珍説

数日前に以前に購入して一読した本を再読した。

今売れっ子の自然科学系の学者の本だ。

若手で主張にセンスがあって自分も共感する箇所が多々あるのだが、

キリンの首が長いのは変異個体が生き残ったから、という部分だけは、

賛同しかねる。この突然変異と自然淘汰を進化の原理に掲げる

アカデミズムにおけるダーウィニズムのマインドコントロールの徹底には

本当に驚いてしまう。普通の首の長さの群れに、

いきなりチョー首の長い奇形個体が突然、一斉に生まれてくるのか?

そしてそのかなり異質な首ながろくろっ首の赤ん坊のキリンを、

その親キリンたちは奇異に思わずに普通に育て上げるのか?

いやそもそも首の長さに対応できる首を支持する筋肉が発達していない

のだから、なにをするにも重たい首を持ち上げることなど

はなっからできない。つまりこうした奇形個体は普通は

自然界では親が養育を拒否することで淘汰される。

遺伝的に弱い個体は徹底的に選別してかかるのが自然界の厳しい掟だ。

こうして簡単に論破できるダーウィニズムの盲点を、なぜ完全にスルーして

さも首の長い個体が優位に立って進化の道を歩んだ、などと言い切るのか?

そこのところがいつも不可解だ。

わたしはラマルクの獲得形質の遺伝をおおむねで認めるラマルキアンなので、

こういう部分にはかなり敏感に反応してしまう。

本ブログで最近にネタにしているミトコンドリアについても

獲得形質の遺伝はすでに確認されているようにも見受けられる。

熱帯に住む人間は熱帯ゆえに、ただでさえ身体が熱くなる環境なので、

暑さをうまく逃がす身体の方が都合が良い。

こうした熱帯環境の人間のミトコンドリアは、だから熱帯適応型の

熱の産生を抑制して、ATP産生を促進するタイプに適応進化する。

またエスキモーなどの寒冷地に住む人間の身体は寒冷地対応で

温かい方がいい。よってエスキモーのミトコンドリアは、

熱産生の効率を高めて、ATP産生を抑制するように適応進化する。

人間が世界各地に散らばったのは、ほんのここ5万年のあいだの出来事だ。

たった5万年以内の選択圧でも簡単にミトコンドリアは環境に順応するように

進化できるのだ。こうした可塑性、順応性、融通性が、

生命の素晴らしさと言えよう。

キリンの首が長くなったのは、もしかしたらミトコンドリアの働きかけ、

ミトコンドリアのささやき、があったから、などと想像するのも面白い。

ミトコンドリア遺伝子と細胞核遺伝子は常にコミュニケーションをとっている。

キリンの祖先のミトコンドリア遺伝子が細胞核遺伝子に向かって

「おいっ、俺たちさぁ、ちょっとニッチを狙って

首を長くしてみたら、けっこうクールで、

のちのち哺乳類のなかで人気が出ちゃうかもよ」

なんて言って、それを受けた細胞核遺伝子が、

「おっ、いいねえ、ソレ!

いっちょ、遺伝子を改変して首長対応遺伝子を組み合わせて、

哺乳類のスターに躍り出ようぜ!」

なんて、その昔に会話したのかもしれない。

実際にヒトの受精卵が胚に発生していく段階では、

ミトコンドリアが核をネックレスのように取り巻き、

なんらかのやりとりをしていることが確認されている。

ミトコンドリアが生命進化の鍵を握っている可能性は大いにある。

「キリンの首が長くなったのはミトコンドリアがそうしたいと思ったからだ」

いままで聞いたこともない珍説がここに誕生した。

スポンサーサイト

2016.07.09 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 命曼荼羅

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

kouhakudou

Author:kouhakudou
FC2ブログへようこそ!

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR