新しい生命観

凝りというある種の生理現象に、これまで肯定的なイメージはなかった。

そもそも凝りとは何なのか?を深く追及した者などないのに、

ただ漠然と凝りは筋肉細胞に乳酸が蓄積した結果生じた悪しき邪毒であり、

この凝りが原因で血流が悪化し、あらゆる病気の原因になる、と

このような否定的なマイナスイメージがこれまでの凝りに課せられた偏見だった。

この凝りのマイナスイメージにひとやくかったのが乳酸という分子だった。

乳酸という分子は細胞が糖を利用してATPを産生する際に発生する中間分子で

あるが、この単なる糖の分解分子をこれまで100年間、

生理学や一般常識は徹底的なワルモノと錯覚してきた。

筋肉を酷使した時に血液中の乳酸濃度が高まる。

筋肉を酷使したあとは疲れる。

よって疲れた時に増えている分子こそ疲労の原因分子だ。

であるのなら乳酸が疲労分子だ。

このあまりに短絡的かつ単純な誤解により100年前、

乳酸は疲労の原因分子と誤解されワルモノに仕立てあげられてしまった。

それからはずっと乳酸はまるで細胞活動の排泄物や汚物として扱われてきた。

しかし、この乳酸を排泄物や汚物や疲労分子とみたことはまったくの間違いである、

ことが近年の乳酸研究で明らかになった。

すでに本ブログでは何度も報じているように、

乳酸はミトコンドリアのエネルギー源となる立派な動力分子であり、

乳酸が増えることでミトコンドリアが乳酸をより迅速に

利用できるようにミトコンドリア数が増えることが予想されており、

つまり乳酸はミトコンドリアを増強するシグナル分子として機能していると

仮説が立てられて今後、その立証研究がおこなわれていく予定だ。

つまり乳酸は細胞活動の栄養源であり絶対に必須の分子ということなのだ。

乳酸の真相がこうしてわかってみればまさに理路整然、

生理現象には是も非もなく、邪も正もなく、善も悪もなく、

すべてこれ必要があって生じたカスケード反応の連鎖であることに気づく。

ということで、乳酸の汚名は今後、少しずつ是正されていくはずだが、

あおりを受けてゴッチャゴロミソに

ワルモノにされた凝りの汚名を返上しなければならない。

だいたい乳酸という分子は決して筋肉内に蓄積されることはない。

乳酸は筋肉内で糖を大量に利用するようなハードな運動をした時にだけ特異的に

増える分子だ。だから日常生活で生じる凝りとは何の関係もない。

肩こりや首こりは、肩や首の筋肉をハードに酷使した時に生じるわけではない。

むしろ肩や首の筋肉をずっと静止したままにして、動かさない時に、

肩こりや首こりは発生する。だとすれば乳酸と、これらの肩こりや首こりが、

なんの関係もないことはすぐに想像できるはずだ。

凝りが乳酸の蓄積で生じる生理現象でないのなら、

いったい凝りはどんな分子レベルの機序で起こる現象なのか?

