Dragon Fly 7

隠すべきことは何もない。

さあ、わたしの術のすべてを公開しよう。

指圧の奥義とは、指先の物理的な圧力に、

プラスする何か、である。

その何かとは、意識を指す。

指先に意識を、自己の全存在を乗せて、

それをコントロールすることが指圧の奥義だ。

もしも指先の圧力が指圧の巧拙、上手い下手を決めるのなら、

筋肉隆々のライザップな指圧師がベストだ。

わたしという実物を見れば一目瞭然だが、

わたしはべつにマッチョな見た目では決してない。

もちろん、指圧には筋肉による物理的な最低限な力は必須だ。

だから、それなりの筋力が出せる身体でなくてはならない。

それゆえに、日々、懸垂や腕立て伏せで必要最低限の筋力は

維持するように鍛えてはいる。

それはそうなのだが、その必須の筋力レベルを超えたところに、

指圧の奥義があるのだ。

それが意念のコントロールということになる。

指圧の場合は特に親指の先に意念を集中することが要求される。

実際の治療はこうだ。

まずは筋肉レベルの力で探りの指圧をしていく。

そうすると、だいたいどこに竜が潜んでいるか、がわかる。

そうして、おもむろに竜をおびき寄せる指圧へと移行する。

竜のいるツボに親指を当てて、静かにゆっくりと内部へ指先を沈める。

沈めた指先が止まるまで深く入れて、竜のいる深度を把握する。

いったん指を浮かして、戻す。

再度、竜のいる深さまで指を沈めたら、沈めたところから、

ほんの少し浮かせる。

こうして竜を押しつつ、竜が動き出した時の逃げ道のスペースを作って上げる。

そんな所作を何度も繰り返す。

押している時間は、長い場合もあり、短い場合もあり、一定しない。

押す時間の塩梅はすべてその現場の成り行きで決まる。

一箇所だけでなく、何箇所かの竜穴でこの所作を繰り返す。

やがて患者の入眠と共に竜が動き出す。

竜が動きだしても、動揺せずに、それまでと同じように指圧しつづける。

この時の意念のコントロールがキモだ。

竜と共に遊ぶ、竜と対話する、竜と戯れる、

そんな軽やかな気持ちが大事だ。

特に竜が動いたからといって、特別な次ぎの動作がいるわけではない。

指圧の要領は依然として同じだ。

竜が快調に動き出せば、一箇所の振動が全体に波及していく。

身体はひとつらなりの空間なのだ。

竜が見事に体外へと解き放たれれば治療は大成功だ。

患者は術後、得も言われぬ爽快感と共に起床する。

竜を操る指圧の概要はこんなところだ。

秘術にして隠すものほど、たいしたことはない、というのが、

操体法の故・橋本敬三先生の言葉だ。

素晴らしい治療法を開発したのなら人類の福音になるのだから、

どんどんと公開すべきだ。

これが真の医療家からの教えだ。

わたしも橋本先生に習い、こうして自分の秘技をすべて公開した。

秘技や手の内は本来はしまっておくべきものだろう。

そうしてしかるべき弟子に、しかるべき時が来たときに、

免許皆伝で教えるもののはずだ。

しかし私には弟子はいないし、恐らくは指圧という手技は

このままいけば、効率主義の時代では絶滅を余儀なくされるだろう。

たぶん、わたしの代あたりで指圧の伝統はついえる。

だからこそ、こうして奥義の公開に踏み切ったのだ。

じっくりとくまなく全身を指圧するには、

最低でも1時間、余裕をもって2時間ほどの時間が絶対に必要だ。

凝りに棲む竜が動き出すまでのアイドリングの時間と、

竜が動きだしたあとのドライブの時間を合わせると、

1時間以上は絶対に必要なのだ。

1時間以上もしっかりと指圧する、指圧できる指圧師が、

果たして今の日本にどれだけの数、いるだろうか?

もうこんな罰ゲームのように非効率で

ビジネス的にもうまくない治療は、

エセマッサージの乱立で、すたれるいっぽうなのだ。

時代はいかにして効率良く短時間で稼ぐか、そして騙すか。

そんな経済性ばかりが求められる世界では指圧の立つ瀬などどこにもない。

でも、そんな時代の趨勢に徹底的に背を向けたドンキホーテは

ついに指圧の奥義を摑み、

竜と共に飛翔する喜びを勝ち取ったのだ。

竜はいつもわたしの、わたしたちの味方だ。

竜を操ることができれば、それこそ短期間で劇的に治療効果を上げることが可能だ。

非効率を極めて最高の効率を得たのだ。

凝りと対峙して25年。

こんな芸当が真似できるのなら大いに真似てほしい。

同業者の指圧師でわたしの奥義からヒントを得て、大いにこの術を盗み取って欲しい。

そうすれば、もしかしたらわたしの奥義のタネがどこかで芽吹き、

指圧が絶滅を真逃れるかもしれない。

昨日もドラゴンと戯れることができました。

竜と出会える指圧師。

オレってナニゲについてるよね。

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2016.08.04 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 養生クリエイター

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