微光

「欠陥のあるミトコンドリアを利用する細胞ほど、内部の環境は酸化性になる。しかし、『酸化性』といっても、細胞が内部環境を制御できなくなるわけではない。細胞は、その振る舞いを環境に適応させることで制御を維持し、新たな『状態』を確立している。タンパク質、脂質、炭水化物、DNAはたいてい、この変化の影響を受けないーまたしても、酸化の作用がたまっていく証拠の登場を見込んでいた当初のミトコンドリア老化説の予言に反している。・・細胞や組織の構造はほとんど酸化されないのだ。また、できるだけ損傷の少ないミトコンドリアが増殖しやすいので、ミトコンドリアに明らかな変異や損傷のしるしはほとんど見られない。当初のミトコンドリア老化説で予測された急激かつ壊滅的な損傷が見られないのは、フリーラジカルが危険を知らせているためなのである」ニック・レーン著 斉藤隆央訳 田中雅嗣解説「ミトコンドリアが進化を決めた」みすず書房




抗酸化物質の摂取が健康にとって有益と証明できる確たる証拠はない。

それなのに、そもそも、なぜこれほど抗酸化物質がもてはやされるのか?

と言えば、それは細胞生理学において、いや一般の健康法論において、

「酸化=悪」というマインドコントロールが広く普及しているからだ。

では実際の生理現象において本当に「酸化=悪」なのか?

と言えば冒頭の文章にみるように

「細胞や組織の構造はほとんど酸化されないのだ」

なんと実際の生理現象においては酸化の蓄積が否定され、

酸化そのものが否定されているのだ。

そしてさらに驚くべきことは、この幾らか細胞や組織が酸化性を帯びた時に、

そこから復して正常化するための分子レベルのカスケード反応が起こり、

ミトコンドリア遺伝子の転写が活性化し呼吸鎖複合体が多く作られて、

細胞核内の遺伝子が変化し正常なミトコンドリアの生成を促進する、

その一連のバックアップのフィードバック機構をスタートさせる

発火点となるのは、酸化の張本人のフリーラジカルそのもの、とされるのだ。

つまりどういうことか?

ようは生理現象における酸化という幾ばくかのペーハーの偏りそれ自体が

細胞やミトコンドリアの動的均衡を維持する標識として機能している

ということだ。

結局のところ、とどのつまり、フリーラジカルは

実は細胞生理を統合し制御するためには、なくてはならない分子

であることがついに判明した。

邪正一如(じゃしょういちにょ)。

この機においてわたしたちは悪と貶(さげす)んできた

フリーラジカルの汚名を返上し、名誉を回復し、

これまでの非礼に深く頭を下げてフリーラジカルに対して

お詫びを申し上げなければならないだろう。

「フリーラジカルが危険を知らせて」くれるから、

わたしたちの細胞は動的均衡を保持できているのだ。

ありがたきかなフリーラジカル、

嬉しきかな活性酸素。

通常の細胞生理に発生する分子に善悪はあらず。

すべての分子の存在を認めた時、

ひとはようやく医の王道へとたどりつくのだろう。

「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」親鸞

暗黒の医の迷宮に、今、かすかな光りが輝きはじめています。

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2016.07.02 | | コメント(2) | トラックバック(0) | ハリキュウ戦隊ミトレンジャー

コメント

おぉー!

医療界も「ワンネス」への道が拓かれ始めたんですね!
さすが、東洋医学の世界ですね~!
というか、東洋医学は本来的には「ワンネス」のスタンスですよね。

対処法中心の西洋医学の世界では、まだまだ、遠い道のりかもしれませんが・・・、いつか、きっと気づくときがくるでしょう。

さっき見つけた、興味深い動画です。
「「奇跡の脳」脳卒中体験を語る / ジル・ボルティ・テーラー」
https://www.youtube.com/watch?v=BsSWaYITW4g

2016/07/02 (土) 06:39:30 | URL | ひろみ #3USpdlJ2 [ 編集 ]

脳波同調現象


ひろみさん、ジルの体験談から導かれた彼女らしい悟りの話は、実に面白いですね。

いわゆる瞑想や坐禅をはじめとしたスピリチュアルなメソッドは右脳領域を活性化することで、

宇宙と全一な存在と認識する手段なのでしょうね。

いまから25年ほど前に、大脳生理学者の故・品川嘉也博士が、

気功師と被験者の脳波が気功をしていると同調することを発見しています。

右脳、左脳の働きの違いはだいぶはっきりとしてきていますが、

まだまだ脳を含む人体の全容は未知なるフロンティアです。

脳の奥深くにはいわゆる爬虫類脳と呼ばれる古い層があり、

そこに覆うように新しい層が積み重なっています。

脳は右と左も働きが違えば、奥の古層と表面の新層も違います。

表面は大脳皮質で人間らしさを司り、奥は大脳古皮質でより感情的でプリミティブな働きをコントロールしているといわれます。

脳のなかにもまた億単位の地球の生命史が見て取れます。

わたしたちはかつて爬虫類でした。いやそれだけでなく、両生類の時代も、魚類の時代も、

そしてもっと原始的なエディアカラ生物群のような海綿のような生き物の時代も、

いやもっともっと古いバクテリアの時代もありました。

38億年の生命記憶はすべてこのDNAに刻まれています。

また身体を構成する元素はすべて宇宙誕生からの138億年の記憶を宿しています。

宇宙と全一にリンクしているのがわたしという存在です。



2016/07/03 (日) 02:20:03 | URL | 今村光臣 #- [ 編集 ]

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