竜の教え 2

ここまでに出てきた凝りの要素をあらためて見直してみます。

凝りはここ100年間は乳酸の蓄積と勘違いされてきたことは、

すでに指摘しました。

この乳酸という分子をなぜこれほどに恐れ、

蛇蝎の如くに嫌い、糞尿のようにさげすんできたのか?

地獄 極楽 胸先三寸。

見える世界はすべて自分の映し鏡。

なにかを憎まなければ自分の憤懣が解消できない。

なにかを病理の原因と特定しなければ気がすまない。

そんな現代人に特有の精神構造が生みだした乳酸の幻影だったといえます。

わたしたちは乳酸を害毒分子のように嫌う、そのくちで、

乳酸菌飲料をありがたがって飲み、乳酸菌ヨーグルトを好んで食べ、

ピクルスや漬けものや味噌や醤油やチーズや生ハムやサラミが大好きです。

この食品や飲料に含まれる乳酸菌が分泌する乳酸が、

腸管から血液中に吸収されると血管を通じて全身の細胞に送られて、

細胞内のミトコンドリアでATP産生に使われることがわかってきました。

体外から摂取した乳酸という分子と、細胞内で糖を分解して出来た乳酸に、

なんの違いもありません。

乳酸という糖を分解した分子には、

ミトコンドリアで使われてATPを産生するという重大な使命があったのです。

つまり乳酸は害毒分子ではなく、老廃物でもなく、疲労物質でもなく、

排泄物でもなく、立派なエネルギー源であり、

今、乳酸研究のホットな最前線では乳酸がミトコンドリアの分裂増殖を促す

シグナル分子として機能している可能性まで示唆されています。

一般的には乳酸という分子は糖を一時的に大量に

利用する速筋を使って全力を出し切るようなアスリート系の運動時に合成されます。

だから、今では練習中のアスリートは練習後に血液中の乳酸値を計って、

通常の平均値や自己のそれまでの数値と比較して、

それ以上に多く検出されると、

それはこれまでよりも実力を出し切ったアカシとして、

選手にたいへんに喜ばれる事態となっています。

乳酸が溜まることを極度に嫌った時代からみれば、

このような乳酸に対する見方の変化は驚くべきものです。

何度か触れましたが、競走馬のサラブレッドは

人間よりも多量の乳酸を常に合成します。

どうもサラブレッドは人間よりも乳酸を

効率的に利用するように進化を遂げているようです。

あの競馬におけるサラブレッドの全力疾走を

生みだしている分子レベルの秘密は、

大量に発生する乳酸の効果的な利用にあったのです。

人間も速筋を使うようなハードな筋力運動をした時には

速筋で乳酸が生み出されます。

この速筋で生み出された乳酸はその後、

30分間から1時間以内に細胞膜にある

乳酸トランスポーターという細胞膜装置で血液中に送り出されて、

心筋と遅筋の細胞膜の乳酸トランスポーターで取りこまれて、

心筋と遅筋の筋細胞内のミトコンドリアでATP産生に利用されます。

人間もある意味、サラブレッド的な乳酸の利用を

すでに獲得しているのです。

オリンピックに出場するようなアスリートたちは、

この乳酸経路のATP産生を特異的に鍛えることで

最高のパフォーマンスを演じるのです。

乳酸は決して害毒分子などではない。

乳酸は細胞生理に必須の大切なエネルギー源だ。

乳酸の偏見と差別が解消されて、

乳酸を愛する風潮がいち早く根付くことを願ってやみません。

ということでつまり筋肉中には乳酸が溜まることはありませんから、

凝りのプロフィールから乳酸は除外されます。

凝りとは何物なのか?

あの凝りのなかにはいったい何があるのか?

現時点では分子レベルでは細胞内のタンパク質が変性した

変性タンパク質が凝りの主な分子だ、というのがわたしの認識です。

またエレクトロ・ダイナミック・フィールド的にみれば、

凝りには電気的なチャージがある、とみなせそうです。

とりあえず凝りには二つの顔があることがみえてきました。

凝りは変性タンパク質、がひとつ。

凝りは電気的な変動が、ふたつめ。

凝りとは変性タンパク質と電気的な変動がミックスした何物か、であるといえます。

その凝りに指を当てると、なぜあのような竜が出現するのか?

さて、凝り竜を巡る新たな旅の始まりです。

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2016.08.06 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

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