ミッション

乳酸という分子はミトコンドリアのエネルギー産生に必須の材料だ。

この乳酸という分子は通常生理においては、体内各所で代謝されている。

その一日当たりの乳酸代謝量は多い順に、

皮膚  35グラム

赤血球 35グラム

脳   30グラム

筋肉  19グラム

大腸  10グラム

となっている。

乳酸は糖を利用した結果、生じてくる分子だ。

赤血球という細胞にはミトコンドリアは存在しない。

赤血球は解糖系という糖の分解系だけを利用して

エネルギー産生をしている。

糖のみを利用してエネルギー産生をしているがゆえに、

赤血球には乳酸が多いと分析できる。

実は皮膚にはミトコンドリアが少ないとされる。

つまり皮膚は解糖系を主に利用する部位と言えそうだ。

だからかどうかは知らないがやはり皮膚の乳酸代謝量は多い。

さて、ここで注目すべきは脳や筋肉の乳酸代謝量だ。

ご存知のように脳は糖の代謝が盛んな部位だ。

乳酸は糖を大量に利用した場合に多く産生されてくる分子だ。

だから常に糖を大量に利用する脳で乳酸が多く産生されるのは当然だ。

また筋肉も時に糖を大量に利用する。

特に速筋を使うようなハードな筋トレをした時などに筋肉中のグリコーゲンが

大量に動員されて筋肉中で糖の利用が高まる。

その時に乳酸という分子が一時的に筋肉中に多く産生されてくるのだ。

この速筋で一時的に多く産生された乳酸は乳酸トランスポーターを介して、

心筋や遅筋に運び込まれて、そこでミトコンドリアに取りこまれて、

エネルギー産生がおこなわれる仕組みだ。

ここでさらに注目すべきは脳や筋肉にはミトコンドリアが多いという事実だ。

赤血球や皮膚はミトコンドリアが少なく、解糖系を主に利用するがゆえに、

乳酸が多く代謝されていた。

しかし、脳や筋肉にはミトコンドリアが多く存在するのだ。

もしかしたら、脳や筋肉のミトコンドリアはすでに競走馬のサラブレッド並みの

高効率乳酸代謝システムへと進化しているのかもしれない。

飢餓状態に置かれれば脳へと送るグリコーゲンも枯渇してしまう。

もしも脳へと糖が送られなければ脳が機能停止してしまう。

そんな時に外敵に襲われたり、天変地異に見舞われたら、

絶命の危機を迎えてしまう。

サバイバルの判断力を維持するだけのエネルギー源を

常に脳に確保しておくことは、生き延びるためには必須だ。

乳酸は糖を分解した分子であり、

実は糖の代用となるストック・エネルギー源とされる。

筋肉中のグリコーゲンをすべて使い切った後に、

ラストスパートの火事場の糞力のもとが、

なんと乳酸だったのだ!

だとすれば、脳に常に多く産生されている乳酸は、

火事場の糞力エネルギー・ストックと見なしてもいいかもしれない。

乳酸は長いあいだ、まるで排泄物や疲労物質と誤解されてきた。

しかし、こうして落ち着いて分析してみれば、

乳酸もまた人体を維持するうえで欠かせない分子である、ことがよく理解できる。

ゆめゆめ100年前の乳酸害悪論の誤説を反芻するなかれ。

乳酸研究の最前線ではすでに乳酸の汚名は晴れつつある。

昨日の中日新聞の夕刊には、オートファジーの特集が組まれた。

このオートファジーという細胞内リサイクル機構によっても、

乳酸は再利用されていると見込まれる。

ちなみに食品中に含まれる乳酸含有量は、

牛肉    0.9%

豚肉    0.9%

鶏肉    0.9%

赤身魚   0.6~1.3%

チーズ   1.3%

ヨーグルト 1.0%

ワイン   0.2%

日本酒   0.1%

醤油    0.1%

味噌    0.5%

などとなっている。

これらの食品はよく脳を活性化し、

筋肉を滋養するだろう。

乳酸の汚名を晴らす。

わたしに与えられた新しいミッションだ。

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2016.09.16 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

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