸内マイクロバイオームに

異変が起こりオーキシンやセロトニンが作られなくなれば、

植物は枯れて、ヒトはウツ病を発症するだろう。

畢竟、わたしたちはマイクロバイオームなしでは生きられない、

マイクロバイオームと命を共にする存在なのだ。

私の養生の本質へのあくなき追及は、ついに

微生物宇宙との交信へと道を開いた。

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2017.01.22 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

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