市井の達人

先日、いきなり治療院の玄関がバンッと開いたので、

ビックリして見に行くと、見知らぬ男性が立っていた。

初めましてでも、こんにちは、でもなく、

その男性が早口で喋った内容は、

かいつまんで言えば我が治療院の所在を知り、

ここの治療を受けてみれば、とアドバイスされたゆえに、

こうして出向いた、とのことだった。

それなら、ちょうど良い。

今、患者さんがいない時間だから、やっていきますか?

と尋ねると、件の男性は、

「ここは保険は利かないよね?」と質問された。

だから自分は「はい、ここは実費診療ですよ」と応えた。

それから、またなんだか早口で色んな事を喋ったのだが、

どうも肩こりが酷いらしく、それは退職前の仕事に

就いた初めからの症状だったということだ。

実費診療のところにも、保険診療のところにも、

あらゆるところに行ったが、いまだに肩が痛いと嘆いていた。

そんなお喋りのなかで、3回は「ここは保険が利かないよね?」

と繰り返し私に尋問した。

いくら患者さんがいない時間だからと言っても、

こちらにもやりたいことや、都合がある。

いつまで、こんな無駄話が続くのだろうか?

と不安になった頃、ようやく用事があるから、

と帰られた。

保険診療が安い、と言っても、前もって随分と払わされているわけで、

実際に安いのかどうか、大いに疑問ですよ、とココまで出かかったが、

止めておいた。

物言えば唇寒し秋の風。





こんな事もあった。

若い頃からの大の指圧ファンで御年86歳のスーパーおばあちゃんのOさんが、

先日、いつものルーティーンの日課で我が治療院に来院された。

Oさん、いつものように歯切れ良く言うには、

「わたしらん友達は、施設なんかに入っているのが、

一杯いるけど、あんた、月に10万、20万も払って、

5年も10年も、死ぬまであそこでああやって、

寝たきりで過ごすんだよ。

それを思えば、こうやって週に1回、

月に4回、ここに来たって、幾らにもならない。

その幾らにもならないお金を惜しんで、

結局は、ああして寝たきりになって、

施設に毎月何十万も死ぬまで払い続けるのは、

ほんとに馬鹿馬鹿しいと思うよ。

でも、こんなこと、口が裂けても大きな声では言えないの。

そんな事を言った日には、アンタはお金があるから、

そうやって行けるだの、何だのとホントにうるさく

世話を焼くんだから。

ここだけだよ、こんな事が言えるのは」





命とお金、いったいどっちが大事なんだろう?

死んで墓場に持って行けるのは、

炭酸カルシウムの残滓である「お骨」だけ。

その、しゃれこうべ、だって生きているあいだに、

手を掛けて手入れしなければ、

キレイなカタチには残らない。

死んでもオシャレしたければ、

生きているあいだに身体に手をかけなければダメよ。




色んなひとがいるもんです。

ミリオネアしか出来ない豪勢な生活だって、

命あってのもの。

その日暮らしのつましい生活だって、

健康なら、それこそ本当の意味で幸せなんだよ。



健康な命のために身銭を切る。

そんなことが当たり前の常識になれば、

この国の医療費問題なんか、すぐにカタが付く。



86歳のスーパーおばあちゃん、

市井の達人のOさんの人生哲学から、

学ぶことは大きいです。

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2016.09.05 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

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