奔放な混沌
「元気は何れも自然の運行である。
医師は病に臨んで、自然の運行の
欲するところが如何なるかを
視るのみである」漢方医・新宮凉庭
幕末に長崎に留学し来日していたオランダ医師に学び、
オランダ商館のオランダ人たちを鮮やかに漢方薬で
治療した名医であった漢蘭折衷派の医師、新宮凉庭。
彼は携帯用の薬箱に螺鈿で冒頭の文句を刻んだ。
また、同じ箱の別な面には、
「人身は、本来、元気がある。
医師の技は、ただ、その奴隷にすぎない」
「医師は自然の下僕である」とも書かれている。
江戸中期の思想家、三浦梅園は
「天地を師とするにしくはなく候」
と言った。
日本初の人体解剖をおこなった鍼医、山脇東洋は、
「理は或いは顛倒(てんとう)すべし、
物は焉(いずくん)ぞ誣(し)ふべけんや」
と解剖書「臓志」に著した。
この山脇らの実地解剖を是とする機運に反発した時の
漢方医、望月三英は、
「形象も死にては気がなき故、
生きて居る人の臓腑にあらざれば
医者の用には立たぬなり」と
死後解剖をして命の何たるか?の理解の役に立つのか、
と疑義を呈した。
新宮凉庭は自然の運行、人身本来の元気を重んじた。
三浦梅園は天地を師とした。
山脇東洋はリアルを重視した。
望月三英は生きている気に注目した。
四人はそれぞれの立場でリアルな世界を見て、
その背後に自律する理を洞察した。
デーヴィッド・ボームはこの世界を
インプリシット・オーダーとエクスプリシット・オーダーという
ふたつの層で解読を試みた。
目にみえる明在系というエクスプリシット・オーダー。
その目にみえる明在系を生み出す目にみえない暗在系という
インプリシット・オーダー。
明と暗。光と闇。白と黒。
表と裏。マクロとミクロ。
そして見(けん)と観(かん)。
あるものをあるがままにみる時、
いったいそこにひとはなにを見い出すのか?
それはおのおののセンス次第といえよう。
私はヒトの体壁筋肉系に触れる仕事をしている。
私にとっての「リアルな気が運行する天地自然」は、
このクライアントの体壁筋肉系だ。
そのクライアントの体壁筋肉系に、
わたしは25年間、触れ続けることで、
わたし独自の生命観を作るに至った。
「命は摩訶不思議なカオスでコスモスでフラジャイルな存在」
これが私が25年間の治療師生活で生みだした生命哲学だ。
命は「奔放な混沌」ゆえに、思い通りにはいかない。
しかし、治療という線形的な方法論がうまくはまると、
時に劇的な好転を引き起こす。
しかし、まかり間違っても我が術に溺れてはいけない。
あくまでその劇的な好転は命が主体となった現象だからだ。
命を畏れ慎み、命に向かう。
明日は仕事始め。
リアルな治療師の日常がスタートします。
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2017.01.03 | | コメント(7) | トラックバック(0) | 養生クリエイター