わたしの仮説では凝りの分子レベルの原因分子は変性タンパク質、とみている。

流水は腐らず。

この宇宙は常に動くことで動的均衡を保つ。

筋肉も動くことでATPというホルモンが産生される。

ATPをもとに筋肉内の変性タンパク質もオートファジーを通じて分解される。

だからもしもずっと筋肉を動かさないと次々に産生されてくる変性タンパク質が

溜まっていく。筋肉を動かすことでヒートショックプロテインが分泌される。

ヒートショックプロテインは変性タンパク質を修正するカナメとなる分子だが、

ヒートショックプロテインが産生されないと変性タンパク質が溜まっていく。

こうしたオートファジーの不能、ヒートショックプロテインの分泌低下など

を原因とした変性タンパク質の滞留が凝りの分子レベルの原因になる、

とわたしは仮説を立てている。

しかし、乳酸が害毒分子でないのと同じく、変性タンパク質も害毒分子ではない。

変性タンパク質は分解されてアミノ酸になることで、また新たなタンパク質の

原料となる立派なリサイクル資源なのだ。

だから凝りを押していると押圧ストレスに応じて細胞核セントラルドグマが、

ヒートショックプロテインを産生して、この指圧によるヒートショックプロテインに

より細胞内に滞留していた変性タンパク質は次々に分解されて修正されていく。

また押すことで皮膚はATPを産生するがATPを使って変性タンパク質を分解する

ATP型オートファジーの起動により、やはり変性タンパク質が次々に修正される。

指圧という単純な手技が引きだしたヒートショックプロテインとATPという分子が、

変性タンパク質を修正することで凝りの原因が解消されるのだ。

凝りに溜まっていた変性タンパク質というリサイクル資源は、

こうして指圧により新たな生を受ける。

凝りのなかの変性タンパク質のよみがえりを演出する手技が指圧だ。

凝りは指圧により新たな命を得てよみがえる。

凝りが修正された時、ひとはまた新たな活力を得るのだ。

凝りは乳酸が溜まった悪しき邪毒のカタマリでは断じてない。

凝りは変性タンパク質というリサイクル資源が詰まった命のパワースポットだ。

凝りという手がかりがあるから私は患者を治療できる。

もしも凝りがなかったら、わたしは治療の現場で手がかりを失い、

どうしていいのか、なにを指標にすればいいのか、路頭に迷う。

凝りという羅針盤があるから迷わずに治療ができる。

治療師生活24年、わたしは凝りに導かれてここまで来た。

3万を越えるわたしが触った凝りたちよ。

本当にありがとう。

あなたたち凝りがいてくれたから、わたしは治療師として生きて来られた。

凝りこそがわたしに命の真相の一端を教えてくれた最大の恩師です。

命のことは命に聞け。

凝りのことは凝りに聞け。

凝りに命の何たるか、を聞き続けた治療師だから

みなさんに凝りの何たるか、をアドバイスできるのです。

凝りも触らず、命にも触れずして、

凝りや命について何かを理解することなどできません。

3万タッチのひとつひとつの現場では、

さらに何十万の圧力対話が患者とこの指先で交わされた。

そのすべての圧の重みがわたしの生命観を醸成したのです。

何十万タッチ、何百万プッシュ、一指一圧の繰り返しの24年。

そのおびただしい圧力が負荷されたこの指先。

この指先の厚み、親指の爪のひずみ、人差し指と中指の第二関節の巨大なタコは、

わたしの道友、勲章、ダイアモンドに勝る大切な宝物です。

汝の凝りを愛せよ。

凝りを愛することで生まれる新しい生命観。

それを提示できるのはわたしだけだ。

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2016.09.08 | | コメント(7) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

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2016/09/09 (金) 00:12:30 | | # [ 編集 ]

ご質問頂きましてありがとうございます


リウマチという疾患は一般的な現代医学の概念としては、

自己免疫疾患であり、自分の免疫細胞が自己の細胞を攻撃している状態とみます。

だから現代医学の主流の治療法は、免疫抑制のために免疫細胞が分泌するインターロイキンなどのサイトカインのカットがトレンドです。

人体の免疫システムはマクロファージをはじめとする自然免疫系と、T細胞やB細胞を中心とする獲得免疫系に大別されます。

リウマチなどはT細胞のTh1とTh2のバランス、振れ方による、という見方もあります。

このT細胞のコントロールが実はマクロファージをはじめとする自然免疫の強化で達成出来るのでは、

というのが最新の免疫研究で明らかになりつつあります。

だとすれば、皮膚マクロファージのランゲルハンス細胞や樹状細胞を刺激する鍼灸指圧が、

T細胞をコントロールすることでリウマチをはじめとするアレルギーや自己免疫疾患を抑制する効果も期待できます。

ということで、まずは自分で出来ることとしては青竹踏みなどで一酸化窒素の湧出を引きだして、

マクロファージを活性化する、ことをやってみてはどうでしょうか?

