自然の下僕

「抗酸化物質がわれわれの寿命を延ばすのではないかという考えは、数十億ドル規模のサプリメント市場を支えている。その考えを裏付けるしっかりした証拠はほとんどないのだが、砂上の楼閣とは違い、なぜかもちこたえている。30年以上も前から、医学者や老年学者は、抗酸化物質を、機能不全に陥った様々な生体システムに投入してきたが、どれも効きめがないことがわかった。抗酸化物質を摂取すれば、栄養不足を緩和し、ある種の病気を予防できるかもしれないが、最長寿命の延長にはまったく効果がないのだ。フリーラジカルの権威として有名なジョン・ガダーリッジとバリー・ハリウェルは、数年前にこう述べている。『1990年代になるころには、抗酸化物質が老化や病気の万能薬でないことははっきりしていた。代替医療だけが、この考えを広めているのだ』」ニック・レーン著 斉藤隆央訳 田中雅嗣解説「ミトコンドリアが進化を決めた」みすず書房





健康カテゴリーでは、いわゆる活性酸素やフリーラジカルは

体を酸化させ老化させる病原因子、諸悪の根源として、

蛇蝎(だかつ)の如くに忌み嫌われ貶(さげす)まれてきた歴史がある。

それと同じく細胞の代謝経路の中間分子である乳酸という分子も、

これまで100年ほどのあいだは筋肉痛の原因分子や凝りの原因分子と

錯覚・誤解されて、まるで汚らしい排泄物かゴミカスのように扱われてきた。

一酸化窒素は皮膚を押すことで皮膚と血管壁から分泌される活性酸素 ←の

一種であり、マクロファージが外来性の異物である細菌やウイルスを

殺す際に一酸化窒素を噴射することがよく知られている。

マクロファージは血管壁を拡張して異物と戦闘するコロシアムを

設立することで、仲間の免疫細胞を呼び寄せて、

免疫細胞たちが異物とグラディエーターな格闘を手配する手配師、

つまり免疫界のプロデューサーだ。

一酸化窒素にはミトコンドリアを増強する作用もあり、

血管拡張、血流促進、免疫強化、認知機能の改善などの

有益な作用がある。

乳酸という分子は特に速筋で産生されたものは、

即座に心筋や遅筋へと運ばれて、そのミトコンドリアで

ATP産生に寄与することがわかっている。

また通常は乳酸は生成後30分〜1時間以内に速やかに

吸収され利用されるので、乳酸が溜まる、という現象は

通常レベルの生理状態では起こりえない。

競走馬のサラブレッドの筋肉では常時、大量の乳酸が発生するが、

この乳酸を効率良く利用することでサラブレッドは

あれだけの巧みな走力を保持しているようだ。

乳酸はミトコンドリアに利用されるエネルギー源である。

一酸化窒素も乳酸もどうも諸悪の根源と呼ぶには、

およそふさわしい存在とはいえない。

むしろ「諸善の根源」といえそうだ。

ひとの生理現象において悪を追及していくと、

迷宮の隘路にはまって右も左も見えなくなる。

「医師は自然の下僕である」漢方医・新宮凉庭

自然に素直に従うのなら、

いのちには敵も味方もない。

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2016.07.01 | | コメント(0) | トラックバック(0) | ハリキュウ戦隊ミトレンジャー

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