最初に痛み出した足の裏になにかポイントがあるかもしれません。

また免疫系をコントロールするうえで大事な器官が副腎です。

腎臓のうえにくっついた臓器ですが、この周囲の血流を改善すべく背中の凝り、腰の凝りをほぐしていくことも重要です。

リウマチの患者さんはこれまで数名扱っていますが、通い続けた方がおりませんので、

わたしの治療で治しきれる、とは言いきれません。

しかし、上記のメカニズムが生体に備わっていることを鑑みれば、諦めずにあらゆる手段を講じていけば、

希望が見えてくるはずです。

食養の世界では、リウマチは関節に溜まった古いカルシウムが関節の可動の傷害となることで発症する、などと言います。

この関節の古いカルシウムを取り除くのに有効なレシピがシイタケのカリウムとされます。

例えば乾燥シイタケを戻して、その汁で高野豆腐を煮る。

するとシイタケのカリウムで古いカルシウムを除きながら高野豆腐の新しいカルシウムを入れる、ことができるなどといいます。

また古いカルシウムはクエン酸などの酸味でも取れるといいます。

酸っぱい果物類なども有効かもしれません。

体壁筋肉系に手技などで働きかける時は、やられた時の気持ちよさ、が指標になります。

押されて気持ちイイ部位をまずは念入りに指圧してみてください。

娘さんの症状が寛解し、全快することを祈念しております。

また何なりと何でもご質問ください。




2016/09/09 (金) 05:34:11 | URL | 今村光臣 #- [ 編集 ]

上記コメに付記


シイタケのカリウムのみならず、

シイタケのリンが古いカルシウムの除去に有効、と習いました。

2016/09/09 (金) 05:37:36 | URL | 今村光臣 #- [ 編集 ]

マクロファージの強化にはLPSが有効


免疫学の最新トレンドにおいて、今ホットな注目を集めているのが、

植物共生菌のパントエア菌が産出するリポポリサッカライドという分子。

このリポポリサッカライドという分子、略してLPSには強力なマクロファージ活性化の効果があることが判明している。

LPSがもっともたくさん含まれる食品はライ麦100%の自然発酵パンであるが、

その他の食品では、イネ、ソバ、ジャガイモ、サツマイモ、レンコン、シイタケ、ホウレン草、リンゴ、ナシ、緑茶、海藻などが挙がっている。

これらLPS食材の摂取と、ネバネバヒートな食材はきっとマクロファージの強化につながるでしょう。

2016/09/09 (金) 06:04:48 | URL | 今村光臣 #- [ 編集 ]

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2016/09/10 (土) 05:50:05 | | # [ 編集 ]

カルシウム



こんにちは

最近、カルシウムについて思うところがありまして調べておりました。

311以降食生活が変わってしまいましたので、

カルシウムが不足しているのではないかと。

そして、この記事。

こういうことが、こちらのブログではよく起きるので、不思議に感じています。

有難いことです。

レモンジュースも飲み始めていたところでしたし、

早速、干し椎茸と高野豆腐の煮物作りました。^^

有難うございました。

2016/09/12 (月) 10:07:35 | URL | あるご #yNvNoxY. [ 編集 ]

シンクロニシティー?


http://buono555.blog.fc2.com/

しかし、いつ見ても↑、あるごさん家の食卓は、

なんとも美味しそうなものばかり、ゴックン(笑)

カルシウムと言えば、カルシウムになりすまして侵入するのがストロンチウム。

そういう意味では積極的に新たなカルシウムの摂取で

細胞内のカルシウムストックの飽和を心がけることで、

ストロンチウム被曝に対するカウンターな防御につながります。

リウマチ的な症状は内部被曝でも頻発する症状です。

セシウムは特に筋肉に溜まってきますし。

もちろんストロンチウムも筋肉にきます。

そういえば、akechiさんがブログ記事を更新してくれてます。

ネットのつながりではありますが、なにか相通じる者同士が、

こうしてネットワークを取ることは、今の時代には、

やはりいいことですね。

気づき、や、引き寄せ、は求める力が強く、

ずっと思い続けることで、現実に立体化する気がします。

今日は腕立て、懸垂ではなく、実益への応用で庭の草刈り、

草刈りエクササイズに精を出しました。

だいぶ雑草がなくなって気持ちもスッキリ、

汗も大量に出て、身体もスッキリ(笑)

古い塩分やミネラルが汗と一緒にデトックスされたから、

美味しいものをたっぷり食べて、

新しいミネラルを補給しないとね。

そんなこんなの休日2日目です。

2016/09/12 (月) 13:29:14 | URL | 今村光臣 #- [ 編集 ]

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